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太田りゆ“ノーメイクな私の本音”

【太田りゆのパリ五輪への挑戦】歓喜の自己ベスト更新と不完全燃焼の順位「まだ行ける、もっと出せる」を確信/2022 UCI世界選手権大会

2022/11/01 (火) 18:00 16

 ネットケイリンをご覧の皆さん今月もこんにちは!太田りゆです⸜(*꒳* )⸝10月の中旬にフランスで行われた世界選手権をやりきって帰ってきました(*´꒳`ノノ゛パチパチ

世界選手権会場にて(写真:公財JKA提供)

 まずは出場全種目の結果をまとめて書きますね。

・チームスプリント7位(日本記録更新)
・スプリント15位 (200m予選タイム自己ベスト更新)
・ケイリン 13位

 正直言ってこの結果には全然満足していません。でも内容はよかったです。それではコラムでレースを振り返りながらきちんと結果報告を書いていきたいと思います。

日本記録更新のチームスプリント「まだ行ける!」

 前回のコラムにも書いたチームスプリントですが「8位以内」という目標がありました。目標と書くよりも“絶対条件”と書く方が正しくて「ダメなら即終了」という切羽詰まった状況で、今回8位以内に入賞できなければチームスプリントでオリンピックの出場枠を獲得することは断念するという厳しい試練がありました。ただ日本記録を更新するタイムで7位に入ることができたので、何とか次に繋がりました。

 そんなわけで予選1回目はめっちゃくちゃ緊張しました。心臓ドキドキし過ぎだし、手も冷たくなるし…。そんな中で思わぬアクシデントもあり、本当に大変でしたね。アクシデントというのはスタート時のことです。チームスプリントは「ホルダー」という人に自転車を支えてもらいスタートするのですが、私のホルダーは経験不足なのか不慣れなのかはわかりませんが、今までの私の経験の中でもあり得ないほどに未熟でした。「もう…!なぜ!? ほんっとに勘弁して…! 一番大事なこんな時に…!」って感じで本当に頭に血が上りました。

 案の定スタート時に自転車が信じられない方向へ。すかさず、私は手を上げてやり直し。緊張も最大限高まっているスタート時、このミスを受けることは完全に想定外です。ただ、その時のイラっとした感情が功を奏してか、緊張も解れてなんとなく我に返ることは唯一のプラスです。そのホルダーにはトップ選手であるドイツのエマ・ヒンツェも被害に遭っていて、後日ネットを悪い意味でざわつかせることになっていました。

重度のプレッシャーとアクシデントの中でも結果を出す以外に道はなかった(写真:公財JKA提供)

 最終結果としては日本記録を0秒6も上回るタイムを出すことができました。1走のふーたん(梅川風子)が難しいポジションで本当によく頑張ってくれました。今回の7位という結果は最低限のラインをクリアしたに過ぎず、首の皮1枚繋がっただけの状況です。でも世界選手権という舞台で突き付けられた絶対条件を3人で突破できたのも事実。この3人ならまだまだタイムも出せるし、もっと上に行けると思うので、チームスプリントも絶対にあきらめずにオリンピック枠を獲得したいです!

日本記録を更新したチームスプリントメンバー3人「私たちはもっと上に行ける」(写真:公財JKA提供)

自己ベストを更新したスプリント予選

 スプリントでは予選200mで10秒734を記録し自己ベストを更新しました(◍´꒳`◍)ƅ̋

 予選のタイムトライアルをする時に1番大事なことは「無欲であること、邪念を持たないこと」だと思っています。「日本記録を出したい!」とか「あの人には負けたくない!」とかそういうことを思った時点で私の場合は良い結果が出せません。無欲にいつも通りやること。邪念を持たずこれ以上ないくらいの力で踏み込むことに集中します。

 私はオリンピックを生で観た時に物凄く感じたことがあるんです。「1番緊張する場面、1番大事な場面で自己ベストを出す」ということがアスリートにとってどれだけ難しくてどれだけ大切か、そしてどれだけそれが強いことか。世界選手権は1年に1度きり。何よりも大切な場面で1年間更新できなかった自己ベストをしっかり更新できたことは、その難しさを知っている分だけ素直に嬉しかったです。

喜びも束の間、ハード過ぎる出走順に

 予選で自己ベストを更新したものの、ハードな展開が待ち受けていました…。勝ち上がりの1発目「16分の1決勝」はカナダのサラ・オーバン選手との対戦でした。結果は捲り追い込みの形で私が勝利! でもここからが問題でした。

