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不屈の男・金子貴志の奮闘記 〜40代の挑戦〜

【金子貴志の喜び】涙の不合格から1年… 弟子から届いた吉報に、新たな目標が生まれる

2024/01/31 (水) 18:00 34

 netkeirinをご覧の皆さんこんにちは、金子貴志です。今年もよろしくお願いします。

 さて、今回は年末のグランプリシリーズを少し振り返ってから、私の弟子の日本競輪選手養成所第127期試験の合否のことと、偶然飲食店で一緒になったボートレーサーの仲口博崇さんとの交流について書いていきたいと思います。

熱く盛り上がっていた立川

 年末に走ったグランプリシリーズの前検日、立川競輪場に一番乗りで入りました。ゆっくり歴代の立川グランプリの優勝パネルを眺めてレースに臨みました。

年末のグランプリシリーズに出場した金子選手(撮影:北山宏一)

 立川競輪場は大勢のお客さんでとても賑わっていました。特に最終日は第1レースからすごく盛り上がっていて、競輪場全体の雰囲気がまったく違いました。そういうところで走れるというのはとても刺激になりますし、いつも以上に気持ちがたかぶるものです。懐かしい気持ちにもなり、またこんな熱い雰囲気の中で走りたいと強く思いました。

 KEIRINグランプリはすごいレースでしたね。深谷の走りには鳥肌が立ちました。後日、深谷から「優勝パネル並べられませんでした…。次の立川グランプリで並べられるように頑張ります」と連絡が来ました。本当に惜しい準優勝でしたが、今年は深谷の地元・静岡でグランプリが開催されるので、リベンジしてくれるのではないかと思っています。きっとすごく盛り上がるでしょうね。次の立川グランプリはいつになるかわかりませんが、深谷なら叶えてくれることでしょう。

白熱のKEIRINグランプリ。深谷選手(5番車)は激闘の末、惜しくも2着(撮影:北山宏一)

涙の不合格から1年… 弟子が養成所に合格

 養成所の合格発表があったのは18日。弟子の花田雄飛君が受験していたので、午後3時の発表前から私もそわそわしていました。花田君は、昨年2次試験で不合格になっており、今年を“ラストチャンス”と位置付けてリベンジに挑んでいました。

 JKAのホームページで確認すると、合格者のなかに花田君の名前を見つけました。昨年彼が悔し涙を流している姿を目にしただけに、嬉しく思うと同時にホッとしました。すると、その数分後に私の携帯電話が鳴りました。

 花田君から「受かりました」と喜びの報告でした。本人も、大喜びしているというよりは安心した様子が伝わってくる声色でした。今年が最後というつもりで、この1年は苦しい練習も耐え抜いたので、自分のことのように喜びを感じます。

(撮影:北山宏一)

いつか“師弟連係”できることを願って

 次の日、競輪場で花田君に会いました。養成所合格を彼のご両親がとても喜んでくれたと、嬉しそうに話してくれました。

 私は師匠ですから、「何としても合格させなければ」という師匠目線の想いはもちろんありました。ですが私にも息子がいるので、親心もよくわかります。親御さんは、ずっと応援してくれていたと思いますが、練習している姿は見られません。きっと心配もあったことでしょう。それに、受験するときの花田君本人の気持ちもわかります。昨年の悔しい不合格から1年、さまざまな角度から彼を見てきましたから、今回の合格は格別のうれしさがありました。

(撮影:北山宏一)

 それから、今後についての話をしました。昨年から「不合格だったときの悔しい気持ちをずっと忘れないように」と伝えてきたことは、前回のコラムで書きましたね。今年もきっと、昨年の彼のように悔し涙を流した人もいるでしょう。今度はそういう人たちに追われる立場になるということ。この1年悔しい思いを胸にやってきたことをずっと忘れないように、そして支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを忘れないように、と伝えました。

 花田君のもとには彼の周りの人たちから、たくさん「おめでとう」という連絡が届いたそうです。そういう応援してくれる人たちのことを、生涯忘れないでほしいです。ずっと先になるとは思いますが、いつか第二の人生を歩むときにも、この1年やってきたことが必ず役に立つはずです。周りの人を大切にして、一歩ずつ進んでいってもらえたらと思っています。

 養成所での訓練を経てデビューすれば、練習メニューも自分で作ることになり、より自分自身を知ることが重要になってきます。強くなれるか弱くなるか、自分にかかっています。プロフェッショナルに求められるのは、しっかり自己管理をすること。このコラムを読んでくれたファンの方が応援したくなるような選手になってもらいたいです。

 そしていつか花田君と一緒のレースで走れるように、私も準備しておかないといけないですね。彼のおかげで、新しい目標ができました。

いつか訪れる“師弟連係”を夢見て(撮影:北山宏一)

競輪選手とボートレーサーの交流

 話は変わりますが先日、新年会の二次会で山田二三補さん、弟子の内藤久文君と入った飲食店にボートレーサーの仲口博崇さんがいました。仲口さんとは同じボートレーサーの池田浩二君の祝勝会で初めて会い、その後豊橋競輪場でのイベントや山田さんの引退レースでも顔を合わせていました。

 51歳のベテランレーサーである仲口さんは同じプロスポーツ選手として、とても尊敬できる方です。トレーニングの話で盛り上がっていると、突然仲口さんが「足が太くなりたい」と言い出しました。

 ボートレーサーには体重制限があるので、細身の人ばかりです。仲口さんも例外ではなく、ズボンのサイズは女性用のSサイズと聞き驚きました。競輪選手の太ももは60センチ以上はざらで、70センチ近くある人もいます。“競輪選手あるある”ですが、ジーンズが入らなかったりとズボンを買う時は本当に苦労するのです。

「ウエストは問題なくても、太ももが入らないので格好いいズボンがなかなか見つからず大変ですよ」と私が言うと、仲口さんは「自分は女性用だから、男物を履きたい」と笑っていました。そうは言いつつも、お洒落な洋服を着こなしていました。

(左から)金子選手、ボートレーサーの仲口博崇選手、内藤久文選手、山田二三補さん(本人提供)

 その後も仲口さんと内藤君がズボンを交換してみたり、山田さんと冗談を言い合ったりと、笑いが絶えませんでした。違う分野のアスリートとこうやって話す機会があるというのは、大いに刺激を受けますし、プラスになると思っています。

 とてもストイックで面白い仲口さん。トレーニング談義では、自転車トレーニングを取り入れたいと真剣な表情で言っていました。50歳を過ぎても飽くなき向上心を持ち、新しいことを取り入れようとする姿勢は、私も見習いたいです。またの機会にもっといろいろな話をしてみたいです。

 こうしていろんな業界の人と交流するのは楽しいです。弟子の花田君もデビューした暁には、いろいろな人と接点を持ち、刺激を受けて強くなっていってほしいな、と思いました。

2024年、レース重ねて“きっかけ”掴みたい

 最後に、私の2024年について…。腰の状態で苦しい状況が続いています。いろんなことを試していますが、なかなか結果につながっていません。試したことをレースで確かめる意味でも、補充や追加を受けてなるべくたくさんレースを走るようにしています。今年はきっかけを掴んで、勝負できるところまでもっていきたいです。

 ここ最近は全然車券に絡めていないのに、それでも「応援しているよ」と声をかけてくださる方がいます。本当にありがたいことです。そういう方々のためにも、まずは何とか確定板に上がれるように。そして時間はかかるかもしれないですが、また1着を取れるように、今の身体と向き合いながら試行錯誤を続けていきます。

(撮影:北山宏一)

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金子貴志

Kaneko Takashi

愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。

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