2023/10/31 (火) 15:00 3
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は京王閣競輪場で開催されているゴールドカップレースの決勝レース展望です。
多摩川沿いにある京王閣競輪場は、川の近くや海の近くにある他の競輪場と同じように、風の影響を受けやすいバンクでもあります。
ただ、ナイター開催だと風が落ち着く傾向があります。自分も準決勝が行われた3日目は、予想会やCSの解説の仕事で競輪場にいましたが、肌感覚からしても、風の影響がほとんど感じられなかったように思えました。
こうなると台頭してくるのが、バンクの形状を生かして、粘り込みを図る先行選手たちとなります。
特に今大会は若手の自力型の走りが目立っていた中で、準決勝でも10レースではカマシた藤井選手、12レースでも突っ張り先行の形となった晝田選手が勝利。11レースも中釜選手が鮮やかな捲りを決めました。
決勝の並びも中釜選手-東口選手の近畿ライン、晝田選手-香川選手の中四国ライン、藤井選手-柴崎選手の中部ラインと、若手の3人がラインを先導しただけでなく、ベテランの新田選手も佐藤選手と北日本ラインを形成。一方、準決勝では佐藤選手、阿部選手と北日本の選手たちと連携してきた北井選手ですが、ここは単騎戦となりました。
この並びだと、前受けをするのは1番車となった新田選手となりそうです。その後ろには単騎の北井選手が入っているのではないかと思います。
その後は車番通りに行けば中釜選手-東口選手、晝田選手-香川選手で流れていくのなら、新田選手を抑えに行くのは8番手の藤井選手となります。その時の晝田選手も仕掛けていくようならば、ここで同期(115期)2人の先行争いが起こるのかもしれません。
競輪学校での在校成績では藤井選手の方が上位でしたが、晝田選手も今大会では積極的なレースを見せています。ただ、この2人がやり合えばやり合うほど、展開が向いてきそうなのが新田選手です。
新田選手は準決勝でラインでのレースができなかったものの、それでも3着に入ったように、さすがSS班と言えるような力を発揮しました。4分戦ならば捲りも出やすくなるだけに、番手を回る佐藤選手から3着に流す車券が本線となります。
ただ、四分戦となっただけに怖い存在と言えるのが北井選手です。位置取りには苦労しそうですが、それでも先行したラインの3番手からの捲り、あるいはカマシも決まってしまえるほどの脚力は備えています。配当的な面からも、北井選手が頭となる車券は魅力があります。
ただ、若手選手たちの動き出しを見て、中釜選手も黙っているとは思えません。もし、中釜選手がかましていくようだと、先行したラインの番手といった、いいところにはまっていそうなのが藤井選手となります。
その展開も想定して、藤井選手の1着固定の3連単も穴で狙ってみたくなります。若手選手にとっては、G3制覇のまたとない機会となった感もあるだけに、明日も最高のバンクコンディションの中でレースが行われて欲しいと願うばかりです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。