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【日本選手権競輪】「穴候補は関東期待の先行選手と中国の自在選手」木村安記×大津昌広 場立ち予想屋対談・後編

2023/05/02 (火) 09:00 13

場立ち予想屋で「ウマい車券」でもおなじみの木村安記さんと大津昌広さんによるダービー攻略対談の後編。予想屋視点からS級S班をズバズバと採点していきます。そして最後には優勝候補と穴候補を発表。対談も打鐘からゴールへ向かうかのごとく、熱を帯びていきます。(取材・構成:netkeirin編集部)
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場立ち予想屋の木村安記(左)と大津昌広

予想屋泣かせの守澤、郡司低評価の理由は!?

選手名木村安記大津昌広
古性優作10点10点
松浦悠士5点6点
脇本雄太9点9点
守澤太志6点7点
新田祐大8点8点
郡司浩平4点6点
佐藤慎太郎9点9点
新山響平8点7点
平原康多5点5点

※採点は10点満点

ーー4人目は悲願のタイトル制覇を狙う守澤太志選手です。

大津 守澤はもうひと皮剥けて欲しいと思いません?

木村 本当にそれ! S級S班として良い選手なのか、勢い乗っているだけなのかわからない。予想屋失格と言われるかもしれないけど、守澤は良くわからない(苦笑)。

守澤太志(photo by Shimajoe)

大津 この形になったら強いというのが無いですよね。昨年の寛仁親王牌(GI)で捲り追い込んで2着があったじゃないですか。あの脚を見てしまうと、GIIIクラスだとどんな展開でも来そうだけど実際そうではない…。

木村 今年は8場所走って二次予選はオール1着、優出6回と安定感抜群。でも、タイトルに手が届きそうで届かないのは本当に運だけなのかと。僕が「あれっ?」と思ったレースが四日市記念の決勝戦。中田健太に競り負けたんですよ。

大津 そういうの他の選手は見てますからね。

木村 中田も気が強くて良い選手だけど、競り負けてはいけない相手。結局、守澤はタテ脚はあるけど瞬間的なスピードがない。トレーニングをしっかり積んでいるからS班3年目を務められていると思うけど、新山や新田など北日本の自力に守られながら、ここまで来たという面もある。

大津 木村さんが二次予選はオール1着という話をされましたが、S班は良い自力を付けてもらえます。自力が後手踏んで負けることもありますが、勝って当然という見方もある。だから僕が参考にするのは、準決勝と決勝なんです。今年はここでもうひと伸びというところで、伸びない場面が目立つんですよね。

ーー忖度なしの辛口評価が続きますが…新田祐大選手はどうでしょうか? 高めの点数が付いています。

木村 松井宏佑の後ろに飛び付き、郡司を捌いて勝った1月の立川記念、小田原記念準決勝では主導権を取っての1着、高知記念決勝で町田太我の番手だった松浦を撃破と印象に残るレースが多かった。

1月立川記念決勝。インから新田(1番・白)が郡司(2番・黒)を捌く(photo by Shimajoe)

 行く時は行けるし、飛び付きもできる。昔に比べて踏める距離は短くなってきているかもしれないけど、オールラウンダーとしてリニューアルに成功した。競輪選手としての魅力はアップしていますよ。だから8点です。

大津 レースの組み立てや走り方、S班の中で最も変化した選手ですね。昔の松戸ダービーは苦し紛れのイン粘りでしたよね。

木村 そう脇本の後ろで。

大津 最近はそういうイチかバチかな競走が無くなってきた。自信を持って自在の競走をしています。予選は自力でラインの選手の面倒を見て、早めの仕掛けをするけど、勝負どころではこれまでは捲り追い込みが多かったですが、仕掛けどころを変えたりとか、勝ちにこだわる姿勢を見せています。

 捌けるようになったのでポカが無くなり、これからのGIは決勝にほぼ乗ってくると思います。点数は9点と言いたいところだけど、記念の決勝でもう少し勝てたと思うので、8点です。

ーー次は地元地区の平塚ダービーでファンの期待も高い郡司浩平選手です。

大津 ダメです、全然足りない…。

木村 僕の評価ですが、静岡と小田原と記念を獲っていますが…

大津 小田原はマーク屋ですから自力を出していない。

木村 大津さん、突然のカットイン。郡司に厳しい(笑)。これまでの話で出ていますが立川記念の決勝が不甲斐なかった。捌かれた相手に勝たれてしまった。本人にダメージはあったんじゃないかと思います。松山記念は良いかなと思ったらウィナーズカップは準決勝敗退。ここ最近じゃ考えられないくらい波が大きい。静岡記念は深谷の番手捲りだったから。

大津 小田原も深谷の番手からです。

木村 予選は別として準決勝、決勝でSSクラスと対峙した時に自力で勝ててないのが心配です。今後に対する不安も含めての点数です。

大津 先に言っちゃいましたけど、自力じゃ全然勝てていないです。中部から移籍してきた深谷、それに松井、北井佑季と南関東にトップレベルで戦える先行選手が揃ってきて、勝ってるのは彼らを目標にできるからです。自在なのに中団に位置して何も仕掛けられない場面が目につきました。言い方は悪いですが、「郡司、どこ走ってたの?」というレースが多い。

木村 それはありますね。S班になってからここまでなのは初めてかも。

ーー平塚・小田原で予想台に立つ大津さんですから、南関のエースには厳しい、だけど点数は…。

大津 6点、甘くなりました(笑)。

木村 あははは(笑)。ここまで言っちゃってですか!?

