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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

村上義弘の引退に関して想う事

2022/10/10 (月) 18:00 47

 村上義弘選手の引退。あまりにもテーマが重すぎて、なかなか筆が進まない。あらゆる賛辞が送られているが、競輪界での実績を考えれば当然だ。

 この歳になっても、村上義弘、武田豊樹、神山雄一郎と話す時は、背筋がピリッとする。それでも、昨年の向日町記念の二次予選。脇本雄太にマークする形だったが、段々と離れて行き3着。それは、個人的に見たくない光景だった。そのシリーズの検車場。何か背中は大きいが、哀愁ある後ろ姿で、写真を添えて「何をおもうのか、村上義弘…」と記事にした。この記事を本人が読んだみたいで、次に会った取材現場で、ぼそっと「そんなに背中が淋しそうでしたか…」と言われた記憶がある。

 選手の私生活やゴシップは書かないと決めているが、偉大な選手に対して失礼な記事だし、流儀に反した。敗者にスポットを当てて、競輪の人間臭さ、泥臭さを伝えたいと思っているが、この場を借りて、改めて謝罪したい。引退した今なら許してくれるだろうか。

 “近畿のマーク屋の序列”の記事に関しても、殿上人だし、僕らレベルの記者が村上義弘を論じてはいけないと書いた。誰もが知る、昭和のスパルタレースで、松本整さんに鍛えられ、死んでも死んでものレースを貫いた。“魂の先行”より、僕はファンに還元する意味合いもある、番手捲りの方が好きだった。

 何れ、その魂は誰かに伝承されるし、それが脇本雄太だと個人的には思っている。某、有能競輪記者が言っていたが、僕もレースでは感動しない。その裏の人間性を伝えたいと思っているだけで、僕の文才では、村上義弘と言う人間を伝え切れない。近畿には“厳しい競輪の掟”があるし、懐古趣味もあるので、昔ながらの競輪が好きだ。そして、写真で、その一端を解説したい。


①村上義弘と市田佳寿浩の談話風景。この2人の関係性は言うまでもない。昔の写真を整理していたが、意外にも、村上義弘の笑顔の写真が多かった。

②これが、村上義弘の走りをあらわしている。阿修羅である。

③まだ、脇本雄太が、ナショナルチームに入る前の写真だと思う。ワッキーがジョークで、俺は“逆グランドスラム”と言うが、どれだけ近畿のラインに貢献したか分からない。村上義弘との出会いがなければ、今のワッキーはなかったかもしれない。

④福井記念の決勝の並びを決めるのに、70分以上の長い話し合いが行われた。これは、その時の写真ではないが、近畿は並びを決めるのに長い時間を掛ける。お互いの気持ちを確かめてから、並びを決める伝統がある。

⑤(左)前検日の撮影だった気がする。コロナ禍になってからビッグレースでは共同記者会見と写真撮影のセットが定番になった。 ⑥(右)コロナ禍の前の検車場での囲み取材。

⑦競輪を愛するコンドルの武田社長とのツーショット。

⑧スポニチの小野記者が書いていたが、ねじり鉢巻きが似合うのは村上義弘が1番で2番目が稲垣裕之。

⑨(左)この笑顔にも癒やされる。 ⑩(右)これも笑顔の写真だが、村上義弘はリュックの愛好者だった。

⑪(左)レースから引き上げてくる雰囲気から、多分、納得の走りではなかったのだろう。 ⑫(右)静岡検車場のベンチの写真。この表情から、成績は良かったはずだ。

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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

町田洋一

Machida Yoichi

基本は闘うフリーの記者。イー新聞総合プロデューサー、アオケイ・企画開発パブリストの肩書きも持つ。自称グルメでお酒をこよなく愛す。毒のある呟きをモットーにして、深夜の戯言も好評を得ている。50代独身で80代の母親と二人暮らし。実態はギャンブルにやられ、心がすさみ、やさぐれている哀しき中年男である。

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