2022/09/04 (日) 12:00 6
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は岐阜競輪場で開催されている長良川鵜飼カップの決勝レース展望です。
【長良川鵜飼カップ】の初日は岐阜の選手が全員勝ち上がり、準決勝に進んだ選手の中からも、何人が決勝に進んでくるか注目していました。
結果、10レースから山口選手、11レースからは志田選手、12レースからは川口選手が決勝に名を連ねています。3名ともに自力型ですが、その並びは志田選手-山口選手-川口選手となりました。
一方、岐阜ラインと同じように3車で並ぶかと思われた南関東+北日本でしたが、大槻選手は岩本選手-佐藤選手の3番手を選択せず、松浦選手の後ろを主張しました。そして、眞杉選手-平原選手の関東ラインとなっています。
こうなると注目なのが先行争いです。岩本選手と松浦選手は捲りに構えそうなだけに、3日間を通して先行している眞杉選手と、岐阜ラインの先頭を自ら主張した、志田選手のどちらかとなるでしょう。
この2人は準決勝の11レースでも対戦しています。その時は眞杉選手が突っ張り先行をして、志田選手に仕事をさせませんでした。
志田選手は勝利を飾った初日の上がりタイムでは、11秒フラットの好時計を記録しています。ただ、初日のレースもそうですが、先行よりも捲りを得意としているのは明らかです。ただ、今回は初めてのGIIIの決勝。それだけに何が何でも行く気持ちがあるはずです。
1番車が山口選手となりましたが、志田選手は突っ張り先行よりも、後ろから一気に仕掛けた方が自分の脚質にあっているだけに、無理にスタートを取らなくてもいいと考えているのではないのでしょうか。
むしろ2番車の佐藤選手はスタートが良く、しかも、前を任された岩本選手は、捲りのためにも脚を溜めた走りをしたいと思っているはずです。この決勝で前受けをするのは岩本選手と見ています。
岐阜ラインはその後ろに入り、6番手が関東ライン。8番手となった松浦選手-大槻選手が岩本選手を抑えにかかった時、眞杉選手が先行体制に入ると思いますが、それより先に志田選手が仕掛けていきそうです。
岐阜ラインの後ろに付いていく形となった眞杉選手は、捲りに切り替えると思いますが、それに併せるかのように、山口選手も番手捲りをしてくるはずです。
2人が並走となった時に勝機が見えてくるのが平原選手です。今大会も安定したレースを見せており、岐阜競輪場の長い直線を生かして追い込んできたのなら、先に抜け出した山口選手を捉える可能性は充分にあります。
連日ともに狭いところを割ってきている、松浦選手の動きも侮れません。内に降りるなどして、山口選手の後ろを取れるようだと、ゴール前では接戦に持ち込むどころか、二大会連続での記念競輪優勝も考えられます。
岩本選手は2日目の二次予選で2車ながらも先行して、その後ろにいた志田選手の捲りを封じ込んだように、出来の良さは明らかです。前がやり合う展開となり、ラインが短くなったところで一発を狙ってくるはずです。
後ろを走っている佐藤選手は、怪我の前よりも万全な走りとまでは言えません。それでも三日間通して2着にまとめてくるあたりはさすがです。岩本選手の仕掛け次第とはなりますが、穴を出すならこの2人ではないかと見ています。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。