2021/07/22 (木) 12:00 5
加藤慎平の「筋肉診断」。今回は富山競輪「第70回瑞峰立山賞争奪戦(GIII)」に出場する金子貴志選手を解説する。
⚫︎金子貴志
身長は175cm、体重は80kgとデータからはガッチリ系を想像するが、体脂肪が極限まで低いのでフォルムはとてもスッキリしている。しかし間近で見ると、充分な筋肉量を感じる。太く安定感のある体幹周り、デッドリフトで作り上げた背中の筋肉など、日々の鍛錬で培った成果が見て取れる。
金子選手は『食べないとすぐ痩せてしまう』タイプらしい。同地区の先輩と言うこともありよく知っているが、常にチョコレートを食べていた印象がある(それはそれでどうなんだ笑)。それほどすぐ体重が減ってしまうのだろう。
金子選手はこれまで華麗なる実績を残している。日本を代表するスプリンターとしては全プロ選手権やアジア大会での優勝実績を持ち、本業の競輪ではKEIRINグランプリを制するなど活躍してきた。
そんな華々しいキャリアにふさわしい、インパクトあるデカい筋肉を持っているかと思いきや実は正反対なのだ。スプリンターらしくふくらはぎがデカいわけでもなく、大腿四頭筋も全体的にバランス良く付着している。
私見だが、金子選手の強さは「関節と腱の強度」なのではないかと考える。伸張反射(筋肉が伸ばされるとそれに反射して筋肉が収縮する現象)の活性レベルが異常に高いのだ。筆者は何度も金子選手の番手を走ったが、全盛期の爆発力(瞬発力)は常人レベルでは無かった。金子選手自身も高重量を使用したウエイトトレーニングを好み、それに耐えうるボディを持っている。スプリント能力にかけては唯一無二の存在と言えるだろう。
そしてその金子選手、現役の競輪選手をやりながらYouTuberとしての一面もある。チャンネル開設時から筆者も楽しく拝見していたが、初期は自転車紹介やトレーニング風景といった競輪色を前面に打ち出していた。
が……
今はただキャンプするオジサンになっている。素晴らしいじゃないか。ちなみに筆者のお気に入り動画は、先輩の山田二三補選手とキャンプを楽しむ『2人でソロキャンプin静岡』編だ。2人の時点ですでにソロでは無いのでは…と思うが、まぁ細かい事はいいだろう。競輪もソロキャンプも全力で頑張って欲しいと思う。
⚫︎本レースで注目すべき選手は…?
SS級が不在の開催となり、当然ながら大激戦が予想される。高橋晋也選手や黒沢征治選手などの若手自力選手の台頭も注目だが、あえてここは地元中部軍団を推したい。
大将格の浅井康太選手を筆頭に、その前を走ると予想される復調著しい竹内雄作選手。3番手を固めるのは筋肉診断でも取り上げた金子貴志選手だ。今回の中部軍団で結果を出せないようでは後半の重賞戦線が思いやられるだろう。
加藤慎平
Kato Shimpei
岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。