2024/02/25 (日) 12:00 6
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は奈良競輪場で開催されている春日賞争覇戦の決勝レース展望です。
【春日賞争覇戦】が開催されている奈良競輪場や岸和田競輪場など、近畿地区の競輪場で選手のマッサージを行っているのが、元競輪選手の渡辺久哲さん(46期)です。
自分も近畿で大会が行われる際には、その前後に渡辺さんに予約を入れて、身体のメンテナンスをしてもらっていました。
渡辺さんは選手がどの筋肉を使っているかが分かっているので、こちらも安心して施術を任せられます。マッサージも上手で、しかも筋肉をほぐす力も強いので、本当にお世話になっていました。
今大会は渡辺さんのマッサージを受けて、大会に臨んできた近畿の選手も多いかと思います。その効果があったのか、決勝には近畿だけで7名の選手が勝ち上がってきています。
その並びにも注目していたのですが、なんと近畿は3つに分かれています。地元記念の連覇を目指す①三谷(竜)選手は、兄の⑧三谷(将)選手の並びを選択しました。
③古性選手の後ろは⑦南選手-⑥松岡選手となり、完全優勝を狙う⑤脇本選手は、⑨東口選手との連係となりました。北日本ラインの並びは④菅田選手-②守澤選手となっています。
地元記念ということもあり、三谷(竜)選手は脇本選手の番手に付けると思っていましたが、脇本選手からみんながチャンスがあるようにと、近畿での三分割を提案したようです。
メンバー構成からすると、脇本選手の先行一車が濃厚と言えます。ただ、三谷(竜)選手もこの並びかつ、後ろに三谷(将)選手が付けているからには、先行も充分にあり得るのではないのでしょうか。
車番的に三谷(竜)選手がスタートを取れそうであり、脇本選手は8番手からのレースとなるでしょう。脇本選手は誘導員が外れてからも、三谷(竜)選手を抑えに行くことなく、自分が踏める位置からのカマシ先行を狙っていくはずです。
脇本選手は準決勝でも、カマシ先行で約一周半の距離を逃げ切りながら、上がりタイムは9秒5を記録しています。この時に番手を回っていた三谷(竜)選手ですが、決勝でも脇本選手の番手では勝ち目がないと思ったはずです。
三谷(竜)選手が前受けをした場合には、脇本選手が来る前に突っ張り先行もあり得ると見ています。ただ、番手を回っている三谷(将)選手は横の動きが強くとも、タテ脚にはやや不安があります。
機を見て番手捲りをしようにも、そのタイミングに合わせて動き出しを図る菅田選手や、その上から捲っていく古性選手とのスピード勝負では、さすがに分が悪そうです。
この展開となれば、古性選手の頭まで考えられますが、今大会の脇本選手は復調傾向にあるだけに、スピードの違いで三谷(竜)選手を一気に交わしてしまうと思います。
◎本命は脇本選手で、〇対抗は番手を回る東口選手。もし、東口選手が脇本選手から離れてしまった時には、古性選手や菅田選手、そして守澤選手も2着候補となります。
近畿が5車となった初日の特選でも、脇本選手-三谷(竜)選手と、古性選手-南選手-東口選手に分かれました。その時も純粋なライン戦に徹していただけに、この決勝でもそれぞれのラインを任せられた三谷(竜)選手、古性選手、脇本選手とのスピード勝負が見どころとなるでしょう。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。