大津 自力を出していないんですけど、目標を付けてもらえるのも、これまで結果を残してきたからこそだと思うし、記念を二つ獲ってるので…。

郡司浩平(撮影:北山宏一)

原点回帰で別人になった新山は疲労残りが心配

ーー残りは3人。佐藤慎太郎選手はいかがでしょうか?

木村 46歳の年齢を考えたら素晴らしいと思う。全日本選抜競輪、ウィナーズカップ、高知記念以外は全て優出だよ。武雄は準決勝・決勝と新山を差せなかったけど、すごい脚で迫ってきた。気持ちで走っているなと。

 高知記念の最終日は負け戦だったけど、ナショナルチームの小原佑太を簡単に抜いた。北日本には新山、小原、中野慎詞と若い選手がいっぱいいますよね。これから先もバリバリ戦える感はあります。点数は8点としたいところですが、バンク外でも競輪の素晴らしさを啓蒙してくれていますから、エンターテイナーとしての面から1点足して9点でお願いします(笑)。

大津 追い込み選手ですから当然1着は少ないですよね。少ないですけど、守澤選手とは逆に、僕のイメージ通りに伸びてきます。小原太樹が勝った玉野記念決勝は3着でしたが、後方からすごい伸びで、慎太郎はまだまだ戦えると思いました。

 流れ込みの2、3着もありますが、玉野のように一つでも上位を狙って踏む時もあって、持てる力の100%以上で走っていると思います。本当は8点ですが、年齢的なことと自分が慎太郎を大好きなことを含めて+1点で9点です。

木村 いやいや、最高ですね(笑)。

玉野記念決勝、佐藤慎太郎(赤・3番)の伸びには目をみはった(photo by Shimajoe)

ーーお二人とも思い入れが強めですが、公平にお願いしますね。次はS班1年目の新山響平選手です。…

新山響平(撮影:北山宏一)

木村 3月の大垣記念までは3点ぐらいじゃないですか。持論ですが新山は挑まれちゃうとダメ。まもなく30歳ですか。この先、彼を追う立場の選手も出てくるけど、「それを許さないよ」という競走をしないといけない。それができればまだまだ強くなる。ウィナーズカップの二次予選で松井を突っ張って完封したんです。

大津 小松崎大地の前で逃げたレースですよね。

木村 そう。あの時に本人から「原点回帰」というワードが出たんです。次場所の四日市記念準決勝では格下ですが、残り1周から山田諒ともがき合うんですよ。山田の後ろが空くんですが入らない。そのまま回して押し切る。そして直線の長い武雄でも先行を貫き、脇本を苦しめた。僅か3場所だけど内容が抜群に良い。新しいステージに入ったんじゃないかな。今後の活躍にも期待して8点をつけました。

大津 四日市記念は二次予選も強かった。好調の成田和也が抜けなかった。ウィナーズカップ前まではひどくて、今日は捲りに回れば勝てる、と思っていて、捲りに回っても勝てなかったり、立ち直った要因が精神的か肉体的かは、わかりませんが、別人になりましたね。ダービーは疲労残りが心配です。ここ3場所は9点を付けてもいいんですが、1月からを考えると7点です。

木村 脚もある選手だけど、気持ちで走る選手なのかな。

ーー最後は関東の柱で埼玉の星・平原康多選手です。残念ながら武雄での骨折でダービーは欠場になりました…。

大津 平原選手は(大宮・西武園で予想をしている)木村さんにおまかせします。

木村 骨折に見舞われたりキツい状況ですが、光を感じたレースもあるんですよ。ウィナーズカップ二日目の毘沙門天賞。森田優弥が逃げて新田や松浦が後ろにいたけど番手捲りで勝ったレースです。まあ1月から見ていて正直自力は出ていない。だから点数は5点かもしれないけど、毘沙門天賞でS班のトップクラスと力勝負ができたので、見る側がするとあきらめる必要は全然ないと思いました。

大津 木村さんがそういうならそうです。僕も点数は5点にしています。GIII以上で決勝に半分しか乗れていませんから。決勝で1回も連に絡んでいないのでこの評価が妥当かなと。落車もありましたので、大変だと思うんですけど。

優勝候補はやはり実力者、穴は四国の若手と中国のベテラン

ーーそれではダービーの優勝候補と穴候補を発表していただきましょう! まずは木村さん

木村 優勝候補は新田です。これまで話してきたように戦法が拡がったし、勝ちへの執念がすごい。奈良記念の準決勝で金網までふっ飛ばされながら、勝ったんだから。自分でも動けるし、新山を使うこともできる、後ろには守澤や慎太郎もいる。昨年は前検で骨折して欠場になった分までやってくれるでしょう。

 穴候補には犬伏湧也を推します。あの古性に5車身差つけて優勝した大垣記念決勝、もう1つは全日本選抜競輪の二次予選で番手の松浦を振り切ったレース。逃げても捲っても強いよね。

ーー続いて大津さん、お願いします。

大津 脇本選手を優勝候補に挙げます。2月〜3月は成績を落としていたけど、直前の武雄は新山の展開で8番手から捲って勝ったのは強かった。腰痛がでなければ…ですね。穴候補は自力と追い込みを別けて挙げたい。自力は関東の期待の眞杉匠選手と坂井洋選手、追い込みは武雄での動きが良かった大川龍二選手にします。大川選手は予想でもお世話になっているので(笑)。

ーー今日はありがとうございました。「ウマい車券」でのダービー予想期待しています

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