2024/06/25 (火) 12:00 2
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は久留米競輪場で開催されている「中野カップレース(GIII)」の決勝レース展望です。
今年の[中野カップレース]は、高松宮記念杯のゴール手前で落車した北井選手と古性選手が欠場。佐藤(慎)選手も二次予選で敗退となりました。その一方で同じSS班の松浦選手と新山選手が、決勝に進出して気を吐いています。
また、今大会の決勝にはパリ五輪日本代表の自転車競技で、リザーブ選手となった山崎選手の名前もありました。
山崎選手にとっては約7か月ぶりの競輪参戦ともなるだけに、どんな走りをするかにも注目していました。
準決勝まで1着こそ無かったものの、ナショナルチームで更に磨きをかけた、力強い走りで決勝へと進んできています。
山崎選手が代表に選ばれなかったのは残念ですが、ナショナルチームで培った経験やトレーニングは、今後の競輪にも必ず生かされていくはずです。
その山崎選手を含めた九州ラインの並びは、④伊藤選手-②嘉永選手-⑦山崎選手となりました。3名共に九州を代表する自力型の選手であり、他のラインにとっては脅威とも言えるでしょう。
中四国ラインで並んだのが①松浦選手-⑥田尾選手、北日本ラインは③新山選手-⑤菅田選手-⑧阿部選手となりました。連日にわたって俊敏な動きを見せている⑨森田選手は、単騎の競走となります。
1番車は松浦選手ですが、2車だけに前受けはしてこないはずです。そうなれば車番的に九州ラインの先行が濃厚となります、
伊藤選手が早めに発進していけば、番手を回る◎嘉永選手、その後をついていく〇山崎選手との裏表が3連単の本線となってくるでしょう。
ただ、その展開を良しとしないのが北日本ラインです。菅田選手は初日の特選だけでなく、準決勝でもスタートを取っているだけに、決勝では新山選手の前受けも充分に考えられます。
九州ラインは後方からのレースとなりますが、伊藤選手が抑えに来た時に、新山選手は一度突っ張ってから九州ラインの分断も頭に入っているはずです。
新山選手は伊藤選手のスピードを受けた、嘉永選手の位置は奪えなくとも、横の動きがそれほど上手くない、山崎選手をどかしにかかるのかもしれません。その混戦に乗じて森田選手が突っ込んでくるようだと、筋違いの決着という波乱の目も出てきます。
また、新山選手が九州ラインを突っ張りにかかった時には、番手から捲ってくる×菅田選手にもチャンスが回ってくるだけでなく、北日本ラインの後ろに付けている、△松浦選手の捲りが届く可能性もあります。
予想の印も様々なパターンを想定して出しておきました。今大会は堅いレースが多い傾向ながらも、決勝は大荒れの決着も充分に考えられそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。