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【伏見俊昭の挑戦】47歳でデビュー以来初の別メーカーの新車で新たなチャレンジ、50代でもS級でいるために…

2023/02/27 (月) 18:00 18

 netkeirinをご覧の皆さん、こんにちは。伏見俊昭です。
 最近、デビュー以来初となる別メーカーのフレームを投入しました。今回は新車についてと2月4日に47歳となったので、抱負も少しお話しさせていただこうと思います。

デビュー以来初となる別メーカーの新車で新しいチャレンジ(撮影:島尻譲)

デビュー以来、初めて別メーカーの新車を投入

 僕はデビューからずっと「ナガサワ」というフレームに乗っていました。師匠の班目秀雄さんがフレームビルダーの長澤さんと古くからお付き合いがあり、その流れで勧められことが経緯でずっと乗らせてもらっていました。しかし、最近は長澤さんの体調も思わしくなく、以前のようにはフレーム制作ができなくなってしまって…。フレームを新調したい時に作ってもらえない状況が続いていたので、思い切って昔から興味のあった「プレスト」というメーカーのものに乗り換えることにしました。

新しいフレーム(写真:伏見俊昭選手提供)

 「プレスト」は新田(祐大)君、(渡辺)一成君や村上(義弘)さんも乗っており、乗り換えるにあたり、新田君や一成君に相談したら「プレストならナガサワから乗り換えしてもあんまり違和感ないでしょう」という言葉も後押しになり、決めました。プレストのビルダーである本城さんがすごく親身になってくださって、僕の脚質や現在の調子も把握したうえでフレームを作ってくれたので、とても感謝しています。

初のビックフレームに挑戦

自転車の寸法のことなら山崎芳仁選手がピカイチ(撮影:島尻譲)

 今回はメーカーを変えただけでなく、今、ナショナルチームの選手が使用しているビッグフレームというものにしました。このビックフレームは、通常より大きなフレームになるため、寸法も大幅に変更しています。ちなみに寸法は全部、山崎(芳仁)君に出してもらいました。山崎君はすごく研究熱心で検車場では、いつも他人の自転車にまたがってサイズを出しているんですよ。そんな彼に寸法出してもらったら間違いないです!

 新フレームは2月前橋FIでデビュー。やっぱりナガサワとプレストでは感覚が違います。ナガサワに乗り慣れているし、初めてのビッグフレームなので乗りこなすのにはまだ時間がかかりそうです。競技のケイリンならビックフレームがいいかもしれないが、日本の競輪だとどうかな…という疑問もあるけど、何事も挑戦してみることが大事だなと思っています。山崎君もビッグフレームにして調子が良くなったという話をしていたし、何場所か乗って成績が良くないからって戻すのではなく、自分の感覚でしっかり判断していきたいです。

セッティングのこだわりは「乗りやすさ」

セッティングのこだわりはとにかく“乗りやすさ”(撮影:島尻譲)

 自転車のセッティングで一番大事なのは「乗りやすさ」ですね。僕は後ろ乗りで脚をためてから勝負するというペダリング。最近北日本の中では、守澤(太志)君のサドルのハナを下げて、前重心にして体重を前輪に押し出すというフォームをマネしている選手が多いようです。ビッグフレームは極端にフレームが大きい分、ハンドルの位置が以前の物よりも遠いので、前前重心になって自転車が進みやすく乗りやすく感じられます。タイムトライアルや追い抜き系で使うDHバーのように上半身をリラックスさせて力まずに乗れるんです。

 このフォームを極めるのか、それとももうちょっと前乗りにして柔軟に対応できるようにするのか。試行錯誤してやってみようと思います。

50代でS級で活躍するベテランたちの秘訣

体調の変化が毎日目まぐるしいが選手として練習とケアは欠かさない(撮影:島尻譲)

 2月4日で47歳になりました。年齢を重ねていくとより一年一年が勝負だなと痛感します。今日調子が良くても、次の日には調子が悪くなったり…体調の変化が毎日目まぐるしいです。それでも練習とケアは怠ってはいけない。やはり睡眠はとても大事なので、一日のサイクルとして起きる時間と寝る時間は同じにして過ごすようにもしていますね。

