アプリ限定 2022/11/19 (土) 12:00 10
2018年から始まった「ガールズグランプリトライアル」は、今年の1月から8月の選考期間成績上位者28人をA(トパーズ)、B(アメジスト)2つのグループに分け、11月22日に第1走、23日に第2走がそれぞれ行われ得点順位上位7名が決勝へと駒を進め、24日にそれぞれのグループで優勝者が決まります。各グループの優勝者2人には「ガールズグランプリ」出場権が与えられるサバイバルレース。今年で見どころや出場選手の近況をデイリースポーツの松本直記者に解説いただきます。
グループA(トパーズ)は2024年パリ五輪出場を目指しているナショナルチームが中心になりそうだ。
2年ぶり3回目のグランプリ出場するには優勝しか道はない佐藤水菜だが、世界選手権のケイリンで2年連続銀メダル獲得するなど世界を相手に活躍するなど、いまやナショナルチームの顔。ガールズケイリンへの参加は10月松戸以来となるが、今年はここまで20走して19勝。負けたのは3月コレクション(宇都宮)の2着だけと、3着以下がない驚異的な成績を残している。小倉競輪場は2020年11月のグランプリトライアル優勝以来の出場で、“ドーム”バンクは自転車競技でも走り慣れており、久々の登場でも心配はない。圧倒的なスピードを発揮してグランプリ出場権をゲットするだろう。
太田りゆ、梅川風子も見逃せない存在だ。太田は今年前半に4場所連続完全優勝とガールズケイリンでしっかり結果を残した。7月フェスティバル(玉野)、8月コレクション・ドリームレース(西武園)では大きな数字を叩いてしまったが、10月の伊東で完全優勝。世界選手権のスプリント・タイムトライアルでは自己ベストを更新と進化を続けている。自慢のダッシュ力を遺憾なく発揮すれば、打倒佐藤水菜の一番手になれる選手だ。
パリ五輪出場へ向けて大事なチームスプリントの第一走者を務めているのは梅川だ。ナショナルチームの活動が中心になってしまったため、ガールズケイリンへの参加回数は減ってしまったが、2018年から3年連続でグランプリに出場した実力者。8月コレクション・アルテミス賞(西武園)で2着、10月青森で完全優勝とガールズケイリンでの安定感は目立つ。スピードスケートで鍛えた持久力と、ナショナルチームで積み上げた瞬発力をミックスさせれば、一撃必殺の魅力は十分。逆転のグランプリ出場へ闘志を燃やす。
石井寛子はデビュー以来続けているグランプリ出場を10回へと伸ばしたい。今年は3月コレクション(宇都宮)で優勝。普通開催でもコンスタントに優勝を積み重ねている。6月の小田原ではガールズケイリン初の通算500勝達成に、全場制覇(ガールズケイリン未実施の小松島を除く)と記録達成の多い1年だった。グランプリ本番での好枠ゲットと来年3月のコレクション出場を果たすため、今は競走得点アップがモチベーション。集中力は高まっている。
小林莉子は勝負駆けだ。昨年のグランプリは6年ぶりの出場で準優勝。2年連続4回目のグランプリ出場へ負けられない戦いとなる。今年は8月の西武園で初のコレクション優勝(アルテミス賞)を達成するも、9月名古屋のティアラカップで不運の落車。グランプリ出場へ1走も休めないと、気合でレースに参加し続けている。直近は松阪、宇都宮、静岡と3場所連続優勝と勢いに乗ってきた。過去にグランプリ補欠の経験が3回(14年、16年、19年)と悔しい思いをしているだけに、1円でも多く稼いで、グランプリ滑り込み出場を決めたい。
2015年グランプリ(京王閣)の覇者・小林優香も大逆転のグランプリ出場へ勝負の一戦。昨年はグランプリトライアルで優勝し、2年ぶり4回目のグランプリ出場を果たした。今年はスタートダッシュを決めて、3月のコレクション(宇都宮)も3着と上々の滑り出しを決めたが、5月の海外遠征で落車。帰国後は7月オールガールズ決勝3着、同月フェスティバル(玉野)は2日目から途中欠場と状態が悪化していた。9月にナショナルチームからの引退を発表。心身のリフレッシュを終えて、10月佐世保から復帰。ここまで3場所走り、2場所で完全優勝と復活モードが漂ってきた。グランプリトライアルは19年、21年と2回優勝の実績を持つ大会。大逆転のグランプリ出場へ豪脚がうなりを上げる。
太田美穂は先行。荒牧聖未はまくり、高橋朋恵は位置取りと、おのおの得意な展開に持ち込めれば見逃せない存在。
グランプリトライアル初出場は4人。日野未来は今年3回優勝で出場権を獲得。6月松戸では児玉碧衣、奥井迪に先着して優勝。グランプリトライアルでも大物キラーとなるか注目。
山口真未は獲得賞金額での出場。小倉は8月に参加して優勝の実績がある。直前の宇都宮を途中欠場しているだけに状態は気掛かりだ。
中野咲は1〜8月の選考期間内に75走して獲得賞金額で出場権をゲット。優勝こそなかったが堅実な走りは車券への貢献度の高い選手。派手さはないが上位陣相手でも位置取り重視の自在戦で3着までを狙っていく。
飯田風音は今年大きく成長した選手だ。先行まくりの機動力を武器に5月前橋、7月函館で優勝。強行日程の追加参戦を走り切り、獲得賞金額での滑り込み出場。自分のペースで駆ければ侮れない存在だけに目が離せない。
期 | 競輪選手名 | 地区 |
---|---|---|
102 | 荒牧聖未 | 関東 |
102 | 小林莉子 | 関東 |
104 | 石井寛子 | 関東 |
106 | 小林優香 | 九州 |
108 | 高橋朋恵 | 関東 |
108 | 尾崎睦 | 南関東 |
110 | 中野咲 | 中部 |
112 | 太田りゆ | 関東 |
112 | 梅川風子 | 関東 |
112 | 太田美穂 | 中部 |
114 | 佐藤水菜 | 南関東 |
114 | 日野未来 | 近畿 |
120 | 飯田風音 | 関東 |
120 | 山口真未 | 南関東 |
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松本直
千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。