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鈴木誠のハイブリッド展望

【いわき金杯争奪戦予想】荒れる今大会を沈静化させるのは新田の走り! 先行した新山のスピードにのった番手捲りで、地元記念初優勝を掴む!/鈴木誠の展望

2024/01/28 (日) 12:00 3

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回はいわき平競輪場で開催されているいわき金杯争奪戦の決勝レース展望です。

別線となった九州ラインでは、好調山田の突っ込みが、高配当を演出する!

 今年の【いわき金杯争奪戦】ですが、一言でいうなら『荒れる』大会となっています。

 バンク内に6メートルもの強風が吹き荒れた初日には、3連単で379,630円の高配当が出ただけでなく、その後も10万を超える配当が続出していました。

 また、2日目の二次予選では圧倒的な人気を集めていた脇本選手がまさかの落車。3日目からは欠場となっています。

 準決勝が行われた3日目も、山口選手、古性選手とSS班が敗れています。『荒れる』レースが続いているいわき平のバンクは直線が長く、そこに冷たい上に強い風が壁のように選手の前にそそり立ちます。

 今大会はバックを走っている時に、風を真正面に受けていたようですが、こうなると先行選手だけでなく、番手から抜け出してくる追込選手にとっても、かなりの影響が出てきます。

 準決勝の古性選手もバックからの捲りを繰り出していましたが、いわき平の長い直線と、この気候条件が重なってしまったことで体力を消耗し、ゴールまで脚を残せなかったのでしょう。

 決勝も並びを見た時から、荒れそうな予感がしてきました。驚いたのは九州の4名が③嘉永選手-⑧伊藤選手、そして⑦山田選手-②井上選手と別線を選択したことです。

 嘉永選手と伊藤選手は同じ熊本所属で、高校の先輩後輩の関係となります。2人ともに先行選手ではありますが、機動力では嘉永選手が上であり、伊藤選手は展開によっては追込も見せてくるオールラウンダーなので、この並びが正解と言えます。

 その2人に山田選手と井上選手が付けなかったのは、別線の方が均等に優勝できるチャンスが出てくるとの意見でまとまったのでしょう。また、山田選手も最近は捲りで結果を出しているので、前を2人に任せなくとも、自分で何とかできるとの考えはあったはずです。

 北日本は⑤新山選手-①新田選手-⑨佐藤選手の並びとなりました。地元記念Vを狙う新田選手と佐藤選手にとって、決勝メンバーでは先行一車と言える新山選手がいるのは心強い限りです。近畿の2人は⑥窓場選手-④神田選手の並びとなりました。

 1番車が新田選手がスタートを取れそうなので、前受けが濃厚なのが北日本ラインとなります。車番通りの並びならば、その後は山田選手-井上選手で、その後ろが嘉永選手-伊藤選手。抑えに行くのは8番手となった窓場選手となりますが、さすがに新山選手は突っ張っていくでしょうから、窓場選手は元の位置まで下げざるをえません。

 新山選手がここで脚を使ったのを見て、準決勝で捲り切った嘉永選手が動き出していきます。ただ、二の轍は踏まないとばかりに、新山選手も更にスピードを上げていきます。番手の新田選手も車間を空けるだけでなく、横の動きで牽制も入れて、簡単に捲らせはしないでしょう。

 ここで嘉永選手の捲りを封じ込めたのならば、新田選手が番手捲りを繰り出しての優勝。2着は佐藤選手と地元2人での上位独占が濃厚となってきます。

 この結果となれば堅い決着となりますが、『荒れる』決勝のキーマンと言えるのが、北日本ラインのすぐ後ろを走っているであろう山田選手です。

 山田選手は北日本ラインの後ろで脚を溜められる一方で、新田選手は場合によっては早めに動き出していく展開も考えられます。そうなれば4コーナー勝負で、直線の長さを生かせる山田選手の突っ込みが、高配当をもたらしてくれるでしょう。

 いわき平競輪場では、今年の4月30日から5月5日までの6日間に渡って、【日本選手権競輪】も開催されます。そこでも、バンク内に吹き荒れる風が選手を苦しめることとなりそうですが、この決勝でも風を克服できた選手が、ダービー制覇にまた一歩近づけるのかもしれません。

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鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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