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太田りゆ“ノーメイクな私の本音”

【太田りゆの心境】“充実と喪失”を味わった競輪祭「ホントいい加減にして! 私!」

2022/11/29 (火) 19:00 28

 netkeirinをご覧のみなさん、今月もこんにちは太田りゆです:( •ᾥ•):

 競輪祭が終わった帰り道にこのコラムを書いています。自分の中で「強くなった手ごたえ」をしっかりと感じられるシリーズになり、なんだか充実感がある一方で、「グランプリまであと少しだった…」と取りこぼした喪失感も大きいです。その両方の複雑な気持ちを携えての帰路になっています。

競輪祭は1着・1着・3着で幕を閉じた(撮影:島尻譲)

“グランプリに出られなくても仕方ないよね”

 ナショナルチームで活動をしていると、どうしても『出走本数』が少なくなり、賞金ランキングでグランプリの出場権利を得ることはほぼ不可能です。なので、私がグランプリに出る道は限られていて、この競輪祭で獲るしかありません。それは同じナショナルチームのメンバーの梅川風子や佐藤水菜も同じです。ですが、私と二人は微妙に異なる部分があります。

 私と2人が違うところは、「競輪選手だけをやっていた経験・時期があるか否か」です。私はデビューしてからずっと「競輪の競技」の二刀流でやっているので「競輪選手だけ」に取り組んだことがありません。そんな状況があるので、これまでは毎年出られなくても「グランプリに出られなくても仕方がないよね?」と、どこか自分に言い聞かせてしまう感じの“俯瞰しているような気持ち”があったのが正直なところです。

ナショナルチーム所属選手にとってグランプリへの切符は小倉での勝負にかかっている(撮影:島尻譲)

競輪選手なんだもん、絶対に出たい

 だけど、今回の競輪祭は気持ちから違いました。「絶対にグランプリに出たい」という気持ちが、いつにも増して大きく、そして強かったです。グランプリは出たいよ、私は競輪選手なんだもん。梅川風子と佐藤水菜の2人が日ごろから近くにいることで、なんだか私の考え方も変わっています。凄く良い方向に成長している実感があります。練習中に「グランプリ行くのは私よ」と3人で言い合ったりしているんですよ(笑)。

 そんな心境で迎えた今回の競輪祭、この3日間のシリーズは私の中にテーマがありました。『“何もせずに負ける”を恐れての無理な仕掛けをしないこと』です。長い距離を踏むことで差されるのは嫌なので、自分のタイミングで仕掛けていきたい。その結果タイミングを見失って何もできないままレースが終わるとしても、それはもうそれでいいと思っていました。

 そうなってしまっても反省として持ち帰ればいいやって感じで。だから『自分の強みを活かして走ること』に集中しました。腹を括って、自分の持ち味を全面に出したレースをするのみ! と決意していました。

得意なことに一点集中! レースが楽しい!

初日は捲って1着、上がりタイムは11秒5をたたき出した(撮影:島尻譲)

 自分のスタイルを全面に出すこと=私の強みであるトップスピードの高さをどう活かすのか。レースで活かせる自分の強みはどう活かせるのか。仕掛けが遅いことを揶揄され批判されることが多かったけど、その批判の声って本当に正しかった? その批判は私のコーチにされたものではなかったでしょ?「全力でもがける時間は短いかもしれないけど、それ以上にパワーとトップスピードで勝負できるはず」と自分のスタイルと向き合いました。自信もってやってみよう! ダメならダメで仕方ない! そう思って毎日レースに臨みました。

 気持ちが固まれば、あとは自分の得意なことをやるだけです。自信を持っていることをやるだけだから、毎日楽しくて気持ちも文字通り“ラク”でした。本当に心から楽しんでレースができました。初日も2日もハイレベルなメンバーの中で、しっかり私の仕掛けを決めることができての1着! 自分の中で良い意味で、何かが吹っ切れた気がしました。自信を持って自分のスタイルで戦い、勝利して喜びを得ることは、心からの充実でしかありません。

2日目は梅川風子選手を最終直線で捉えて1着(撮影:島尻譲)

悔しさしかない決勝

 でも、その充実感のまま終了するほどシリーズは甘くなかったです。決勝戦は位置取りが上手くできなかった。私の悪いところ、下手くそなところ、反省すべきところです。せっかく位置を求めて周回中に動いたのに…。結局仕掛けどころで気がついたら一番後ろ…! このレース運びには悔しい気持ちしかありません。

「ねぇ! ホントいい加減にして! 私!」と自分に走りながらツッコミを入れることになってしまいました。それでも勝負は投げられない。しっかり、最後方からの捲りに構えました。

強力なメンバーとの一戦、位置を求めて動いた(撮影:島尻譲)

 前方ではナショナルチームの2人がハイスピードでレースを展開している中で、しかも優香ちゃんにも合わせられてしまったし…。踏んでも、踏んでも3着までが限界でした。グランプリに出たかったァァ! 悔しい!

 でも「グランプリに出られなくても仕方ないよね」ではなく、ストレートに悔しさを感じていること、素直にコラムで書けること。この気持ちは人として成長している部分かな、とも思います。だからこそ、しっかり敗因を分析して次に繋げていきます。

感じた悔しさは“俯瞰的な悔しさ”ではない(撮影:島尻譲)

「焦らなくていい。自分の飛距離でいい」

 でも、それがどこからなのか? あの強力な対戦メンバーと戦う中での位置取りは本当に大事…。チンタラトロトロしちゃだめってこと! 最終結果は3着でしたが、ひとつひとつ勉強して成長していきます。本当に悔しいけど、この文字を打っている今、気持ちは前向きです。それは応援してくれるみなさんに伝えておきたいことです。前向きにやるからね! みなさんも仕事に人間関係に恋愛に大事な瞬間があると思います。そんなときはチンタラトロトロしないようにね! お互い頑張ろっ!

 さてさて、競輪祭の振り返りはこれくらいにして、次の話をしたいと思います。今年の12月はなんと競輪に2本も参加します。場所は西武園と前橋です。前橋はミッドナイトなので無観客ですが、ぜひぜひ私の事、生で見に来てくださいね(ˊ˘ˋ)! 競輪祭、応援うれしかったです! これからもアツーい応援をよろしくお願いします!

「ファンの応援に背中を押されました」と感謝する太田りゆ選手(撮影:島尻譲)

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太田りゆ“ノーメイクな私の本音”

太田りゆ

Ota Riyu

埼玉県上尾市出身。112期生のガールズケイリン選手。2017年7月、高松競輪場でレースデビューし、初勝利を飾る。同開催では3連勝を果たし、デビュー場所で完全優勝という快挙を成し遂げる。また日本代表・自転車競技選手としても活躍しており、2019年にはワールドカップに出場し、ケイリン種目で銀メダルを獲得。2020年11月には全日本選手権女子スプリントで優勝。国内外のハイレベルな戦いに華麗なダッシュで挑み続けている。趣味はメイクとファッション、パワーの源はコカ・コーラ。

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