2024/06/25 (火) 18:00 46
ダービー優勝後は、目に見えて平原康多選手のコンディションが上がってきました。全プロ(高知)、前橋GIII、高松宮記念杯競輪(岸和田GI)は、高確率で確定板入り。宮記念杯が落車で終わってしまったのは残念ですが、幸いにも軽傷だったようです。今回もコラムのために多くを語ってくれました。
ーー落車後にひじを気にしているように見えました。ケガの具合はどうですか?
打撲と擦過傷だけなので、ピンピンしていますよ。次走(7/16〜佐世保GIII)まで日があるのも良かったですね。問題なく走れると思います。
ーーダービーの優勝は、宮記念杯を戦う気持ちの面で影響がありましたか?
ダービーを獲ったからといって、何も変わりません。宮記念杯もいつも通りGIに挑む気持ちで行きました。
ーー明らかに動きが良くなりましたね。追走も番手の仕事にも余裕が感じられました。
イメージ通りの動きができるようになってきました。走るたびに良くなっている感覚です。前にも話しましたけど、一番の復調の要因は西武園GIIIの時に昔のフレームに戻したことです。いい感覚を思い出したし、一気に道筋が変わりました。
ーー宮記念杯は北井佑季選手の優勝でした。決勝戦は客観的にどう見ていましたか?
準決で北井に番手まくりを打たれて、その強さを肌で感じました。眞杉(匠)と「誰が獲るかな」なんて話していたんですけど、決勝の並びと雰囲気を見て、「これは北井だな」で意見が一致しました。
ーーダービーの平原選手同様に、ゴール後はすごい歓声でした。北井選手はファンに愛される選手ですね。
あの走りは伝わるものがあるし、ファンの心をわしづかみにするのも納得ですね。
ーーたまに立川バンクで練習が一緒になると言っていましたね。
アマ時代から見てきたし、よく喋ったりもします。でも、こんなスピードでタイトルを獲るとは思わなかった。北井に対しては、本当に賞賛の気持ちしかありません。
ーーダービー優勝後は、平原選手にも賞賛のコメントや質問がコラム読者からたくさん届いていました。
ありがたかったですね。しっかり読ませていただきました。
ーー今回はファンからの質問を交えながら、進めましょう。「打ち上げで酔っ払って帰って、家族に嫌な顔はされませんか?」という質問がありました。この方はよく奥さんやお子さんに怒られているんでしょうか(笑)
僕は普段、家で飲まないので、今回はベロベロで帰っても、おめでとうって感じで迎えてもらえました。でも、これを毎日のようにやっていたら、きっと嫌な顔されますよね、ははは。
ーー耳の痛いお父さんもいらっしゃるでしょう。こんなストレートな質問もありました。「正直、昨年は平原選手が終わったと感じました。ボロボロになっても腐らなかったのはなぜですか?」
練習ができなかったし、自分の中でも終わったなと思っちゃうぐらいのケガでした。復活できたのには、いくつか理由がありますけど、一番の根本は、競輪が好きってことですね。
ーーいくら好きであっても、かなり手厳しい批判を受けた時期はきつかったですよね?
もちろん非難の声もたくさん目にしました。でも、僕にはやり残していることがいっぱいあります。GI優勝というあきらめられない目標が常にあります。それが叶っていないのに、「や〜めた!」とは思えませんでした。
ーー諦めなかったことで報われましたね。そういえばSNSで電気自動車を載せていましたけど、あれは自分へのご褒美で購入したんですか?
電気自動車は乗ったことがなかったので、前から欲しかったんですよ。たまたま買ったタイミングがこうなってしまっただけで、ご褒美ってわけではないです。だったら、ご褒美にもう1台買おうかな、ははは。
ーーさすが、宵越しの銭を持ちたがらない男ですね(笑)。ちゃんと家族にもご褒美をあげましたか?
もちろん考えていますよ。夏に旅行を計画しています、ふふふ
ーーこんなコメントもありました。「北津留翼、中川誠一郎のように笑顔でいる選手のところには勝利の女神が微笑むのですね」。この方にとって、北津留選手、中川選手と平原選手が“三大笑顔の似合う競輪選手”なのでしょう。中川選手の前回のコラムは読みましたか?
ほぼ読んでいると思いますよ。何の話ですか?
ーー500勝の記念にお寿司をごちそうになる約束をしているのに、なかなか実現しないと。
ああ〜そんな話はしましたけど、あまり実現はしなそうだなぁ。はははは。
ーーやんわり逃げられて、まるで片思いだとも言っていました。
片思いではないですよ。僕も誠一郎さんは好きですし、めちゃくちゃ応援しています。ただ、関係性的には、交換日記の相手ぐらいが…
ーーちょうどいいと?
はははははは。
ーー最後の質問です。レースで一番大切にしていることは何ですか?
心がけている言葉はありますね。「冷静に熱く」です。
ーー真逆のようですけど
若い時の僕は、レース前にかなり“入っちゃう”タイプだったんです。ある時、後閑(信一)さんに言われたんですよ。「熱くなり過ぎず、冷静な部分は持っておけ」と。
ーーなるほど。
その言葉は20年心に刻んで走っています。
ーーその言葉で思い出しましたが、最近は森田優弥選手が冷静に走っているように見えます。
あいつは事故点が多いからじゃないですか、はははは。
ーーでも、若いころの平原選手みたいですよ(笑)
森田はね、僕から見ると闘牛ってイメージなんですよ。
ーー闘牛!?
フレームも赤いでしょ? ははは。
ーー普段とのギャップがすごいですよね
普段はめっちゃ優しくていいヤツなのに、レースになると突進していっちゃう。森田と真杉は走りが熱いから、アイツらの後ろなら何着でも納得出来るんです。
ーーそんなこと言われたらうれしいだろうなぁ。
心からゆだねられる後輩ですよ。
ーーかつて、神山雄一郎選手にとっての平原選手がそういう存在だったかもしれませんね。神山選手は函館GIIIの失格で、来年のA級落ちが有力になってしまいました。
次走がピンピンピン(11❶)でもダメですか?
ーー厳しいと思います。以前もA級陥落のピンチになった時に周囲から去就についていろいろ言われました。
僕の想像ですけど、神山さんはきっとどこだろうが走りたいと思っているはずなんです。神山さんが競輪を走る姿は、見ているだけで手本になる。1日でも長く走って欲しいです。
ーーまだまだ競輪界に必要な方ですよね。
僕にとって神山さんは、本当に神様ですから。
(※文中敬称略)
平原康多選手へのメッセージや「こんなことを聞きたい」「こんな話をしてほしい」などのリクエストを募集します。下記の質問BOXからぜひご応募ください!
お待ちしております!
平原康多
Hirahara Kota
埼玉県狭山市出身。日本競輪学校87期卒。競輪選手・平原康広(28期)を父に持ち、その影響も受けて高校時代から自転車競技をスタート。ジュニア世界自転車競技大会などで活躍し、頭角を現していった。レースデビューは2002年8月5日の西武園。同レースで初勝利を記録。2009年には高松宮記念杯と競輪祭を制し、2010年も高松宮記念杯で勝利。その後もGⅠ決勝進出常連の存在感を示し、2013年は全日本選抜、2014年と2016年には競輪祭、2017年も全日本選抜などで頂点に輝く。最高峰のS級S班に君臨し続け、全国の強者と凌ぎを削っている。