2022/11/09 (水) 12:00 28
四日市競輪のナイター「泗水杯争奪戦(GIII)」が10日に開幕する。小倉競輪の「競輪祭(GI)」を控え、実力者たちがこの一戦で何を見せるか…に注目が集まる。京王閣記念からの立て直しを図る古性優作(31歳・大阪=100期)に、その京王閣でうまくいったような、そうでもないような…連係を決めた埼玉SS両者。
優勝した宿口陽一(38歳・埼玉=91期)と平原康多(40歳・埼玉=87期)は今回どのような連係を見せるのか。
宿口は優勝したものの、その内容は褒められたものではなく、宿口自身もよくわかっているだろう。だが、苦しんだ1年にあって結果が出たことはやはり追い風。今回は平原が褒めてくれる走りを目指す。
そしてS班4人の内、今回はどうなの? と注目を集めるのは守澤太志(37歳・秋田=96期)だ。10月前橋で行われた「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」の決勝は準優勝。大外をぶん回してのまくりを放った。守澤の“脚”はどこに向かうのか。
競輪選手は大きく、動く“自力型”と動く選手に付く“他力型”に分類される。自在選手も基本は自力型だ。他力型は追い込み屋、マーク屋とさらに違いを持って分類されることもある。
追い込み屋はタテの印象が強く、直線で伸びるイメージ。マーク屋はあまり伸びる印象はないが、位置を厳しく取っていくスタイル。現在の競輪では、レース形態もあって多くは追い込み屋としての走りが多い。番手を競りに行って位置を取る、という競走があまり効果的でないので、こうなっている。
ただどうしても、マーク屋という言葉はなくならない。競輪には位置に対する重みがあって、そこにこだわる走りには価値が生まれるからだ。現在の守澤は、追い込み屋だ。
輪史に残る追い込み、マークを極めた選手といえば“鬼脚”と評された井上茂徳氏(41期=引退)で誰も異論はないだろう。小橋正義氏(59期=引退)は“平成の鬼脚”と呼ばれた。位置取りに厳しいことはもちろんだが、その上で、後方に置かれても、どこからでも伸びてくるので“鬼”レベルの認定を受けた。
守澤の脚があれば、レース形態が変わったとはいえ、そこにたどり着いてもおかしくない。求められているのは、“位置”に対する意識だろう。寬仁親王牌のローズカップでは北日本4車の番手を任されたが、何もできなかった。そこを回る意味に応えられなかった。
北日本の先輩である佐藤慎太郎(46歳・福島=78期)、成田和也(43歳・福島=88期)が築いてきたものを上回れるか。守澤が求められるものは大きくなってきている。
それに、応えてみせる。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。