2023/08/31 (木) 18:00 32
netkeirin読者のみなさんこんにちは! 太田りゆです(бвб)♡
8月は大事なレースが連続しました。自転車競技者として世界選手権に出場し、競輪選手としてオールスター競輪ガールズドリームレースを走りました。今月のコラムはそれぞれの開催を振り返りたいと思います。
今回はパリオリンピック前の“最後の世界選手権”ということもあり、「ポイント獲得に向けて」や「オリンピックを想定して」など、ここ数年と比較してみても、参加選手の仕上がり具合も最高潮でした。たくさんの国々が新機材などをドンドン投入してきていたし、みんなめちゃくちゃ強かった。イギリスチームなんて、レースで走るとき以外はユニフォームすらちゃんと見せないようにしている徹底ぶりでした。(一体どんな素材を使っているの?)
さて、私の最終結果ですが『ケイリン』が11位で『スプリント』が17位でした。いつも応援してくれるみなさんが順位を見たとき、“ガッカリ”な印象を受ける数字かもしれません。でも、今戦いを終えた私としてはこの結果をポジティブに捉えています。
ケイリンは世界選手権としては過去最高順位で、いつも勝ち上がれていない準々決勝を勝ち上がることができました。決勝には乗れませんでしたが、予選〜順位決定戦の5本のレースをすべて走ることができたし、世界選手権という舞台でこれができたことは大きな経験でした。
ですが、私が得意としているスプリントは…。ここまでのシーズンを通して結果を出しながら“イイ感じ”に進めていた種目だけに、残念な結果でした。予選のタイムも伸び悩み、10秒8台を出してしまいました。公式のレースでこのタイムは久しぶりで、「こんな大事な時にこんなタイムでショック」というよりも自分に腹が立つような感覚でした。
ここ最近は10秒7台をコンスタントに出せていましたし、前回アジア選手権では10秒5台の自己ベストを更新できていたため、まったく納得できませんでした。言い訳を探せば複数の要因があります。
『いつもの大会スケジュールと異なり、ケイリンを走ってからスプリントだったこと』や『ケイリン5本を夜までやり、すぐ翌朝に予選200mタイムトライアルを実施したこと』、『開催地のグラスゴーは標高が低く、タイムが出にくい環境だったこと』などは、私にとって大きな影響がありました。何か月も調整し、用意しているスケジュールでは一発目がスプリント予選なので、このあたりがうまく対応できず、力を発揮できなかった原因だったと振り返っています。
とはいえ! スプリントで上位の成績を残しているメンバーはもちろんケイリンだって強くて、みんな5本走っていました。その事実から考えれば、そこに言い訳はできません。『とにかくその日その場所で最大限速く走ること』を大事にしていかなくてはいけないと思いました。
日本チームとしては、まだまだオリンピックの枠取り争いは続きます。ですが、今のところは個人種目で2枠を取れそうな状態です。引き続きパリオリンピックで私を使いたいと思ってもらえるように強くアピールできるように、貪欲に結果を求めて頑張ります!
その世界選手権の約一週間後、私の地元埼玉の西武園競輪場でガールズドリームレースがありました。ナショナルチームのジェイソンコーチには「世界選手権の後は休むように」と言われていたけど、頑張れない状態で迎えたくなかったです。
オールスターまではトレーニングを続けることを伝え、帰国してからは休まずガールズケイリン用の自転車に乗り、できる限りの準備をしました。みんなにファン投票で選んでもらった地元のレースであり、しかも当日は私の誕生日(^^)! 気合が入らない理由がないです。
結果は2着でした。私はゴールで差したか差せなかったのかわからない状況でした。そんな中、スタンドのお客さんが「りゆ! りゆー! りゆおめでとー!! !!」と声をかけてくれていて、私のファンの方が喜んで泣いている姿もフェンス越しに見えました。「あれ? 私差したのか? え? 私!? 獲れたの!? !?」という心境になりました。
全然2着でした(笑)。写真を見て確認しましたが、全然差してない(笑)。私の感覚はどうなってるんだ! まったくもって「児玉選手おめでとうございます」でした(^▽^;)
以前はガールズケイリン用の自転車やギヤ比、ルールで走るとき、「ビッグレースのメンバーは捲れない」という思いが強かったです。でも、ここ数か月は「捲りでも戦える」という自信も湧いてきていました。
だから、今の私の武器であり、みんながその走りを「カッコイイ!」とか「好きだ!」と言ってくれる「捲り」で戦うことを第一優先にレースを走りたいと思っていました。優勝は幻だったわけですけど、しっかり構えて、勝負所でしっかりと捲りを放てたことが本当に嬉しかったです。自分が今後どうしていきたいのか? 行くのか? をすごく自分自身で感じられたレースになりました。
『タイトルを獲得すること』について、応援してくれるみんなにはかなり長い間待たせているけど、私は必ず獲りたいと思ってます。これからも変わらずに温かい応援をよろしくお願いします( •ᴗ• و(و" 次の私の予定は9月末に開催するアジア大会と10月2日〜4日開催の松戸競輪「オールガールズクラシック(GI)」です。
それでは今月のコラムはここまでにします! 実はこのコラムを書いている今なんですけど、(オールスター終了後から)“かなり長めのオフ”を過ごしていて、トレーニング復帰後の筋肉痛のヤバさを想像しての恐怖を感じながら書いています。コラムが公開される頃には痛みと戦っていると思います(笑)。それでもアスリートとして頑張れる日々、競技者として夢に向かう日々を目一杯楽しみたいと思います!
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太田りゆ
Ota Riyu
埼玉県上尾市出身。112期生のガールズケイリン選手。2017年7月、高松競輪場でデビューし初勝利。同開催で完全優勝を成し遂げ、デビューシリーズから大きなインパクトを与えた。また自転車競技選手としてナショナルチームに所属し、数々の国際大会に出場。2019年のワールドカップでケイリン種目で銀メダルを獲得した。2021年の東京五輪にはリザーブ選手として日本代表に選出された。東京五輪終了後はパリ五輪をめざしナショナルチームで活動する一方で、ヨーロッパエリアで開催しているチャンピオンズリーグにも参戦。チームの支援のない状況下で世界の強豪を相手に戦い抜いた。2022年、2023年とアジア選手権スプリント種目で金メダルを獲得し連覇を果たしている。そして2024年、日本代表選手に選出され、パリ五輪に出場。ケイリン種目では日本人女子歴代最高順位となる9位の成績を残した。パリ五輪終了後に日本代表引退を宣言し、競技を引退。ガールズケイリンに専念することを表明した。趣味はメイクとファッション、ディズニー。パワーの源はコカ・コーラ。