2022/08/28 (日) 12:00 5
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は小田原競輪場で開催されている北条早雲杯争奪戦の決勝レース展望です。
解説の仕事で【北条早雲杯争奪戦】が開催されている小田原競輪場に来ています。
今日の中継のスタジオには、「頂」という覆面予想家が出演していたようです(笑)。 明日も覆面越しに顔色がうかがえないような予想を披露してくれるはずです。また、小田原競輪場を中心とした活躍を見せている、オダワライダーとのクロストークも楽しみにしてください。
準決勝には12人が勝ち上がった南関東の選手たちですが、その中から6名が決勝に進出しました。
決勝ではその6名が並ぶのではとも思いましたが、地元の神奈川が4名(郡司-和田-松谷-佐藤)で並び、深谷選手-田中選手とは別線になりました。そして三重ラインが浅井選手-坂口選手。清水選手は単騎となっています。
浅井選手は捲りが濃厚だけに、先行するのは郡司選手と深谷選手に絞られそうですが、普段、連係もしている2人だけに、先行争いを繰り広げることはしないはずです。
郡司選手は地元の開催ですし、自分が勝ちたい、あるいはラインから勝者を送り出したいという気持ちもあるでしょう。それだけに深谷選手に先行をさせて、早めにかましていくレースを考えていると思います。
並びは1番車に郡司選手がいる神奈川ラインが前受けをして、その後ろが清水選手。そして三重ライン、最後方から深谷選手-田中選手で流れていくことになりそうです。
深谷選手が神奈川ラインを抑えていった時に、郡司選手は一度車を下げるはず。ただ、その前に浅井選手がインを切りに行くことも考えられます。その時には三重ラインの後ろには清水選手が付けているはずです。
そこで、一気に深谷選手が先行していくと見ていますが、ここで3番手を取れた浅井選手が、神奈川ラインにとっては怖い存在となってきます。
浅井選手はこの3日間で前々を踏みながら、状態を上げているようにも見受けられます。そこに深谷選手のスピードに乗って、浅井選手が先捲りを仕掛けてくようだと、今大会は好調の郡司選手でも、後方のままでは交わし切れない可能性も出てきます。
今大会の郡司選手は日に日に状態が上がっており、準決勝では鮮やかな捲りも見せてくれました。その時の上がりタイムの9秒2も優秀であるだけに、早めに仕掛けていくことも考えているはずです。
小田原競輪場は330バンクの短走路で、直線が短い分だけ、先行したラインが有利となり、主導権争いも激しくなります。ただ、カントがきついので、捲りが決まるレースも見受けられます。
こうしたバンクの特徴も熟知しているのが神奈川ラインであり、郡司選手もどんな展開になろうとも、仕掛けのタイミングは分かっているはずです。
そのまま郡司選手が押し切ってしまうかと思いますが、仕掛けのタイミングが速くなった時には、番手を回る和田選手の逆転も考えられます。
また、深谷選手が他のラインの捲りを封じ込むような走りをしてきた時には、捲り追い込みに切り替えた郡司選手との力勝負も想定されます。
勿論、浅井選手が3番手の位置から捲り切る展開もあり得るだけに、深谷選手のかかり具合や、その時の郡司選手の仕掛け次第では、全く異なった結果ともなりそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。