2023/11/19 (日) 12:00 2
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は大垣競輪場で開催されている施設整備等協賛競輪in大垣の決勝レース展望です。
S級S班の選手が不在となった【施設整備等協賛競輪in大垣】は、初日、2日目と堅い配当も出ていましたが、3日目は三車単で10万車券が3つ、20万車券が1つという大荒れのレースが続きました。
今大会は【朝日新聞社杯競輪祭】を控えた開催で、レースの主導権を握っていくような、S級S班の選手が不在となっています。
そこに大垣競輪場ならではの風の影響に加えて、昼過ぎから降り続いた雨が、バンクコンディションを更に悪化させていました。
今大会はどの選手も優勝のチャンスがあると思っていたはずですし、しかも優勝戦で上位3着までに入った選手は、来年の【競輪祭】への出場権を得ることができます。
その前向きな気持ちが時として出入りの激しいレースとなり、そこにバンクコンディションも伴う形で、更に予想を難しくさせていました。
それだけに大垣バンクを良く知る、地元選手の奮闘を期待していましたが、決勝に勝ち上がってきたのは志田選手だけとなっています。ただ、後ろに中近ラインで大阪の松村選手が付けてくれたのは心強いはずです。
阿部(将)選手-成松選手の九州ラインも想定通りでしたが、岡山の片岡選手に埼玉の阿部(大)選手が連係したのは、決勝も混戦が想定されるだけに、1つでも上の着順を狙っていくという両者の思惑が一致したのでしょう。
その意味で唯一の3車となった、南関東ラインの青野選手-山賀選手-白戸選手は、最も強固なラインとなりました。それは神奈川両者の青野選手-白戸選手では並ぶのではなく、間に番手の仕事ができる、山賀選手を挟んでいることからも明らかです。
スタートを1番車の志田選手が取った場合には、3番手に青野選手、6番手に片岡選手となります。
8番手となった阿部(将)選手が志田選手を抑えに行った時、後方となった片岡選手は前を切りに行きますが、バックの回数からしても、先行するのは青野選手となりそうです。
ただ、青野選手は先行だけでなく、前に出た時には、その位置で流していくような走りもしてきます。そこで連日に渡って先行してくる志田選手がカマシてくるようならば、3番手に引いてからのレースも頭には入っているはずです。
その捲り追い込みが届く青野選手-山賀選手の3連単が本線となりますが、先行した志田選手のかかりが良く、松村選手がしっかりと番手の仕事をした時には、その松村選手が頭となる車券が穴となってきます。
混成ラインとはなりましたが、片岡選手も今大会は調子がいいだけに、志田選手と青野選手が前でやり合うようならば、捲りにはおあつらえ向きの展開となるはずです。
阿部(将)選手も捲りを狙っているはずであり、青野選手、松村選手を3連単の頭に据えるのなら、こうした自力型の選手を2着、3着に入れた車券も狙っておいた方が良さそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。