閉じる
鈴木誠のハイブリッド展望

【寛仁親王牌予想】神がかった選手が勝つのか? 神頼みが天に通じるのか? 運と実力を兼ね備えた古性が、今年3つ目のGIタイトルを掴み取る!/鈴木誠の展望

2023/10/22 (日) 12:00 2

「地元3割増し」は諸橋のためにある言葉! 捲ってくる小松崎の一発にも注目!

【寛仁親王牌】が開催されている弥彦競輪場は、古くから信仰を集めてきた彌彦神社の境内に開設されています。

 現役時は新幹線で燕三条駅で下車をした後に、そこからタクシーに乗って競輪場まで移動していたのですが、その道中にあるのが、日本一大きいとされる彌彦神社の大鳥居です。

 この下を通るたびに、改めて弥彦競輪場に来たのだなという気持ちと、神様がすぐ近くで見ている中で、中途半端なレースは出来ないと身が引き締まる思いがしていました。

 自分もそうでしたが選手の中にも前泊した上で、境内を散策しながら活躍を祈願したり、優秀な成績を残した後や、無事に大会を走り終えたことに対しても、お礼に行っているようです。

 今大会で事前に祈願へ行ったかどうかは聞いていませんが、連日のように神がかったような走りを見せているのが、初日の特選、ローズカップ、準決勝と3連勝をあげている古性選手。そして、同じく初日の一次予選から、3連勝で決勝まで勝ち上がってきた和田選手です。

 今大会で「神がかっている」との言葉が、ピッタリと当てはまるのが和田選手と言えます。準決勝の11レースでは、前を任せた郡司選手が内に包まれて出て来れなかったところを、直線では僅かな隙間から鋭く伸びての優勝。3日間共にコースが良く見えた走りができています。

 一方、勝負運もさることながら、競輪選手としての総合力をフルに発揮して勝ち上がってきたのが、古性選手と言えるでしょう。

 ローズカップでは先行した関東ラインのインに飛びつき、眞杉選手の番手に付けていた平原選手を捌ききると、直線ではその眞杉選手を交わしきるというテクニカルな走り。一方、準決勝の10レースでは先行した新山選手を捲り切ったように、脚力も一級品であることを証明しました。

 決勝でその古性選手の後ろに付けるのは、準決勝でも連係した同じ大阪の南選手です。一方、準決勝の12レースで豪快な捲りをみせた小松崎選手の後ろは、同じ福島の佐藤選手-渡部選手の並びとなりました。

 問題はこのメンバーで唯一の徹底先行と言える、犬伏選手の後ろに誰が付けるかでしたが、ここは地元の諸橋選手が主張する形となり、和田選手と河端選手は単騎戦となりました。

 展開の鍵を握るのは連日に渡って先行を見せている犬伏選手です。今大会では逃げ切りこそありませんが、自分の踏める距離からやすやすと先行を許してしまうと、他の選手たちの巻き返しは厳しくなります。

 ただ同じ先行でも、犬伏選手が道中で脚を使うような展開となれば話が違ってきます。その際は犬伏選手-諸橋選手の後ろ、つまり3番手が絶好のポジションともなりますが、そこに入っていそうなのが、脚力だけでなく、横の動きも巧みな古性選手です。

 本命はその場所を取り切っていそうな古性選手と見ていますが、そこで鍵となるのは、誰がスタートを取るかです。

 一番車に入ったのは佐藤選手です。だからといって小松崎選手が前を取ってしまうと、後ろから古性選手が抑えに来た時に、犬伏選手にあっさりと先行されてしまいます。

 かといって、古性選手も前を取りに行くのは得策ではありません。結果的には準決勝の12レースと同じように牽制も入れながら、犬伏選手を前に出させていくはずです。

 そうなれば、最後方となった古性選手が犬伏選手を抑えに行ったところを、小松崎選手がインを切って先行体勢へと入っていく。こうなれば、犬伏選手は後ろまで車を下げざるを得なくなります。

 そこから脚を使ってでも先行してくるのが犬伏選手ですが、その時、小松崎選手がどう動いていくかもポイントとなってきます。

 準決勝と同じように、一旦、後方に下げて脚を溜めてから、捲りを狙ってくる手もありますが、犬伏選手の踏み出しに合わせていけるようだと、古性選手ではなく、小松崎選手が3番手に入れる可能性も出てくるからです。

 後ろから古性選手が捲ってくる前に踏み出していけるようだと、G1初制覇も見えてきますし、上位に絡んできた場合でも充分に高配当が期待できます。

 そして、地元のファンの声援を受けて、まさに「地元3割増し」のレースが期待できそうなのが諸橋選手です。

 諸橋選手は2年前の【寛仁親王牌】でも、決勝に進んでいますが、その時は8着に敗れています。犬伏選手の番手を回れる今大会は、その時のリベンジを果たすには願っても無い展開となりました。

 かかりきった犬伏選手の先行を、番手の選手が交わすのは諸橋選手にかかわらず、どの選手でも難しいはずです。ただ縺れる展開となるようだと、彌彦神社の神様が諸橋選手に、ビクトリーロードを切り開いてくれるのかもしれません。

レース情報はこちら

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

バックナンバーを見る

質問募集

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。
あなたからコラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。

鈴木誠のハイブリッド展望

鈴木誠

千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。

閉じる

鈴木誠コラム一覧

新着コラム

ニュース&コラムを探す

検索する
投票