2025/02/24 (月) 08:00 3
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。KEIRINグランプリを三度制した帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から、狙い目の2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
豊橋10R 全日本選抜競輪(GI)S級特別優秀
①松本貴治(111期=愛媛・31歳)
②坂井洋(115期=栃木・30歳)
③守澤太志(96期=秋田・39歳)
④山田英明(89期=佐賀・41歳)
⑤新山響平(107期=青森・31歳)
⑥高橋築(109期=東京・32歳)
⑦山崎賢人(111期=長崎・32歳)
⑧山口拳矢(117期=岐阜・29歳)
⑨松浦悠士(98期=広島・34歳)
【初手・並び予想】
【注目のヨーロッパ】
④山田英
⑥高橋築
⑧山口拳
⑤新山響や⑨松浦悠など、勝ち上がりを逃したビッグネームが人気を集めるであろう一戦。四分戦で単騎が1名というコマ切れ戦だけに、展開次第で大きな紛れが十分に考えられる。「ヨーロッパ」に入った選手のデキがいいというのも、このレースを選んだ理由のひとつ。前場所を完全優勝している④山田英に、この3日間で2勝をあげている⑥高橋築、単騎での強さに定評がある⑧山口拳と、いずれも食指が動く。
主導権を奪う可能性が高いのは⑤新山響だが、そこまで調子がいいという印象はなく、番手を回る③守澤太も動きは冴えない。強力な機動型が多いこのレースで、北日本勢がキッチリ勝ちきれるだけの総合力があるかといえば、微妙なところだ。また、中四国ライン先頭の①松本貴も目立つほどのデキではなく、番手の⑨松浦悠もここまでの走りをみると、強調材料には欠ける。人気ほどには信頼できないと思われる。
ならば、ここまで1着のない⑦山崎賢が、最終日に一発決めるか…とばかりに⑤新山響を叩いて、主導権を奪いにくる展開を期待したい。こうなれば、番手の④山田英に絶好機が生まれる。⑦山崎賢の脚が早めに鈍ったとしても、ここの④山田英は躊躇なく前に出て、勝負を決めにいくはず。ラインで決まる④=⑦絡みよりも、④山田英からスジ違いに流す④=①②⑧からの買い目のほうが面白そうだ。
また、ダッシュ戦となった場合の関東勢も「買い」である。先頭を任された②坂井洋は好気配で、番手を回る⑥高橋築は文句なしにいいデキ。調子のよさだけなら、関東勢が他を一歩も二歩もリードしている。②坂井洋の捲りを狙うカタチなので、こちらは素直にスジ決着の②→⑥から流す買い目を推奨。相手関係が強力なのもあって、関東勢がワンツーを決めたとしても、悪くない配当になると思われる。
そして、あらゆる決着パターンにおいて車券絡みが期待できるのが、単騎の⑧山口拳だ。北日本勢や中四国勢から狙う場合でも、2〜3着には必ず押さえておきたいところ。九州勢の後ろについての④=⑧や、関東勢の後ろから勝負しての②→⑥=⑧など、「ヨーロッパ」がダブルで絡んでの高配当もあり得るだろう。ビッグネームに人気が偏れば偏るほど、ヨーロッパ狙いが美味しくなるはずである。
【予想レース②】
豊橋11R 全日本選抜競輪(GI)S級特別優秀
①郡司浩平(99期=神奈川・34歳)
②小原佑太(115期=青森・28歳)
③窓場千加頼(100期=京都・33歳)
④嘉永泰斗(113期=熊本・26歳)
⑤和田真久留(99期=神奈川・33歳)
⑥佐々木豪(109期=愛媛・28歳)
⑦菅田壱道(91期=宮城・38歳)
⑧小川勇介(90期=福岡・40歳)
⑨浅井康太(90期=三重・40歳)
【初手・並び予想】
←①⑤(南関東)②⑦(北日本)③⑨(中部近畿)④⑧(九州)⑥(単騎)
【注目のヨーロッパ】
④嘉永泰斗
⑥佐々木豪
⑧小川勇介
優勝候補の一角と目されていた①郡司浩が、準決勝で敗退。中釜章が暴走(失格)した影響をモロに受けたカタチで、よく差を詰めるも4着に終わっている。それだけに、このレースの①郡司浩は圧倒的な人気を集めること間違いなし。番手を回る⑤和田真との神奈川コンビは、押しも押されもしない大本命となるだろう。しかし、相手はかなりのクセ者ぞろい。思わぬ苦戦を強いられるケースも考えられる。
他のライン先頭の機動型がしっかり動けているというのも、そう考える理由のひとつ。なかでも目立っているのが、④嘉永泰の復調ぶりだ。前場所の静岡記念では「まだまだ」という印象だったが、最終ホームからの仕掛けで山口拳に踏み勝った3日目など、このシリーズでの走りは見どころ十分。一気のカマシで先手を奪いそうな②小原佑や、勝ち上がりは逃すも動きはいい③窓場千も侮れない。
ライン4つのコマ切れ戦となったことで、単騎勝負の⑥佐々木にも上位食い込みの目が出てきた。この相手でも戦えるタテ脚があり、デキもけっして悪くない。さすがに1着までは厳しいかもしれないが、立ち回り次第で2〜3着に突っ込めるはず。リスクに見合ったリターンが得られるとみて、どのラインから勝負するにせよ、ヒモにはしっかり⑥佐々木を押さえておきたい。
④嘉永泰と連係する⑧小川勇は、当然ながら④嘉永泰の走り次第。④嘉永泰が捲りきって④→⑧で決まれば最高だが、「④嘉永泰が捲るも惜しくも届かず」といったパターンで4着以下もあり得るので、期待度は落ちる。「ヨーロッパ」に序列をつけるならば、「④嘉永泰>⑥佐々木>⑧小川勇」となるか。1着まで突き抜けて一発大穴…という可能性を秘めるのは、やはり④嘉永泰だ。
①郡司浩をうまく後方に置き、前から「②⑦・⑥・③⑨・④⑧」といった隊列で勝負どころを迎えられれば、しめたもの。南関東勢に人気が集中するぶん、そこが飛んだときの配当のハネ上がり方はかなりのものだろう。もちろん、終わってみれば「やっぱり①郡司浩が強かった」となる可能性もあるわけだが、それはそれで致し方なし。それでも「ヨーロッパ予想」的には、高配当の夢を追いたい。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。