2023/10/18 (水) 12:00 35
弥彦競輪場で10月19〜22日に、「第32回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」が開催される。今年のGIは全日本選抜競輪を古性優作(32歳・大阪=100期)、ダービー(日本選手権競輪)を山口拳矢(27歳・岐阜=117期)、高松宮記念杯競輪をまた古性、オールスター競輪を眞杉匠(24歳・栃木=113期)と、古性が実力を発揮しつつ、若手の戴冠と話題が揺れ動いている。
そして、今大会は脇本雄太(34歳・福井=94期)がオールスターの落車で負ったケガの影響で欠場とすでに波乱含み。S班の多くがケガに襲われているのも、若手の台頭を進めている面はある。とはいえ、ある意味では自然な流れでもあり、今回も若手から優勝者が出ても、普通のことといっていい。
S班は確かにレベルの違う強さを備えている。しかし、若者の勢いはそこに急速に向かっていく。苦しんでいる平原康多(41歳・埼玉=87期)としては、ケガと、また年齢との戦いにもなる。昨年のKEIRINグランプリが10年連続で13回目の出場。“今年も”のためにはGI優勝しかない状況である。
今回、平原が優勝してグランプリの切符をつかむシーンは、奇跡というべきか。これまでの戦いを見れば、叶って当然の実力者。それでも、グロインペイン症候群という難しいケガと戦い、他の選手の勃興がある中、だ。困難なのは事実。
他のスポーツや競技、いろんな場面で人間は大逆転を演じてきた。直近では将棋の藤井聡太七冠(王座戦対局時)が八冠を決める対局が逆転のそれだった。永瀬拓矢王座(同)が、最後の最後に詰めを欠き、勝てる一手に手が行かず、それに気が付いた王座は悶死するほど。盤面を目に、対局者を前に頭をかきむしり、己を悔いていた。
勝負事は本当に最後まで何があるかは分からない。
この大会の平原を見る時、奇跡を起こす、といった感じではなく、平原が平原らしく戦っている姿だけに集中したい。結果が出た時に、感じたことを受け止めたい。苦しい姿を見るかもしれないが、大いに注目しつつ、冷静に見守りたい。
平原に対して感傷的な気分になっているのは、自分も年齢を重ねてきたからだと思う。私が取材してきている間は、数多くの、年齢を重ねても強い選手たちが活躍してきた。ワッキーにしても長い時間をかけて、今の位置にたどり着いた。顔ぶれが一気に入れ替わる、ということはあまり体験していない。
若くして衝撃を与えてくれたのは、深谷知広(33歳・静岡=96期)。その後“深谷効果”と言われたように、深谷の出現で他の選手たちは強くなる方法をそれまで以上に模索し、全体のレベルが上がった。みんな年齢を重ねても、強さを増していった。
ただ、その時は来ているようだ。主役は20代の選手たちになっていく。平原は確実に一つの象徴。今回と競輪祭の2つのGIの意味が襲い掛かってくる。それはもちろん今年のグランプリの意味になる。
犬伏湧也(28歳・徳島=119期)、嘉永泰斗(25歳・熊本=113期)、そして寺崎浩平(29歳・福井=117期)と中野慎詞(24歳・岩手=121期)、太田海也(24歳・岡山=121期)のナショナルチームの主力勢も覇権争いに加わってくる。
競輪業界としては待ち望まれた一年になるかもしれない。
そしてそれは、そこに抗う選手たちの戦いの始まりでもある。今回は、今年の中でも、この何年かの中でも、エポックメーキングな大会になるだろう。
ただ、立川グランプリの時には佐藤慎太郎(46歳・福島=78期)は車券に入れとかないとな…と思う。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。
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