2023/12/10 (日) 12:00 3
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は別府競輪場で開催されているオランダ王国友好杯の決勝レース展望です。
SS班が3人(新田選手、松浦選手、守澤選手)が出場してきた【オランダ王国友好杯】ですが、その中で【KEIRINグランプリ2023】への出走が決まっているのが松浦選手です。
年末のグランプリに向けて、合宿などを行いながら調整を行っていく選手もいますが、松浦選手はレースを走りながらコンディションを上げていく選手です。
それは【オールスター競輪】での落車を挟んで出走した【火の国杯争奪戦】から、大会ごとにレースの内容が良くなってきた走りにも表れています。
個人的にも松浦選手が【オランダ王国友好杯】に参戦してきたことは、大会の盛り上がりに一役も二役も買っているはずです。また、準決勝までの3日間で全て車券に絡んでいるように、ファンの信頼に応える走りを見せているあたりはさすがと言えます。
決勝でも準決勝と同じように、佐々木選手の番手を回ると思っていたのですが、その佐々木選手からの申し出もあって、松浦選手-佐々木選手の並びになったのには驚きました。また2人の後ろは佐々木選手と同じ愛媛の渡部選手となり、中四国は3車でのラインとなっています。
他は全て2車でのラインとなり、北日本ラインは守澤選手-内藤選手。中近ラインで並んだのが三谷選手-浅井選手で、九州ラインは松本選手-大塚選手となっています。
4つのライン共に徹底先行選手が不在。強いて言えば先行してきそうなのは松本選手です。ただ、他の3名は松本選手が先行したとしても、3番手に付けられたのならば捲りきれるという頭はあるはずです。
それだけにスタートの位置取りが重要となってきます。まずは車番通りに松浦選手が前受けをした場合ですが、その後は車番通りに北日本ライン、中近ライン、九州ラインで並ぶことになります。
松本選手の先行を見越した三谷選手が、先にインを切ってくると思いますが、松本選手が動き出すより先に、守澤選手が前を叩きに行く展開も考えられます。
松本選手の3番手を誰が取りに行くかという争いが起こりスローペースになってしまうようだと、その争いに加わることなく、一気に先行していきそうなのが松浦選手です。
松浦選手の先行となれば番手の佐々木選手が有利となりますが、今の松浦選手なら1周ぐらいのカマシならばゴールまで残しきることも可能でしょう。この2人の1着、2着が三連単の本線と言えます。
松本選手が前受けをした場合は、車番の悪くなった三谷選手に続いて、守澤選手も抑えに行くはずです。その時に後方まで下げた松本選手が先行体勢へと入っていきますが、この展開になった時でも、先に松浦選手が動き出している可能性があります。
この展開となった時に中四国ラインの後ろに入っているのが守澤選手です。捲ってくる守澤選手と松浦選手とのSS班決着は、両者の実力を考えると、オッズ的には面白い組み合わせとなります。また、松本選手だけでなく、松浦選手の仕掛けも遅くなり、ごちゃ付いた時に三連単の頭までありそうなのが浅井選手ではないのでしょうか。
グランプリを控えている松浦選手ですが、3日間のレース内容を見ても、勝ちにこだわった走りをしているのは明らかです。
佐々木選手から前を任された以上、ラインを生かす走りをしてくるとは思いますが、結果として【KEIRINグランプリ2023】に向けて、最高の結果を残すのかもしれません。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。