2024/03/31 (日) 12:00 2
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は武雄競輪場で開催されている「大阪・関西万博協賛競輪(GIII)」の決勝レース展望です。
【KEIRINグランプリ2023】を制した、松浦選手の優勝祝勝会がニュースとなっていました。
自分の現役時代の話となりますが、特別競輪(GI、GII)を優勝すると、地元の選手会が中心となって、こうした祝勝会を開いてもらえました。
場所はどこでやるのか、誰を呼ぶのかといった準備も大変なのですが、選手会の仲間たちがその全てを請け負ってくれたので、自分は来場者の方にお配りする、記念品を考えるぐらいで済んでいました。
凄いなと思ったのは全盛期だった頃の滝澤(正光)さんであり、一年に幾つも特別競輪を勝つので、まとめて祝勝会を開いたことがあります。
コロナ禍では縮小傾向にあった祝勝会ですが、選手にとっては多くの皆さんに祝ってもらえることで、また大きなレースを勝ちたいというモチベーションともなります。
【ウィナーズカップ】の落車で、左手の指を骨折した松浦選手ですが、この後に控えている【日本選手権競輪】や、【KEIRINグランプリ】連覇に向けての機運が高まったに違いありません。
【ウィナーズカップ】の後の大会であり、SS班が不在となった【大阪・関西万博協賛競輪】ですが、決勝には特選のメンバーが5名勝ち上がってくるなど、競走得点上位の選手たちが実力通りの走りを見せています。
決勝の並びですが、地元の意地を見せたいのが①山田選手-⑦山口選手。②浅井選手-④朝倉選手は90期の同期ラインとなっています。中四国ラインは⑨町田選手-⑤小倉選手。南関東ラインは⑧菅原選手-⑥仁藤選手で、③菅田選手は単騎となりました。
四分戦かつ、先行は町田選手ほぼ一車となりましたが、そこに菅原選手がどう挑んでいくのかが見どころになります。
両者は準決勝の11レースでも戦っています。この時は前を切っていった菅原選手を、すぐに町田選手が叩いて先行しています。
長い距離を踏んでいだ町田選手は、ゴール前で番手の小倉選手に交わされていますが、この時、中四国ラインの3番手に入っていた菅原選手は3着ながらも、直線では前にいる2人を交わせるかと思えたほどの伸びを見せていました。
この決勝でも車番順に並びが決まっていくようだと、菅原選手が山田選手を抑えに行ったところを、その上から町田選手が先行体勢へと入るはずです。
この展開となれば、菅原選手は準決勝と同じように、中四国ラインの3番手に入れます。準決勝の再現となるどころか、菅原選手の脚が溜まっているのならば、その時のリベンジを果たせるのかもしれません。
ただ、山田選手がスタートを取らなかった場合には、押し出される形で町田選手とが前受けをする可能性も出てきます。
そうなれば、中四国ラインの後ろは地元ライン、そして同期ラインと菅田選手となります。8番手から菅原選手が抑えに来たのならば、町田選手は後方まで引いてからの捲りに切り替えます。
この時に先行した菅原選手を、山田選手や浅井選手が先に捲っていく展開となれば、今大会好調な町田選手といえども、前を捉え切れないかもしれません。
◎は町田選手で、〇は小倉選手と、先行が濃厚な中四国の2人に重い印を打っておきますが、先ほども書いたように展開次第では△の山田選手、×の菅原選手も上位に食い込んでくきそうです。
堅い決着となっている今大会ですが、ライン決着とならなかったレースでは、3連単で30万円越えの配当も出ています。決勝の予想には高配当の組み合わせも出してありますので、車券の参考にしていただけると有難いです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。