閉じる
鈴木誠のハイブリッド展望

【高松宮記念杯競輪予想】脇本との先行争いを制するのは郡司! 神奈川の選手たちの思いも背負った北井が、ここでGI初制覇を果たす!/鈴木誠の展望

2024/06/16 (日) 12:00 4

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は岸和田競輪場で開催されている「高松宮記念杯競輪(GI)」の決勝レース展望です。

一発がありそうなのは、神奈川ラインの後ろにつけた新山の突っ込み!

 準決勝までは東日本地区、西日本地区それぞれから選出された54名での戦い。そして、決勝で初めて東西対決が実現するのが【高松宮記念杯競輪】です。

 今大会における東西の選手構成を見ると、東日本の自力型が充実していた印象を受けます。それだけ勝ち上がりも熾烈となっていました。

 準決勝までは同地区での戦いも多くなりますが、普段から作戦だけでなく、互いの仕掛けも分かり合っているからこその難しさもあったはずです。

 その中でしっかりと結果を出してきたのが、互いに3車で決勝に勝ち上がってきた近畿ラインと、神奈川の3名となりました。

 その並びですが、近畿ラインが⑤脇本選手-⑦古性選手-①南選手。神奈川の3名が③郡司選手-⑨北井選手-⑧和田選手となりました。混成ラインが②新山選手-⑥桑原選手で、④小林選手は単騎戦を選択しています。

 注目すべきは神奈川3名の並びと言えるでしょう。これまでの特別競輪や記念競輪において、幾度となく郡司選手の前を走ってきた北井選手が、今回は番手からのレースとなりました。

 北井選手は準決勝でも赤板から仕掛けていった、松井選手の番手から捲りを決めて勝利をあげています。神奈川の結束の強さを示すようなレースだったとも思いますが、この決勝でも郡司選手が前を走るのは、北井選手のコメントにもあるように、「次に一緒になったら逆の並びで」という約束もさることながら、郡司選手が今年の【全日本選抜競輪】を優勝して、グランプリ出場を決めているのも関係しています。

 こうなると準決勝の松井選手のように、決勝でも郡司選手の先行が濃厚です。対抗できるのは、連日に渡って先行を見せていた脇本選手です。ただ、グランプリ進出を決めていない現在の立場からすると、自分が残せる位置から動き出したいとの気持ちもあるはずです。

 一方で郡司選手は思いっきりのいいレース運びができます。しかも、位置取りも上手い上に、近畿ラインに捲られない位置から動き出すに違いありません。

 今大会好調の北井選手は、準決勝でも11秒フラットで捲ってきました。上がりタイムでは双璧の脇本選手とは言えども、7番手に置かれてしまうと、かかっている北井選手を捲り切るのは困難です。

 一方、今大会で優勝となれば、「同一GI 3連覇」という偉業を達成する古性選手は、今大会でも「自在型」としての安定感のあるレースを見せています。ただ、脇本選手に前を任せたこの決勝は番手戦となるだけに、道中の途中までは自分でできることが限られてしまいます。

 むしろ怖い存在となりそうなのが、先行した神奈川3名の後ろをサラ脚で追走していそうな新山選手です。早めに北井選手が捲っていった時には、1車上がっての3番手となっており、その位置から突っ込んできたのならば、ゴール前で北井選手を交わす可能性もあると見ています。

 ◎は北井選手、○は和田選手ですが、△は新山選手に回しておきます。×は古性選手ながらも、3連覇が達成されるか否かは、脇本選手の仕掛け次第となりそうです。

 自分も1990年の【高松宮記念杯競輪】で、特別競輪初制覇を飾っています。当時は自分も先行選手として、成績が安定し始めた頃だったのですが、当時の千葉地区どころか、日本を代表する先行選手が滝澤(正光)さんでした。

 当時、同じレースに出ていた際に滝澤さんから、「俺が先行するから、お前は後ろを回っていろ」と言われたのならば、「ハイ!」と返事をするしかありません。

 ただ、滝澤さんと同じ先行選手としてのレースをしていくよりも、自分の持ち味を生かしながら、勝つためにはどうしたらいいのかと考え始めた時に、自分で何でもやるという「自在型」の走りが確立されていきました。

 それだけに滝澤さんの後ろを回らせてもらいながら、ゴール前で抜け出せたあの時のレースは、とても印象に残っています。

 北井選手も今回の決勝は、神奈川の仲間たちが作ってくれた、またとないチャンスだと思います。そこで期待通りに勝利をあげるのが、競輪選手としての更なる自信へと繋がっていくはずです。

レース情報はこちら

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

バックナンバーを見る

質問募集

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。
あなたからコラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。

鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

閉じる

鈴木誠コラム一覧

新着コラム

ニュース&コラムを探す

検索する
投票