アプリ限定 2023/03/18 (土) 12:00 14
別府競輪場で21日に行われる「ガールズケイリンコレクション2023別府ステージ」。今年の見どころや出場選手の近況をデイリースポーツの松本直記者に解説いただきます。
2023年最初のガールズケイリンビッグレース「ガールズケイリンコレクション2023別府ステージ」が別府競輪21日9Rで行われる。優勝賞金257万円(副賞含む)を巡る熱いバトルは目が離せない。
昨年のグランプリ覇者・柳原真緒に女王の風格が出てきた。今年はガールズケイリンを引っ張っていく立場。着順だけでなくレース内容にも進化を感じる。年頭のガールズケイリンコレクショントライアル(大垣)は1・2・2着で準優勝。決勝は尾方真生を制して先行勝負に打って出た。柳原後位をすんなり回ってきた石井寛子に差されたが、力を出し切るスタイルは柳原の今年に懸ける気持ちが伝わった。大垣後の1月岸和田から3月福井まで6場所連続優勝中。カマシ先行とまくりを柔軟に使い分けて結果を出している。長い距離を踏んで差されることもあるが、出し惜しみしない競走は好感が持てる。
別府は4回目の参戦。19年5月、1・1・2着。19年7月(フェスティバル)、3・4・6着。21年1月(トライアル)、3・失とまだ優勝したことはないが、本格化した今ならば信頼度は増している。勝負のポイントを逃さない仕掛けを決めて、昨年5月に続き2回目のコレクション制覇へ視界は良好だ。
柳原と同期の佐藤水菜は自転車競技で結果を残している。21、22年と世界選手権のケイリンで銀メダルを獲得。今年は2月のネーションズカップ第1戦(インドネシア)と3月の第2戦(エジプト)のケイリンでそれぞれ金メダル獲得と成長一途。来年の夏に開催されるパリ五輪では自転車競技、日本人女子初のメダル獲得の期待が膨らむばかりだ。
ガールズケイリンでは昨年12月のグランプリ(平塚)で落車したが、骨折はなく年明けから練習を再開。体の不安はなさそうだ。別府バンクは7回目の登場。20年7月、22年12月に優勝と実績を残している。世界と戦って鍛えた脚力を発揮して、柳原との同期対決は盛り上がること間違いなしだ。
小林優香も復調ムードだ。長らく続けてきたナショナルチームでの活動を昨年9月に離れ、ガールズケイリン一本に専念。今年は1月の小倉からスタート。小倉の決勝は小林莉子に差されて準優勝だったが、以降は連勝街道まっしぐら。1月いわき平のコレクショントライアルから3月佐世保まで3場所連続完全優勝で18連勝中。2月末の西武園で腰の痛みが出たが、本番までにはしっかり調整してくるはずだ。
別府は21年9月に初参戦で3連勝の完全優勝。バンク相性は問題ない。爆発力あるまくりを決めて、7回目のコレクション制覇を目指す。
児玉碧衣は別府を完全復活のスタート地点にするはずだ。昨年12月のガールズグランプリで落車。左鎖骨を粉砕骨折。1月4日に手術をして、同月29日の久留米で復帰。なかなか思い通りの踏み方ができず、結果が出ない開催が続いたが、復帰4場所目の高松で3連勝。今年の初優勝を達成した。まだまだ児玉碧衣自身が納得のレースはできていないが、レース勘は確実に戻っている。あとは結果を出すだけだ。
今回のコレクションは受けて立つ立場ではなくチャレンジャーの立ち位置で戦える。別府は15年12月の初登場から11回参戦して8回優勝、準優勝が3回。直近6場所は負けなし18連勝中。大得意のバンクでガールズケイリンのエースが復活ののろしを上げる。
ナショナルチームの太田りゆは別府バンク初登場。今年は合宿、遠征が続きガールズケイリン参加はここまで0回。状態は未知数だが、1月沖縄合宿、2月ネーションズカップ(インドネシア)、3月ネーションズカップ(エジプト)と自転車競技中心の生活だが、脚力は確実にアップしているはずだ。自慢のダッシュ力を発揮できる展開に持っていければコレクション初優勝も見えてくる。
尾方真生は先行力を発揮したい。昨年は3月コレクション(宇都宮)、5月コレクション(いわき平)、8月コレクション(アルテミス賞・西武園)とビッグレースの常連へと成長した。
今年は1月松山から2月前橋まで15連勝達成。3月の京王閣のあとは四日市を1場所欠場も、別府では元気な姿を見せてくれるはずだ。強じんな粘り脚を生かしたロングスパートでコレクションを逃げ切りたい。
鈴木美教はここまで4回優勝と戦歴を残しているが、直前の福井開催が乱調ムード。立て直しが急務だ。しかしメンバーでただ1人だけ追い込みで勝負ができるのは有利だ。内中外と狭いコースを突っ込める強みを生かせば大波乱を巻き起こせる。
車番 | 選手名 | 府県 | 期別 | 年齢 |
---|---|---|---|---|
1 | 佐藤水菜 | 神奈川 | 114 | 24 |
2 | 児玉碧衣 | 福岡 | 108 | 27 |
3 | 太田りゆ | 埼玉 | 112 | 28 |
4 | 柳原真緒 | 福井 | 114 | 25 |
5 | 小林優香 | 福岡 | 106 | 29 |
6 | 鈴木美教 | 静岡 | 112 | 28 |
7 | 尾方真生 | 福岡 | 118 | 23 |
松本直
千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。