2023/11/15 (水) 12:00 17
大垣競輪場で11月16〜19日の日程で「第9回施設整備等協賛競輪(GIII)」が開催される。10月弥彦競輪の「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」で初のGI決勝進出となった河端朋之(38歳・岡山=95期)が、昨年5月の青森競輪以来のGIII優勝を目指す。
この施設整備等協賛競輪はビッグレースの前後に行われることが多く“裏記念”と呼ばれることもある。
「記念」と「GIII」という微妙な格差がある状況だが、ここでは置いておく。とにかく河端にとっては、こうした開催での結果が求められる。
長くナショナルチームで活躍し、2018年の世界選手権(オランダ)ではケイリンで銀メダル獲得。その脚力はGI優勝クラスと言われながら、競輪での結果がどうにもついてこなかった。ようやく昨年GIIIを制覇、今年やっとGI決勝の舞台にたどり着いた。“カワバタスマイル”と呼ばれる笑顔からは感じられないが、苦労しかしていないというシワがその顔には刻まれている。
脇本雄太(34歳・福井=94期)が体の奥の箇所に骨折を負ったように、河端も重度の腰痛に襲われた。世界で戦うためには、体を壊しながらでも強くなることが必要になる。オリンピックに出る夢はかなわず、ナショナルチームを離れ、競輪に集中するとなった時に体は動かなくなった。
2021年10月から翌年の2月まで長い欠場がある。苦しみだけと向き合った。
その過酷さに耐え、青森での美酒があった。腰は完全に治るというわけではなく、長い付き合いになる。つかめなかった果実を、これから必死に手にしていく。寬仁親王牌で決勝に乗った時、河端の“これから”が始まったと思う。
世界選手権で銀メダルを獲得した後、帰国したまま空港で記者会見が開かれ、それを取材した時にものすごく誇らしく思ったことが今、頭に浮かぶ。
上田尭弥(25歳・熊本=113期)の復活が待たれる。2021年3月のここ、大垣記念で決勝に勝ち上がった。単騎大ガマシで見せ場を作り、落携入の8着という結果ではあったものの「九州から大砲現る」を知らしめた。
ただし、順調かに見えた出世の道はおぼろげになる。低迷が続き、ビッグレースからも遠ざかる日々。今年は熊本記念のあっせんもなかった。一敗地に塗れる現在だ。
思い出の地で自分を取り戻してほしい。爆発力あふれる走りを、取り戻してほしい。
志田龍星(26歳・岐阜=119期)と橋本優己(23歳・岐阜=117期)はビッグレースに顔を出し、随所に素質の片鱗を見せている。だが、甘さを露呈するケースもあり、もうひとつ上が求められている。
競輪は気持ちの面が強い作用を及ぼす。今回の地元戦で、地元のプレッシャーと戦い、打ち克つことが先につながる。
山口富生(53歳・岐阜=68期)は高松でS級最年長優勝の記録更新にあと少し…だった。続く当地のヤマコウカップでは無念の落車。今回、取り返してほしい。また、神山雄一郎(55歳・栃木=61期)も参戦。
レジェンドたちの戦いぶりからも目が離せない。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。