2021/03/26 (金) 18:00 6
今月も慌ただしく各地のレースに参戦している近藤龍徳選手。そんな中、今回のコラムでは「愛知の先輩や後輩」、「競輪学校時代の同期」など『自分の周りにいる人への想い』を軸に書いてくれました。人と人の関わりもまた競輪の醍醐味のひとつ。どうぞご覧ください!
その豊橋開催で一緒だった先輩の林巨人さんには、いつも気にかけてもらっている(選手会愛知支部のブログも見てください)。豊橋の準決勝も自分の後ろを回ってもらったのに、怒るわけでもなく「これでわかったやろ。さあ、行こか」みたいな感じで。それで自分の中でもスイッチが入った。
山内卓也さん、吉田敏洋さん、林巨人さん…特別競輪を走っている先輩たちの背中をずっと追いかけてきた。林さんの言葉をきっかけに、帰ってすぐに早朝練習をやり出したんだ。そういえば、調子が良かった頃は普通に朝からやってたなって。やっぱり基本は大事。感覚も全然違ってきた。やっとまともな、普通の選手になってきたよ(笑)。勝って終わることのできた”なおさんの競輪”。あなたの背中はまだまだ遠そうです。
今年は全国的に桜の開花が早くて、春の訪れを体感できている。春といえば「日本競輪選手養成所」の卒業記念レース。2月に行われたんだけど、吉田敏洋さんの弟子の西脇美唯奈(にしわき・みいな)候補生が優勝。在校順位は高い方じゃなかったけど、卒業記念レースという一生に一度しか走れないレースで結果を出した。勝って始まることのできた”みいなの競輪“。こっから先の競輪は、お客さんの大事なお金が乗っかるぞ。それはとてつもなく重たいものだぞ。レースでは逃げていいけど、そのプレッシャーからは逃げるなよ。
オレたちの頃は養成所じゃなくて「日本競輪学校」だったけど、ちょうどオレの期からガールズケイリンが始まった。女子との甘い思い出は置いといて(笑)、学校生活では山本伸一さん(京都)に助けてもらってたなあ。オレも18歳でとんがってたから、年上でも先生でも言うことは言うぞ、みたいな感じだった。
そこに8つ年上の伸一さんがいつも隣にいて、大人の意見を言ってくれる。「なあタツ、こういう言い方なら相手も立てることになるやろ」みたいな。あのフォローがなかったら、たぶん孤立してたと思うなあ。
学校に1キロのサーキットコースがあって、そこでの練習は常に1番。他の生徒が20周するとこを、1周、2周多く行くんだ。「先生、まだあいつらに追い付けるからもう1周行かせてください」って頼んでね。これは他の生徒とじゃなくて、自分との戦いだと思っていた。ここだけは負けたことなかったな。
もうすぐオールスターのファン投票が始まる。オレの中ではファン投票1位=スーパースター。自分から媚びて票集めをするのは、オレらしくないからやらない。「近藤龍徳が面白い」、「近藤龍徳が走っているから競輪を見る」っていうのが一番うれしい。アイツなら何かするんじゃないかって期待感を持ってくれるような、『ほっとけない選手』になりたいんだ。
ところで、ほっとけない選手って何? あなたにとってほっとけない選手はいますか?
ただ、期待に応えるには、勝って言葉に説得力を持たせないと! そういう意味では今、やっとみんなにお返しできる時が来たって手応えがあるんだ。MAXを10とすれば、まだ6くらいかも知れないけど、調子が上向いてきているのは間違いない。
初心は帰るものじゃない、"わすれないもの"
いちいち過去に帰ってんじゃねえよ。その大事な一歩を踏み出す先は未来だ。初心と共に。
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近藤龍徳
Kondo Tatunori
愛知県名古屋市出身。日本競輪学校101期卒。競輪一家に生まれ、競輪一家に育つ。学生時代から頭角を現し、高校総体チームスプリント・高校選抜ケイリンで優勝。レースデビューは2012年7月10日の一宮競輪場で、翌日11日に初勝利。その後も活躍を続け、2014年ヤンググランプリを制し、翌年にはサマーナイトフェスティバルで頂点に立つ。自身が目立つことで競輪界を盛り上げると公言しており、最終目標は「スーパースター」としている。ファンからは”夜王”の愛称で親しまれ、競輪の魅力を発信しながら交流を深めている。