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筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

【筋肉診断】サマーナイトフェスティバルに出場する荒井崇博選手を解説!

2021/07/15 (木) 12:00 4

加藤慎平の「筋肉診断」。今回は函館競輪「第17回サマーナイトフェスティバル(GII)」に出場する荒井崇博選手を解説する。

⚫︎荒井崇博

撮影:島尻譲

撮影:島尻譲

 今回は実に渋い選手をピックアップした。年齢は43歳と筆者と同級生である。

 身長178cmと充分なフレーム(骨格)だが、体重は76kgとトップレーサーの中では軽い部類。そして荒井選手は脚が異常に細いのが特徴的だ。見た目でもかなり細身で、公式データでは太股55cmとある。

 付着する筋肉量は最低限足りているが、四肢(足)が長いので細く見える。20代の頃は爆発的な捲りで、ヤンググランプリを含め2本のGIIタイトルを奪取。どこにそのパワーが含まれているのか不思議でしょうがない。

 もう少し身体的な特徴を掘り下げよう。

 上半身を見ると、細い脚に対して腹は出ている。俗に言う旧タイプの競輪選手体型だ(笑)。全体的な体の線は細いが、お腹だけポコンと出ているので思わず触りたくなる。

 けどそれは罠だ。荒井選手の性格はどう猛で有名。歯に衣着せぬ発言と塩対応で、インタビュー担当の女性MCを恐怖のどん底にたたき落としてきたエピソードは数知れず。間違ってお腹に触ってしまった瞬間、灰皿が飛ぶかもしれない。ちなみに彼はヘビースモーカーだ。気付けば喫煙室に篭っている。

 そんな荒井選手は耐乳酸能力が非常に高い事でも有名だ。荒井選手の耐乳酸能力は常人の2倍と言われており、若手時代は自力選手同士のモガキ合いに負けた事が無いという伝説も持っている。乳酸とは無酸素運動時に身体に蓄積する疲労物質なのだがこれが溜まると本来持っている能力が著しく発揮出来なくなる。要するに常人ではイッパイになってしまう局面でも、彼は踏み続けることが出来るのだ。早くから脚力を消耗し合うレースにめっぽう強い。自力時代は『泥仕合製造機』と言われていた。

 余談だが、荒井選手と筆者はプライベートでも非常に仲が良い。若かりし頃は、荒井選手と熊本の合志正臣さんの3人でよく遊んだのだが、僕以外の2人はパチスロが大好き。午後から3人で遊びに行く予定を立てると『ランチまでパチスロ打たしてくれ』と2人は言うのだ。

 するとどうなるか? 2人ないしどちらか1人が「勝ってるからもうちょっとだけ打たしてくれ」と待ち合わせ時間を遅らせる。「じゃあ15時までで」と約束して、筆者は暇潰しに漫画喫茶に出掛ける。

 15時に店に戻ると、負けている1人が「もう少しで出そうだからあと少し打たしてくれ」と席を離れず、気付いたら閉店23時まで打ち続けるのだ。2人のせいで、筆者は11時〜23時まで漫画喫茶に居た事がある。もう何度も全巻制覇したスラムダンクを読み続けるハメになり、「湘北vs海南大附属」編のセリフを全部暗記してしまったのは良い思い出だ。せっかく3人のスケジュールを合わせて東京に宿泊してもこんなことばかりだった。

 さぁ、サマーナイトフェスティバルだ。荒井選手も老体に鞭打って出走する。番組によっては先頭を任される局面もあるだろう。その時はぜひ、別線若手自力選手を本気の『泥仕合』に引きずり込んで欲しいと思う。胸アツである。

⚫︎本レースで注目すべき選手は…?

 若手の登竜門と言われるサマーナイトフェスティバルだが、今回はGIとほぼ同じメンバーだ。ということはビッグレースの展望がそのまま当てはまるのだが、1つ大きな問題が生じている。

 絶対的な力を誇る松浦悠士選手と清水裕友選手、中国両者のコンディションが上がっていないのだ。百戦錬磨の選手なのでキッチリと調整してくる可能性はあるが、直前気配は両者とも疑問が残る。

 そこで、今回注目したいのは中部・近畿勢である。

 中部は新鋭・山口拳矢選手の走りに注目だ。まだ気持ちが定まっておらず不安定だが、脚力は即通用。彼の走り方1つで台頭する。浅井康太選手、吉田敏洋選手は山口選手との連携も重要になる。

 そして近畿勢。古性優作選手は完全にタイトル奪取モードに入っている。先行捲り、捌きと超ハイレベルでこなすので、毎レース目が離せない。寺崎浩平選手、野原雅也選手と連携出来れば、スキの無いラインが結成だ。

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加藤慎平

Kato Shimpei

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。

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