2024/01/14 (日) 12:00 5
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は和歌山競輪場で開催されている和歌山グランプリの決勝レース展望です。
【和歌山グランプリ】が開催されている和歌山競輪場は、この時期になると風の影響を強く受けます。そこに直線の長さも加わってくるので、先行選手にとっては、更に厳しいバンクコンディションともなります。
昨日もレースによっては5m近い風が吹いていました。ただ、その風がホームやバックで真正面に吹き付けるのではなく、横からの風向きとなった場合には、先行選手の後ろから抜け出してくるような追込選手にとってもキツくなります。
ただ、いくら強い風がバンク内に吹き荒れようとも、力を出せるのが「地脚」タイプの選手たちです。今大会好調の古性選手や東口選手に加えて、準決勝の11レースで2着となった永澤選手も、このバンクコンディションと脚質があっているのでしょう。
決勝の並びは寺崎選手-古性選手-東口選手-藤田選手と近畿ラインが4車でまとまりました。山田選手-山口選手と佐賀の2人の3番手には、徳島の阿竹選手がつけて西日本ラインを形成。一方、東日本ラインは坂井選手-永澤選手となります。
初日に行われた特選でも、近畿ラインは寺崎選手-古性選手-東口選手で並んでいました。この時はジャンで寺崎選手が先行。東口選手、古性選手もキッチリと仕事をして、結果はこの3人で上位を独占しています。
このメンバーで他に先行してきそうなのは、準決勝の11レースでは町田選手を相手に、2周先行を見せた坂井選手となります。
1番車が東口選手となっただけに、前受けをした近畿ラインを西日本ラインが抑えに行った後で、坂井選手が先行体勢に入るはずです。特選では寺崎選手の先行を許した坂井選手ですが、決勝ではレースの主導権を握りたいところでしょう。
ここでの寺崎選手の判断ですが、突っ張ってくるよりも、一度、車を下げてから、山田選手が抑えに入ったタイミングで、一気に発進すると見ています。坂井選手も抵抗してきますが、その時に寺崎選手の番手から発進していくのが古性選手であり、後ろにいる東口選手との上位独占が濃厚となりそうです。
準決勝の12レースのように、東口選手が古性選手を抜き去る展開があるとするなら、寺崎選手が突っ張り先行をした場合となります。必然的に古性選手の仕掛けも早くなるだけに、そのスピードに乗っていく東口選手にとっては、地元での記念優勝も見えてくるはずです。
古性選手⇔東口選手で決まれば堅くなるだけに、3連単の3着候補は、近畿での上位独占も狙えそうな藤田選手に加えて、今大会好調の山田選手など絞って買っておきたいところです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。