2024/04/07 (日) 12:00 3
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は川崎競輪場で開催されている「桜花賞・海老澤清杯(GIII)」の決勝レース展望です。
現役時代のホームバンクは千葉競輪場でしたが、【桜花賞・海老澤清杯】が開催されている川崎競輪場は、現役時から何かと愛着のあるバンクでした。
落車で鎖骨を骨折したときにも、川崎競輪場の近くの病院に入院させてもらっていただけでなく、時間を見つけては競輪場内でトレーニングもさせてもらっていました。
競輪学校の一次試験も川崎競輪場であり、レースだけでなく、南関東の選手にとっては、地区プロ自転車競技大会でも馴染みのある場所ともなります。
今大会は初日、2日目と中継の解説で呼んでいただきましたが、道すがらにはこの辺で食べ歩きもしたなあ、などと思い出していました。
川崎競輪場を『第二の地元』とするのは言い過ぎかもしれませんが、これからも特別な場所であるのは変わりありません。
今大会には、川崎競輪場をホームバンクとする選手たちも多く参戦していました。その中でも、まさに『地元3割増し』と言えるレースを見せていたのが、今大会5連覇がかかる郡司選手です。
また、川崎がホームバンクとなる佐々木選手も決勝に駒を進めてきました。佐々木選手は番組面で恵まれた印象はあるとは言えども、ここに向けてきっちりと仕上げてきた印象を受けます。
そんな2人にとって痛かったのが、準決勝で前を任せた北井選手が、眞杉選手と踏み合った結果、7着に敗れてしまったことです。他の南関東勢も決勝進出とはなりませんでしたが、①郡司選手-⑥佐々木選手との並びで、地元記念制覇を狙っていきます。
他の並びは九州ラインが②嘉永選手-⑧松岡選手、北日本ラインが③新山選手-⑨佐藤選手、近畿ラインが⑦古性選手-④山田選手となり、愛媛の⑤松本選手が単騎戦となりました。
ほぼ新山選手の先行1車と言えそうなメンバー構成であり、そこに郡司選手、嘉永選手、古性選手、そして単騎の松本選手が捲りに構えるレースが想定されます。
1番車は郡司選手ですが、コマ切れ戦だけに前受けはしたくないでしょう。その時に新山選手がスタートを取ったのならば、3番手以降に南関東ライン、九州ライン、近畿ライン、単騎の松本選手との並びになりそうです。
後方となった古性選手が抑えに行きますが、新山選手に突っ張り切られた時に、古性選手は元の位置まで下げることなく、5番手の嘉永選手のところに降りているのではないかと思います。
ここで後ろがごちゃつくようならば、北日本ラインの後ろにいる郡司選手には願っても無い展開となります。
新山選手も二次予選、準決勝と、自分のスタイルである突っ張り先行で結果を残していますが、今大会の郡司選手は決め手だけでなく、気合でも勝っています。
◎は郡司選手としますが、〇は、二次予選では先行した新山選手を捲り、準決勝でも捲り切った古性選手のその上を交わしていった嘉永選手に打ちたいと思います。
車番のいい嘉永選手がスタートを取った場合、他のラインが抑えてきた時に、後ろまで引ききってしまってからの捲りは脅威となります。
嘉永選手が二次予選と同様に、先行した新山選手を捲り切った場合には、番手にいる松岡選手だけでなく、どんな展開でも確実に伸びてくる郡司選手。そして、△の佐藤選手、×の古性選手との3連単決着も考えられます。
面白いメンバーとなった決勝ですが、それは郡司選手にとって、「5連覇危うし!」と言えるのかもしれません。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。