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前田睦生の感情移入

【中野カップレース】「平原さんの分まで、そこが一番でした」吉田拓矢が宮杯で関東ワンツー

2021/06/25 (金) 12:00 8

高松宮記念杯で優勝した宿口陽一(左)と抱き合う吉田拓矢(右)

関東を代表する選手になる道

 6月20日に最終日を行った「高松宮記念杯競輪(GI)」(以下:高松宮記念杯)は宿口陽一(37歳・埼玉=91期)の初優勝。2着は吉田拓矢(26歳・茨城=107期)で関東ワンツー決着だった。
平原康多(39歳・埼玉=87期)が欠場する中、“での”結果だった。

 平原と吉田の連係も、もう長い。平原は厳しく吉田に高いものを追い求めてきた。吉田は勝負師面だが、まだあどけなさも残る26歳。ついに、もう一歩のところまできた。

 競輪学校(現養成所)時代にはゴールデンキャップを獲得。デビューからの快進撃も素晴らしかった。ただ、何か足りない…。それは「関東を代表する選手になる」という言葉を実現する地点にはたどり着けていない。

「地区を代表する」とは

吉田拓矢の見ている先はもうひとつ上

 吉田は最大の武器であるタテ脚を生かし、先行一本で頂点を目指してきた。だが、競輪はそんなに甘くはない。今回は位置にこだわり、“勝てる仕掛け”に徹したことが結果につながった。

 結果を出し続けることは確かに重要だ。しかし地区を代表する、輪界を代表する選手になるには、内容が求められる。GI決勝で関東ワンツーを決めることができた今からこそ、内容を問われることになる。

 今回の久留米(中野カップレース)の4日間は、特にそうなるだろう。
昨年12月、佐世保(九十九島賞争奪戦)で記念初優勝を飾った時、また高松宮記念杯の初日特選を勝った時、吉田は「結果は勝てたけど、内容は新山(響平、27歳・青森=107期)さんに負けました」と話している。
誰よりも、何を求められているか、自分が求めるべきかは分かっている。その前進を見守りたい。

菅田壱道が急失墜…

菅田壱道の復活にも期待がかかる

 菅田壱道(35歳・宮城=91期)が苦しんでいる。GIを狙えるところまで来たが、昨年末から急失墜した。「気持ちが、もたないです…」。すべてをかけて取り組んできた肉体改造は一時期はうまくいった。しかし、バランスが崩れ出すと体は自分のものではないようになった。

「わかっていても仕掛けられない。“自力”って言っているんだから、行かないと、と思っても全く動けない。何をやっても、ダメなんです」

 高松宮記念杯の開催中、菅田は涙すら流した…。
「悔しいです。あきらめてしまうのは簡単かもしれないけど、後輩に厳しく上を目指すように言ってきた自分があきらめるとか…。そんなの許せないっすよ。でももう、気持ちが、もたないです」。
最終日に1着を取った後も「感触は何もない。ゼロです」とボロボロだった。

 久留米は2009年6月に記念初優勝を決めた場所。思い出の場所で何かをつかんでほしい。思い出してほしい。強気、強気、強気でのし上がってきた男。はい上がる一歩を、涙を流しながらでも、進めてほしい。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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