 僕もあと3年でついに50歳の大台です。50を過ぎてもS級で活躍している選手は限られています。諸先輩方にその秘訣を聞くと、決まって「ケガをしないことが大事」と。ケガをすると20代に比べてもちろん治りも遅いし、練習再開まで時間も掛かる。身体のバランスが崩れるとすべてがジェンガのように崩れ落ちていくそうです。54歳でS1で活躍している神山(雄一郎)さんは、昔からレース後にきっちりストレッチをして身体のケアに努めていました。また、ナショナルチームで一緒だったときには、バランスの良い食事をしており、食生活もしっかりしているなぁというイメージでしたね。

競輪界の神と呼ばれる神山雄一郎選手(撮影:島尻譲)

 神山さんはすべてにおいて真面目。でも内藤(宣彦)さんはその真逆(笑)。いっつもポテトチップスにコーラを飲んでいるんですよ。元競輪選手で現在整体師の江嶋(康光)さんが「競走中はリンをとったほうがいい、だからお菓子を食べろ」って言っていて…。理由も説明してもらったけど、僕にはその構造が理解できず(笑)。ですが、その言葉も参考にして、少しはお菓子を食べるんですが、内藤さんは度がすぎるほど食べています。それなのに内藤さんは50歳過ぎても全然衰えを感じさせないし若々しい。真面目にやっている人が選手を長く続けられるかっていうとそうでもない。不真面目でもノンストレスのほうがいいのかもしれないって内藤さんを見ていると思うんです。内藤さんは昔から練習が変わってないって言っていて、昔の練習が今の年齢でもできるのはすごい。それが衰えない秘訣なんでしょうね。

 (山口)富生さんは「練習で若いヤツについていく」って言っていました。若い選手からエネルギーもらったり、若い選手に負けないように練習するのは大事ですよね。さらにすごく若々しい宮倉(勇)さんは今58歳。練習熱心で有名でレースを拝見すると闘争本能も昔と変わってないです。その宮倉さんが去年、「絶対、気持ちだけは切らすなよ」って声を掛けてくれました。村上さんが引退した後だったということもあり、その言葉はすごく重かった。年齢を重ねれば体力的にはどうしようもなくなって限界もあるけど、気持ちがあればどうにかなるって教えてもらった気がします。競走に対してどこか逃げてしまう自分もいるけど、気持ちだけは切らさないで妥協せずに一生懸命頑張っていくってことですね。

気持ちだけは切らさずにこれからも頑張っていきたい(撮影:島尻譲)

 思えば、僕がデビューした頃は50代でS級で活躍している選手って少なかった気がします。選手寿命が延びているんですかね。まだまだ、自分より年上の人が頑張っているのを見ると妥協していちゃダメだなと感じます。ちょっと不甲斐ないレースがあったりすると自分の追い込み、覚悟が足りない、と。それをトレーニングの糧にしたいですね。

 競輪はまだまだ続きます。走れる場所がある限りはトレーニングを継続して自分自身に挑戦し続けていける。それを大事に気持ちを切らさずに47歳も頑張っていきたいなと思います。



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伏見俊昭

フシミトシアキ

福島県出身。1995年4月にデビュー。 デビューした翌年にA級9連勝し、1年でトップクラスのS級1班へ昇格を果たした。 2001年にふるさとダービー(GII)優勝を皮切りに、オールスター競輪・KEIRINグランプリ01‘を優勝し年間賞金王に輝く。2007年にもKEIRINグランプリ07‘を優勝し、2度目の賞金王に輝くなど、競輪業界を代表する選手として活躍し続けている。 自転車競技ではナショナルチームのメンバーとして、アジア選手権・世界選手権で数々のタイトルを獲得し、2004年アテネオリンピック「チームスプリント」で銀メダルを獲得。2008年北京オリンピックも自転車競技「ケイリン」代表として出場。今でもアテネオリンピックの奇跡は競輪の歴史に燦然と名を刻んでいる。

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