2021/07/15 (木) 12:00 7
函館競輪場で16〜18日にサマーナイトフェスティバル(GII)とガールズケイリンフェスティバルが開催される。6年前の函館大会、近藤龍徳(30歳・愛知=101期)の優勝が、もうそんなに前なのか…と感じられる。まだ2、3年前のことと思えてしまう。
今回、近藤の出場がないのは寂しいばかりだが、また新しいドラマが生まれることに期待したい。S班を中心に上位選手の優勝の可能性が高くても、それを突き動かす新星たちの姿を見たい。
今、近藤は低迷している形だが、あの時の競輪界を突き動かす衝動はすさまじかった。競輪は苦しい思いや、つらい思い、涙のシーンが多い…。だが、近藤は“夜王”となり華やかなシーンを競輪に与えた。アメリカン・ドリームならぬ“ジャパニーズ・ドリーム”が競輪にあるのだと。
昨年のいわき平での同大会を制したのは清水裕友(26歳・山口=105期)と高木真備(26歳・東京=106期)だった。
フィギュアスケートの羽生結弦が先頭を行く1994年生まれの世代。メジャーリーグで大活躍中の大谷翔平も…同じ年齢だ。
以前、2人にそのことについて取材した時は、そんなに意識しているわけではなかった。ただ周りから見ていると、この世代は周囲の環境に恵まれ、本人の努力に倍加される力があるように思う。性格は全然違う2人だが、周りを巻き込んで喜ばせてくれるエネルギーを持っている。
東京五輪を前に『スポーツの力』というものが話題に上がる。
この2人、この世代には自然とそういったものを沸き上がらせる力がある。もちろん、芯がある。取材する側としては、飛び込んで、食い込んでいくことが求められるが、佇立(ちょうりつ)して取材に向かわせる雰囲気を持つ。
スポーツ選手として……尊いのだ。
ドラクエ3を頂点とするロールプレイングゲームがある。選手の成長を楽しむのが競輪の醍醐味。ラインもRPG内でのパーティーみたいなものだ。毎レース、毎シリーズで、そのストーリーがある。
一度、ボスキャラとして設定させてもらったことがあるのは深谷知広(31歳・静岡=96期)。今は、“ゆうしゃ”として南関の核弾頭としてその座を奪還しにいく。もちろん、その意味は最強キャラが東京五輪を走る新田祐大(35歳・福島=90期)、脇本雄太(32歳・福井=94期)の前にいることを知らしめることになる。
深谷がとてつもない強さを見せつけることが、東京五輪への序章。若鯉たちの躍進を望みつつも、それを跳ね返す深谷の姿を見たい。
今回優勝するべきは、『深谷知広』…そう書いておく。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。