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鈴木誠のハイブリッド展望

【競輪祭予想】絶対王者の脇本も先行した太田のスピードを前に、8番手からのレースでは届かない! その太田の番手から松浦が抜け出す!

2023/11/26 (日) 15:00 5

現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は小倉競輪場で開催されている朝日新聞社杯競輪祭の決勝レース展望です。

南関東ラインの番手を回る松井は、深谷の仕掛け次第ではグランプリも見えてくる!

 今年最後のGIとなった【競輪祭】は、【KEIRINグランプリ2023】の出走メンバーが決まる重要なレースでもあります。

 決勝進出をかけた準決勝も白熱したレースが続いていきました。10レースは番手の郡司選手が捲ってきた寺崎選手に続き、眞杉選手も止めた結果、南関東ラインの3番手を回っていた簗田選手が勝利、カマシていった松井選手も2着に粘り込みました。

 11レースは先行した新山選手が北津留選手に続いて、北井選手も突っ張ったにもかかわらず、その上から捲っていった太田選手のスピードには目を見張るものがあります。中国ラインの後ろから巻き返しを図っていた北日本ラインですが、外から交わしにかかった新山選手を止めただけでなく、内から踏み出していった佐藤選手も抑え込んだ、松浦選手の番手の仕事も見事でした。

 12レースは8番手を回っていた脇本選手が、ジャン前の2コーナーから一気に仕掛けていきます。前受けをしていた深谷選手は、単騎の森田選手を止めると、近畿ラインの後ろに入って3番手をキープ。その深谷選手は4コーナーから強襲してくると、最後は逃げ粘る脇本選手を交わし切ります。

 決勝は準決勝と同じ並びとなったのが、脇本選手-南選手の近畿ライン、太田選手-松浦選手の中国ラインとなりましたが、3車が勝ち上がった南関東ラインの並びは、深谷選手-松井選手-簗田選手となりました。そして眞杉選手と北津留選手は単騎となっています。

 注目すべきは南関東ラインの並びと言えるでしょう。今大会の走りからしても、前を任されると思っていた松井選手が、自ら志願をして深谷選手の番手となったようです。

 深谷選手はグランプリ出場を確定させているとはいえども、松井選手のためにどこまで積極的なレースをするのかは、スタートの位置取りも深く関わってくると言えそうです。

 決勝で1番車となったのは脇本選手です。前受けをしやすい車番でもありますが、準決勝では前受けをしたのは、共に決勝に進出してきた深谷選手でした。

 まず、脇本選手が先行した場合から、展開を想定していきます。近畿ラインの後ろは中国ラインであり、その後ろが南関東ラインとなります。単騎の2人はその切れ目に入っているはずです。

 深谷選手が脇本選手を抑えに行ったときに、脇本選手は8番車まで車を下げるはずですが、中団となった太田選手が一気にカマシて行くと、深谷選手は準決勝と同じような展開を作れます。

 太田選手が飛ばしていったのならば、いくら脇本選手と言えども、8番手からの巻き返しは難しそうです。そうなれば、ゴール前で松浦選手が抜け出してくるところを、直線勝負にかけた深谷選手とゴール前で接戦を繰り広げているはずです。

 ただ、深谷選手が前を取った場合には、脇本選手は8番手まで下げた位置からレースを進めていきます。脇本選手は深谷選手を抑えることなく、ジャン前からのカマシ先行となっていきますが、それよりも先に仕掛けていきそうなのが、南関東ラインの後ろを回っている太田選手です。

 前受けをしている深谷選手は、突っ張り先行も考えられますが、太田選手を前に行かせたとしても、3番手となればかなり有利となります。単騎の2人(眞杉選手、北津留選手)も中国ラインの後ろを狙っていきますが、深谷選手は横の動きもできるだけに、眞杉選手に前に入られたとしても、北津留選手は止めにかかるはずです。

 脇本選手は太田選手よりも先に踏み出していけるかですが、勝てる位置からの仕掛けを考えているのでしょうし、それで動き出しが遅くなってしまうと優勝どころか、車券に絡むのも難しくなってきます。

 この展開となった時に優勝まで見えてきそうなのが、中国ラインの後ろを回っていた場合の眞杉選手です。今大会における眞杉選手は、出来の良さも目立っているだけに、松浦選手が深谷選手を止めに行くような展開となれば、その内から突き抜けていくのかもしれません。

 もし、中国ラインと単騎2人の仕掛けに反応が遅れて、深谷選手が5番手となった場合には、その位置から早めに捲っていく可能性もあります。その展開となれば、深谷選手のスピードに乗った、松井選手の番手捲りが決まるとも言えそうです。

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鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

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