アプリ限定 2024/01/07 (日) 12:00 41
大宮競輪場で「東日本発祥75周年 倉茂記念杯(GIII)」が1月5〜8日の日程で開催されている。4日の前検日に取材していると、平原康多(41歳・埼玉=87期)が、何やら武藤龍生(32歳・埼玉=98期)とじゃれ合っていた。
「リーダー!リーダー!」
武藤が『リーダー』と呼ばれているケースはなかったので戸惑い、武藤は武藤で平原のことを「リーダー!」と呼び返すので、何が起こっているのかと…。武藤が変な表情をして去っていくと平原が「これは、コラムで書いてください。武藤龍生の呼び名が“リーダー”になったんです。埼玉のリーダーじゃないですよ、関東のリーダーです」と断言した。唐突過ぎてなぜそうなったのかは、詳しく聞けなかった。
とにかく皆様におかれましては、今後、武藤龍生のことを「リーダー」と呼んでください。
過去、書いたかと思うが、私自身が聞いたことのある異名、ニックネームでは“近代競輪の最高傑作”というものが秀逸だったと思っている。鷲田幸司(38歳・福井=92期)が、これもなぜそう呼ばれていたか不明だったが、なんだかよかった。
ワシコーは福井支部長を務めてもうすぐ任期の2年が経つ。発信力を武器に、競輪界のPR役としての働きも最近はこなしている。右も左もある世界。難しさを感じているようだったが、インターネット、SNSはもう切り離すことはできない。ワシコーの投稿により、その選手を深く知ることができて、ファンが「よし、応援しよう!」と即時的につながるケースがあるのは事実だ。
レースで頑張ることが選手としては一番であっても、進みゆく競輪界の情勢、置かれている環境の中で、新たな道を作り出すことも求められている。ワシコーはその意味で“近代競輪の最高傑作”足りうる。大変な状況は当方も承知するところ。
とにかく応援したい。
武藤龍生、はどこにたどり着くのか。最初の章の話になるが、平原は茶化しているだけではない。武藤の本質を見抜いているから「リーダー」の言葉をぶつけている。武藤も「今はまだ全然」を自覚しつつも、自分自身をむき出して平原の思いに応える覚悟は持っている。それは、表情からわかる。
選手には“格”がある。
現在、関東のマーク選手といえば諸橋愛(46歳・新潟=79期)が上位にいて、戦って戦ってを繰り返している芦澤大輔(41歳・茨城=90期)もすぐに名前が挙がる。競走得点ではなく、やってきたこと、を誰もが見ている。武藤も「競輪祭で、感じました」と下あごが天を貫きそうな勢いで、奥歯を噛んでいた。全国のマーク選手も、上にゴロゴロいる。
武藤の格はまだまだ、だ。関東のマーク選手としての頂点に立つこと、そこを目指すことはもはや義務。平原は、それを投げかけている。他のマーク選手から認められることと同時に自力選手から信頼されることが、「リーダー」の資格になる。
平原は、武藤がその存在になることで、関東がより大きく、より強くなることを知っている。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。