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前田睦生の感情移入

【阿波おどり杯争覇戦】小松崎大地は徳島インディゴソックスのスラッガー

2021/06/30 (水) 12:00 6

小松崎大地はビッグタイトルを狙う男

徳島にゆかりのある男

 競輪では、7月から「後期」と呼ばれる半年間がスタートする。

 そのスタートに小松島記念(GIII、7月1〜4日、阿波おどり杯争覇戦)が行われる。当レースに出走する小松崎大地(38歳・福島=99期)は千葉県で生まれ、白球を追う日々を過ごした。プロ野球選手(NPB)を目指し、独立リーグ四国アイランドリーグplus徳島インディゴソックスに入団。強打を誇るもNPB入りはならず。

 縁あって岡部芳幸(50歳・福島=66期)に師事し、福島で競輪デビュー。ド迫力の先行まくりで、上位進出。GI制覇が見える位置まで来た。
そこから…。
2018年の10月前橋の寬仁親王牌でGI決勝に初進出。「GI決勝に乗るだけで満足せず、獲る、と思って走らないといけない」を胸に戦っている。

「かませ犬、ちゃうからな!! 」

鷹木信悟にみる、王者への道

師匠・岡部芳幸と話し込む小松崎大地

 小松崎は5月京王閣ダービー(日本選手権競輪)の初日特選でゴール後落車。体は痛いまま、成績も残せなかったが、いや、しかし、走り抜いた。

 開催中に一つの出来事があった。プロレスの鷹木信悟のIWGP王者への挑戦…。

 鷹木は5月4日にオスプレイに挑戦も敗北。小松崎は「戦いぶりが好き」という鷹木の奮闘を新聞記事でしか知ることはできなかったが、オスプレイとの熱戦を知り、自身の傷ついた肉体に火がついた。

 岸和田競輪場で6月17〜20日に開催された高松宮記念杯(GI)で、小松崎は最終日20日の決勝進出。松浦悠士(30歳・広島=98期)ー清水裕友(26歳・山口=105期)が中心で、“小松崎がどう組み立てるのか”に注目が集まった。中国ゴールデンコンビの引き立て役に終わるつもりは毛頭ない。

「いや、それはなかったです」

険しい表情の松浦悠士

 突っ張るか飛び付くか…。松浦の動きに合わせて踏み込み、清水のヨコへ。しかし、清水がしのぐ。
「松浦の手の内でしたね。遊ばれてました」。
小松崎の抵抗は織り込み済みの松浦は、強引にまた丁寧に叩く。小松崎に清水まで出して、まくり勝負の考えはなかったか。「いや、それはなかったです」。とはいえ松浦も「出切るのに脚を使ったのが…」と傷を負っていた。
結果は脚をためた勢力の出番で、宿口陽一(37歳・埼玉=91)の優勝だった。

 一方、6月7日に鷹木はオカダ・カズチカとの第3代IWGP世界ヘビー級王者決定戦に勝利し、念願のタイトルを手にした。
小松崎も「オレも…」の思いしかなかっただろう。勝てる可能性にしがみつく。相手が強かろうが、そんなことは関係ない。「オレは、誰だ」…。

 挑戦者として、断崖絶壁をはい上がる。高松宮記念杯でその戦いは、結果には結びつかなかった。それでも、リングの、バンクの外で見ていたファンにとって、岸壁にかじりついてでもの思いは届いただろう。
それは、“応援”という力となり返ってくる。

地元勢は3連覇がかかる

原田研太朗は徳島のエース

 地元の徳島勢は多士済々。近年はこの地元記念に呼ばれることすら難しくなっている。一昨年は太田竜馬(25歳・徳島=109期)、昨年は原田研太朗(30歳・徳島=98期)と地元連覇中だ。3連覇なるか。松浦もいる今シリーズ。町田太我(20歳・広島=117期)もいる。中四国別線でも、地元の意地を見せつけるのだろうか。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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