 私とサラの対戦は12組中12組目の出走でした。ラストの組だったんですね。しかし、次戦「8分の1決勝」の出走はなんと1組目…。このレース間は実に10分程度しか空いていません。捲り追い込みの勝利とは言え、サラ・オーバン選手の予選順位は私の1つ下なだけで、タイム差なんてないし、息も絶え絶えでピットに戻りました。

冷静に状況を見極めて順当に勝利をおさめた16分の1決勝(写真:公財JKA提供)

 ピットに戻るともう発走前のベンチには私の次の対戦相手が座っている状態…。しかも彼女は予選通過1位ドイツのソフィ・フリードリヒ選手です。

 1度靴を脱ぐなんて時間もないままにソフィの隣に座るしかありませんでした…。少しでもダメージがあることは見せないように平静を装いますが、レースでは完敗。世界選手権の「8分の1決勝」でソフィに当たっちゃうなんて。しかも全力が出せない出走順で。

 もっとちゃんともがける状態でレースをしたかったというのが本音です。予選タイムは自己ベストでしたが、本当に組み合わせの決まる予選タイムがいかに重要であるかと改めて思い知らされました。

致命的に不利な出走順の中でも勝利はあきらめない(写真:公財JKA提供)

水菜の決勝はとてつもない

 ケイリンの予選は1発で通過したものの、私は2回戦で敗退しました。調子が良かっただけに結果を形にできなくて本当に悔しかったです。でも予選の落ち着いたレース運びや位置取りなど、世界選手権の場でこそ得られた収穫もありました。

 また、ケイリンでは日本チームの水菜(佐藤水菜)が銀メダルを獲得しました。決勝のずっと外並走を耐え抜いての銀メダルはライバルとしては悔しいけど、あれは「すごい!」の一言です。いい練習相手が側にいるし、色々と教えてもらおうと思います(๑•́ω•̀๑)

 思うような結果は得られませんでしたが、内容を見れば悲観することもできません。出場種目で2つベストを更新しているので、精一杯やれることはできたようにも思っています。でも欲しいのは結果! これからも上を目指して成長していきます。

世界選手権で実力と存在感を示したナショナルチーム(写真:公財JKA提供)

帰国後のガールズケイリンin伊東温泉競輪

 さて話は変わって世界選手権の後は2週間のオフでした♡ジェイソンコーチからは「何が何でも旅行へ行きなさい!気分転換しなさい!思い切り遊びなさい!」と言われています(笑)。でもこれは競技者としてのオフであって、ご存じの通り競輪選手にオフはありません。私は帰国してすぐに伊東温泉競輪に参加しました! 結果は3日間1着の完全優勝でした! すごく緊張していたので開催後に「あぁ〜良かったぁぁ〜」とホッとしました。

完全優勝を決めて長らく続いた緊張から解放されたと語った(写真:本人提供)

 そして、開催終了の次の日から本格オフ! 私は那須高原の温泉旅館に行ってきました。次の日は那須サファリパークにも行って、好きなものをいっぱい食べて、飲んで、それはそれはすごく幸せでした(˘︶˘).。.:*♡また、すぐに練習が始まりますが、気持ちを入れ替えて頑張ります!

オフは那須高原を大満喫(写真:本人提供)

“ありがとう”の気持ちとともに

 さいごに、実は私、今シーズンとても苦しんでいました。周囲のサポートなしでは絶対に最後までやり切れませんでした。ナショナルチームのスタッフや練習仲間、家族、友達、いつもたくさんの応援をしてくれるファンのみなさん、本当に本当にありがとうございました♡感謝の気持ちとともに、より高みを目指してリスタートします。次のレースは競輪祭だ!\\\└('ω')┘////メラメラ

フランス移動中の車内にて(写真:本人提供)

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太田りゆ“ノーメイクな私の本音”

太田りゆ

Ota Riyu

埼玉県上尾市出身。112期生のガールズケイリン選手。2017年7月、高松競輪場でレースデビューし、初勝利を飾る。同開催では3連勝を果たし、デビュー場所で完全優勝という快挙を成し遂げる。また日本代表・自転車競技選手としても活躍しており、2019年にはワールドカップに出場し、ケイリン種目で銀メダルを獲得。2020年11月には全日本選手権女子スプリントで優勝。国内外のハイレベルな戦いに華麗なダッシュで挑み続けている。趣味はメイクとファッション、パワーの源はコカ・コーラ。

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