2023/02/08 (水) 12:00 40
2月9日に静岡競輪「たちあおい賞争奪戦(GIII)」が開幕する。1月22日の大宮記念決勝では郡司浩平(32歳・神奈川=99期)が駆け、深谷知広(33歳・静岡)が抜け出し優勝。2人の物語が大きく進んだシリーズだった。今回は深谷の地元になる静岡。南関連係がさらに進展するチャンスだ。
奈良記念の激闘がすさまじかった。優勝したのは三谷竜生(35歳・奈良=101期)で、決勝は近畿4人の結束が他を勝った。中西大(32歳・和歌山=107期)の意地、山田久徳(35歳・京都=93期)の判断、栗山俊介(34歳・奈良=103期)は悔しかっただろうが、ラインを固める思いが実った形だ。
脇本雄太(33歳・福井=94期)と古性優作(31歳・大阪=100期)がいなくなったシリーズで見せた近畿の覚悟があった。
迫った新田祐大(36歳・福島=90期)の準決の走りは世界中を驚かせ、佐藤慎太郎(46歳・福島=78期)のあふれる競輪への思いも新たにあった。
今回も南関勢を中心に、新山響平(29歳・青森=107期)、守澤太志(36歳・秋田=96期)、松浦悠士(32歳・広島=98期)とS班がいる。そう、松浦と清水裕友(28歳・山口=105期)が揃う。これが、楽しみだ。
清水が初めてのKEIRINグランプリを静岡で走ったインパクトはこれまでも書いてきた。その後、静岡について聞かれると「静岡には“清水”ありますからね」と地名にかけて答えてみたが、聞き手がうまく受け止め切れずに微妙な空気が広がったこともある。スベってはいなかったものの、失敗だった感は否めない。
“ユウジとヒロト”だ。深谷と郡司が新しい段階に進み、この2人も進化が求められる。復権を目指す一年といっていい。どこかでチグハグになりかかっていたところがあった。片方の結果は良くても片方が…。これまでの高いレベルでの連係から遠ざかることもあった。
どんな形で今回を戦い、今後への期待を持たせてくれるのか。こちらは這い上がる2人のドラマになる。
北日本は新山と守澤、そして成田和也(43歳・福島=88期)に注目だ。「第2回年間好プレー大賞」で2022年の大賞に選ばせてもらった。そこで加藤慎平氏は「成田は2023年にGⅠを獲る」と指摘した。その準備ができているというものを見て取ったのだ。
豪華メンバーの中で成田が随所にキラリと光る走りを見せてくれるだろう。競輪の奥地へ…。パッと見ただけでは分からない部分にも競輪の技がある。
そう、競輪にはただ見ただけ、外観的なものだけで判断できないものがある。“競輪伝道師”シンタロウが奈良記念の時に「そうじゃないんだけど…っていう批判を受けることもあるんですよ。それはでも、新しいファンが増えてきた証拠でもあるんだよね。そういうファンの人たちにも伝えていかないと」と訴えていた。
明らかに新規ファンが増えてきた競輪界は、喜びが大きいのだが、そこで考えないといけないこともある。
これは次回のコラムで書きたいと思う。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。