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前田睦生の感情移入

【燦燦ダイヤモンド滝澤正光杯】平原康多が目指す脇役、ついにその時代が…

2023/08/25 (金) 12:00 29

平原康多の新しいステージは始まった(撮影:北山宏一)

平原康多が目指す脇役

 8月26〜29日に松戸競輪場で「開設73周年記念燦燦ダイヤモンド滝澤正光杯(GIII)」が開催される。西武園競輪で開かれた「第66回オールスター競輪(GI)」でようやくの活躍を披露したのが関東勢で、平原康多(41歳・埼玉=87期)の思いはひとしおだろう。

 新星たちが数多く出現し、近年は「俺はもう脇役で」と話す機会が増えてきた。
 しかし、若手たちは壁に当たり、苦しみ、平原を脇役とさせてくれるまでには至らなかった。そこを吉田拓矢(28歳・茨城=107期)が人間の壁を破る走りを見せ、眞杉匠(24歳・栃木=113期)のGI初優勝につながった。平原は真後ろにいて、清水裕友(28歳・山口=105期)との並走で後退はしたものの、感じるところは大きかったはず。

 今年、あまりにも多いケガに襲われ、状態はまだまだ。今節も大きな上積みは望めなくとも、吉田有希(21歳・茨城=119期)、菊池岳仁(23歳・長野=117期)、橋本瑠偉(28歳・栃木=113期)、そして森田優弥(25歳・埼玉=113期)と前を託せる選手が一緒だ。木村皆斗(21歳・茨城=119期)も来年以降はGIでの活躍が期待できる男だ。彼らを引き立て、これからの自分の姿を作っていく。

 脇役の仕事をする平原の取材が、また楽しみだ。

南関は関東に一歩先を行かれた

郡司浩平は耐えてまた大きくなる(撮影:北山宏一)

 南関勢は西武園で自分たちがやりたかったことを関東勢がやったことで、今回は譲れない。郡司浩平(32歳・神奈川=99期)は落車もあっての戦いになるが、地元千葉勢がいる中でも、今の郡司を盛り立てられるかが南関のカギになる。

「お前のためにラインがあるんじゃねえ。ラインのためにお前がいるんだ」

 競輪の言葉でも好きなものの一つだ。郡司が南関のために戦ってきたものを、今こそ郡司に対して示したい。深谷知広(33歳・静岡=96期)も西武園の悔しさで、胸は張り裂けんばかりだろう。すぐに松戸で「滝澤正光杯」で爆発できるチャンスがあるのは、雪辱の舞台でしかない。

 和田健太郎(42歳・千葉=87期)や岩本俊介(39歳・千葉=94期)も歳を取ったが、この大会は別格。遠征勢の好きにはさせない。

松本貴治はここが正念場

松本貴治はすでに正念場といえる(写真提供:チャリ・ロト)

 松本貴治(29歳・愛媛=111期)はGIで初めて決勝に乗った直後の大会になる。中四国の核となっていくために、苦しい構成の今回に結果を残せるか、注目が集まる。タイトルを獲るためには、GI決勝に乗り続けることが一番だ。そこに居続ける選手だと、アピールしたい。

 そして、有希。兄・拓矢はあっせん保留となり、弟として感じるものがある。無論、師匠でもある存在だ。ここはもうかしこまらず、自分の競輪に徹してほしい。アマチュア時代からその実力は注目されてきたが、本質的にはエリートではない。

 ここからまた叩き上げて本物になる。醸し出す昭和の雰囲気。戦後、誰もが沈まざるを得なかった鎮魂の空気を、笑顔ではねのけてくれるようなやんちゃくれだ。必ず眞杉が拓矢の前を走る日が来るわけだが、「拓矢の前は俺」でもいい。関東には一つの合言葉「拓矢さんの前で」が生まれ、そこに絆を深めていく。

 それを見守る平原の顔は、どんなものだろうか。

やるぞ、有希(写真提供:チャリ・ロト)


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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