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佐藤慎太郎“101%のチカラ”

【佐藤慎太郎の趣味】麻雀は競輪に通ずる! 無意識の連帯感が生まれる瞬間

2021/06/30 (水) 19:30 13

 全国300万人の慎太郎ファン、そしてnetkeirin読者のみなさん、このコラムの連載も5回目を迎えますが、どうですか? 楽しんでくれてますか? 今月はオレの趣味のひとつ『麻雀』をテーマに書きたいと思う。麻雀が好きって人は、ぜひじっくりと読んでみて欲しい。麻雀はやらないよって人も、どうぞゆっくりしていってよ。

基本はサンショク(三色同順)をみながら、でも役満も大胆に狙っていくのが慎太郎スタイル(撮影:島尻譲)

『麻雀』と『競輪』には共通項が溢れている

 オレの趣味のひとつは麻雀。競技麻雀のプロ雀士・佐々木寿人プロ、滝沢和典プロ、宮内こずえプロとも交流があり、仲良くさせてもらっている。オレが麻雀を好きなように、プロ雀士の中にも競輪を好きな人がいるんだよね。これは麻雀と競輪に共通するものがあるからだと思う。実際、オレは遊びでやっている麻雀から競輪のヒントを多々見つけている。

 例えば、配牌からツモから相手の捨て牌から『何から何まで自分に流れが来ている』って感じていても『相手はもっと良い流れの中にいる』なんてことがある。レースでもそんな場面は日常茶飯事。自分の手がどんなに進んでいても、相手の危険牌を回避するために手を崩さないといけない時ってあるよね。

 レースの状況判断も一緒で、他選手との心理戦、押すか引くかの決断など、全体を冷静に見渡していなくちゃならない。相手の考えていることを読み解く観察力が必要だし、自分のことを観察させないって工夫も勝利への鍵になる。遊びでやってる麻雀だとしても、競輪に活かせるポイント、勝負勘を養えるポイントがある。

敵同士なのに連帯感が生まれる

 麻雀をやっていると、終盤になってトップ目が独走状態の場面ってあるよね。2着も3着もラス目もそれぞれがトップだけを狙っている個人戦でありながら「南3局、ここは絶対トップ目から大きく削っていこうよ」という暗黙の了解が漂うでしょ。3人とも敵同士なんだけど、無意識の連帯感が生まれてたりする。

 知識なのか経験なのか、その連帯感に気が付かず、重要局面で「ツモ! 平和!」なんてラス目が言おうものなら「おいおい待ってくれよ、オレたち全員で勝ち筋なくしてオーラスかよ」ってなるでしょ(笑)。競輪のレースも同じでさ、出走する選手たちで無意識に作っている空気感が存在する。

何も考えずに走れば自身が勝てないだけでなく、周りにも思わぬ影響を及ぼすのが競輪のレース(撮影:島尻譲)

 例えば三分戦で『圧倒的に強いライン』があるとしよう。残り2つのラインが弱いわけだから、その弱いライン同士には「オレたちで潰し合って消耗し合ってたら相手の思うツボだよな」って、共通認識が浮かぶことになる。レース前に「一致団結して力のあるラインを潰しましょう」なんて作戦を共有することなど一切ないし、そもそもできないけどね。

 競輪は個人戦であることに変わりはない。いくらラインは家族と考えていても、ゴール前になればオレは1着を獲りにいくことしか考えていない。でも、最後の直線に差し掛かるまでの過程で『自分たちがより有利にレースを運べるように何をするか』という部分にライン戦の面白さがあると思う。強いラインを差し置いて、弱いライン同士がやり合って自滅してたら、お客さんだってつまらないし、車券を買っていたら納得できないでしょ!

『勝利するためにどうやってレースを組み立てれば良いか』をラインの仲間のみならず敵同士でさえ、言葉も一切交わさずに共有している。その選手心理をスタンドで予想している熟練ファンもいるだろうし、競輪の奥深さは尽きないよね。今書いたのはほんの一例に過ぎないけど、競輪選手も雀士も「自分の点数が稼げればそれで良い」という考えは、勝利からは遠ざかるだけだと思うな。

プロは本業で“自分”を魅せるもの

 プロ雀士の対局を観ていると、いつも『スタイル』について考えさせられる。打ち方ひとつに人間性が投影されているというのかな。その人から湧き出ている人間性の魅力を、きちんと麻雀を通して表現している人が多い。ただ技術があるだけじゃない、魅せ方の巧さ。それがプロフェッショナルと呼ばれる人なんじゃないかと思う。

 競輪にも個性豊かな選手たちがいて、それぞれのスタイルを魅せて走っているから、ファンの方にはそういう部分も楽しんで欲しい。オレはオレ、走りで佐藤慎太郎を表現していきたい。ただ勝つことだけを目的とせず、生き様を競輪に映していきたいね。

佐藤慎太郎という人間を走る姿で魅せたいという信念はブレない(撮影:島尻譲)

 今回は麻雀をテーマに書いてきたけど、思いのほか筆が乗ったね(笑)。ナショナルチームのブノワヘッドコーチから「アナタ、ワタシニ、マージャン、オシエル、ヒツヨウアル(あなたは私に麻雀を教える必要があります)」って電話を受けて、思いついたテーマだったんだけど(笑)。ブノワヘッドコーチ、また合宿に参加させてもらう時に、国士無双から覚えてもらうとするよ! ガハハ!

感謝! オールスターのファン投票結果

 さいごに、オールスターのファン投票の結果を報告したい。皆さんの投票のおかげで、今年もドリームレースを走れることになったよ。結果は7位、投票してくれたファンの皆さんには感謝の言葉しかない。あざした!

 オールスターはオレの地元いわき平で開催される大会だから、気合いビンビンで優勝を目指していく。皆さん期待してくれよ!

オールスター決戦の舞台は地元福島、佐藤慎太郎選手が暴れないわけがない(撮影:島尻譲)

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佐藤慎太郎

Shintaro Sato

福島県東白川郡塙町出身。日本競輪学校第78期卒。1996年8月いわき平競輪場でレースデビュー、初勝利を飾る。2003年の全日本選抜競輪で優勝し、2004年開催のすべてのGIレースで決勝に進出している。選手生命に関わる怪我を経験するも、克服し、現在に至るまで長期に渡り、競輪界最高峰の場で活躍し続けている。2019年には立川競輪場で開催されたKEIRINグランプリ2019で優勝。新田祐大の番手から直線強襲し、右手を空に掲げた。2020年7月には弥彦競輪場で400勝を達成。絶対強者でありながら、親しみやすいコメントが多く、ユーモラスな表現でファンを楽しませている。SNSでの発信では語尾に「ガハハ!」の決まり文句を使用することが多く、ファンの間で愛されている。

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