2024/01/21 (日) 12:00 2
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は川崎競輪場で開催されている「桜花賞・海老澤清杯(GIII)」の決勝レース展望です。
【桜花賞・海老澤清杯】が行われている川崎競輪場は、記念競輪の開催日は様々なイベントだけでなく、川崎ならではと言えるファンサービスも行われています。
バンク内に設けられた「エリア51」では、レース観戦も行われており、臨場感は他に類を見ないと言えます。また、勝利選手のインタビューもゴール前で行われているので、より選手との距離も近く感じられるはずです。
3日目に行われた準決勝を制した3名の選手たちも、ファンの目の前で決勝への意気込みを語っていました。そのうち松谷選手と郡司選手が地元神奈川の選手である上に、南関東だけで5名の選手が決勝に進んできました。
その南関東ラインの並びは、深谷選手-郡司選手-松谷選手-堀内選手-福田選手となります。中四国は初日の特選と同様に清水選手-松浦選手で並びましたが、2人の後ろには群馬の恩田選手が付けました。清水選手-松浦選手とは、西日本の括りでまとまるかとも考えられた稲川選手は単騎戦となります。
初日の特選では徹底先行型の北井選手がいたので、別線を選択した深谷選手と郡司選手でしたが、ここはラインでまとまりました。
5車を相手にすることとなった清水選手は、今年最初の記念競輪となった【東日本発祥倉茂記念杯】において、同じく5車でラインを形成した関東ラインを6番手から捲り切っています。
とはいっても、今回はグランプリでもSS班の深谷選手が相手であり、後ろに郡司選手も控えているとなれば、その時の再現は難しいでしょう。
また、清水選手は【東日本発祥倉茂記念杯】でも、関東ラインの分断には行っていないので、ここでも深谷選手の番手を取りに行くような走りはしてこないはずです。
それだけに単騎戦を選択した稲川選手の動きが気になります。郡司選手とは脚の違いで競り負けたとしても、その後ろに飛びついている可能性はあるからです。
2車単や3連単の頭は郡司選手、2着も松谷選手で堅いと思います。特に郡司選手はSS班から降格しただけに、今年にかける意気込みは強いはずです。
そのためにも地元記念での4連覇を果たして、その足掛かりにしたいところです。ただ、稲川選手の動き次第では、2着以下が荒れる可能性も考慮すべきでしょう。
また、ラインの長さを生かすべく、南関東ラインは前受けからの突っ張り先行を考えているはずですが、1番車となった松浦選手がスタートを取りに行くようだと、南関東ラインは4番手、あるいは稲川選手を挟んだ形で、5番手からのレースを強いられます。
こうなれば、清水選手のカマシ先行も考えられますが、イエローラインが伸びるバンクだけに、深谷選手の捲り追い込みが決まる可能性も出てきます。この展開となればさすがの郡司選手でも、深谷選手を捉え切れないでしょう。
3日目も長い時間に渡って、バンク内には雨が降っていました。開催最終日も悪天候が予想されており、開催場所が変更となるだけでなく、中止となるイベントもあるようです。
決勝の頃には雨が止む予想となっていますが、バンクには水が残っているはずです。3日目も落車が相次いでいましたが、決勝に望む9名の選手たちには、無事にいいレースを見せて欲しいと願っています。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。