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運命を懸けた競輪祭「吹っ切れる強さが最後の一枠を掴む」グランプリ出場を争う最終決戦を高木真備が読む

アプリ限定 2025/11/15 (土) 18:00 3

今年最後のGI「朝日新聞社杯競輪祭」が小倉競輪場で開幕する。KEIRINグランプリ出場を懸けた運命の戦い。わずかな判断、わずかな仕掛けが一年の結末を左右する。元ガールズケイリン女王・高木真備が、400バンクで繰り広げられる勝負の行方を読み解き、各地区の勢力図や選手たちの心理を深掘りし、競輪祭の行方を自身の視点で大胆に予想する。

元ガールズケイリン女王・高木真備。冷静な分析の奥に、レースを愛する温かな眼差しがある(写真撮影:北山宏一)

ーー小倉競輪場、ドームという舞台にはどんな印象をお持ちですか?

 ドームといっても前橋とは全然違っていて、実はあまり“軽くない”んですよね。風の影響はないはずなのに、なぜか重く感じる選手が多いんです。前のレースの走行風が残るとか、空調の流れが微妙に影響しているとか、いろんな説があります。同じドームでも「軽い」と言う人と「重い」と言う人に分かれる、少し不思議な舞台です。

ーー前橋では嘉永泰斗選手がGI初優勝を飾りました。この勝利をどう受け止めましたか?

 動ける自力型の選手が勝ったというのが印象的でした。単騎で走ったことがプラスに働き、自分のタイミングで仕掛けることができたのだと思います。ドーム特有の展開をものにした見事な優勝でした。九州勢としても、久々のタイトル。来年行われる熊本での全日本選抜競輪など、復興ムードも含めて良い流れが来ていますよね。

前橋GIで悲願の初優勝を果たした嘉永泰斗。九州勢に勢いをもたらした存在として注目が集まる。(写真提供:北山宏一)

ーーグランプリ出場権争いも佳境です。この時期の空気感はどうですか?

 競輪祭は本当に独特です。私が現役当時、ガールズはまだGIではありませんでしたが、この大会だけは“グランプリ出場権”が懸かっていたんです。男子も女子も、会場全体がピリピリしていて、雰囲気がまるで違います。出場権を取った選手の余裕、ボーダー上で戦う選手の焦り、そして「取るしかない」選手の覚悟。その三層の緊張が交錯する、独特の張り詰めた空気なんです。

ーー賞金ランキングを見て、ボーダー争いの注目選手は?

 9位の深谷知広選手ですね。先日の小田原記念では郡司浩平選手が前を取るラインになり話題になりましたが、今回も競輪祭でも郡司選手が前で深谷選手が番手という並びもありそうですね。平塚でグランプリを控える年末、南関勢は「一人でも多く送り込みたい」という強い思いがあるはずですから、そうした“地区の結束”も見どころです。

南関の要・深谷知広。郡司浩平との連係で“最後の一枠”を狙う。(写真提供:北山宏一)

ーーほかにこの大会で注目されている選手はおりますか?

 犬伏湧也選手ですね。去年の競輪祭決勝は同じラインの松浦悠士選手もボーダーでした。結果として、自分が勝ちにいく判断をされたのだと思いますが、犬伏選手のその勇気がすごいなと感じました。もちろん賛否両論ありましたが、私は“自分が勝つことにかけた勇気”を評価したいです。今年の寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメントでは仕掛けられずに悔しい結果でしたが、その気持ちは、想像するだけでも苦しかったと思います。だからこそ、もう一度チャンスをつかんでほしいと思います。

ーー「グランプリに出られる選手」と「あと一歩届かない選手」、何が違うと思いますか?

 うーん、難しいですね。でもやっぱり、“吹っ切れる強さ”みたいなものはあると思います。(過去に何度も競輪祭でグランプリの切符をつかんだ)平原(康多)さんのように、長年の経験の中で悪い時期も良い時期も乗り越えてきた選手は、ここ一番で強さを発揮できるのかもしれません。逆に経験が浅いと、「また失敗したら」と怖くなる。経験は良くも悪くも作用します。悪い記憶がトラウマになることもあるし、それを糧にできる人もいる。心の使い方が結果を分けるのかもしれませんね。

勝負どころでの勇気ある判断が光る犬伏湧也。再びタイトル奪取へのチャンスをつかめるか。(写真提供:北山宏一)

ーー近畿勢は脇本雄太選手が欠場。流れが良くないですが、現状をどう見ていますか?

 古性選手は怪我明けで、まだ本来の動きを探っている途中かもしれませんね。前半戦のような勢いが戻っていないのかなと。寺崎選手ももちろん強いですが、寛仁親王牌では絶好調ではなかった気がします。すでにグランプリ出場を決めている選手は、どうしても“ここをピークにしづらい”かもしれないですよね。そういう意味で、出場権を懸けて戦う選手の方が、ピークを競輪祭にあわせているかもしれませんね。

ーーその他の地区、たとえば中四国勢はどうでしょうか?

 今大会が勝負どころですよね。中四国に加え、北日本も同様です。来年のグランプリがいわき平競輪場で開催されます。その出場を見据えて、次の一年をS班で迎えたいところでしょうから、「競輪祭で勝っておきたい」と思っているはずです。とくに新山選手は小倉競輪場との相性が良く、毎年競輪祭では圧巻の先行を披露しているイメージがあります。トップスピードを維持できるタイプで、今回も上位は十分ありそうです。

小倉バンクと好相性の新山響平。北日本勢の希望を背に、S班での新たな一年を目指す。(写真提供:北山宏一)

ーー波乱を起こしそうな伏兵的な存在はいますか?

 九州の若手に注目しています。嘉永選手の優勝で、同世代が「負けていられない」と刺激を受けている。伊藤旭選手など若手が勢いで台頭する可能性は大いにありますね。

ーー今年最後のGI「小倉競輪祭」をファンはどんな視点で楽しめばいいでしょう?

 グランプリ最後の一枠を懸けたこの大会は、見る側にとって最もドラマチックだと思います。走る側は本当に胃が痛くなるほどの緊張感ですが、ファンにとっては“人間ドラマ”を味わえるレース。賞金順位を見ながら、「この人が勝てばグランプリ」「ここで負けたら終わり」という物語を感じながら観戦すると、何倍も楽しめると思います。

ーー現地にも行かれるそうですね?

 はい、小倉には毎日入ります! 最終日にはイベント出演もあります。今回はSNSを使って、場内のおすすめスポットやグルメを紹介するお仕事もあるので、ぜひチェックしてください。私は食いしん坊なので(笑)、グルメも全力でリポートします!

競輪祭期間中はSNSで会場の魅力を発信予定。「食いしん坊レポート」もお楽しみに。(写真提供:北山宏一)

ーーそのために、ダイエットも継続中とか?

 そうなんです(笑)。脂質量をコントロールして、食べたい日は前後で調整するスタイルにしています。我慢するよりも、バランスを取りながら長く続ける方が性に合ってるんです。競輪祭の6日間は、美味しいものを思い切り楽しみますよ!

高木真備さんが朝日新聞社杯競輪祭決勝を予想します(11/24公開)!どうぞお楽しみに!

※競輪は適度に楽しみましょう

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