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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

いわき金杯争奪戦決勝“並び”で垣間見えた人間模様

2021/03/01 (月) 08:00 14

いわき平競輪場で行われた「いわき金杯争奪戦」決勝は鷲田佳史の勝利に終わった。人気を背負った森田優弥にとっては残念な結果になったが、今回のコラムでは、並び決定に至るまでの人間模様をお届けしたい。

 決勝の並びを聞いた時は、正直、意外に思った。

 近畿の村田雅一、鷲田佳史、西岡正一の並びは理解できた。コメントは番手含めての総力戦。村田はイナショー(稲川翔)の走りが理想と語っていた。あとは、飛び付きでなく選手紹介で見せ、本番にジカで森田優弥と競るか。これが本来のスタイルだと思うが、村田の気持ち次第だ。

 鷲田は性格・戦法的に「絶対番手をやれ」とは言わないはずだし、難しい。

 北日本は飯野祐太、庄子信弘の並びで、一発に賭ける。飯野は目標不在だと苦しいが「いよいよ、本気を出す時!」と言い笑っていた。願わくば、同期の村田に関東分断をやって欲しいだろう。

 問題は関東の並び。朝倉智仁、河野通孝の茨城同門コンビと、準決で連係した森田優弥と隅田洋介で分かれるケースが一番確率が高いと思った。もしくは、森田に近畿勢が付け、栃茨結束で朝倉、隅田、河野の折り合いだ。

 だが、結果は違った。まずは森田の意見が尊重された。シリーズリーダーだし、関東へのラインの貢献度から見て当然だ。ここがまず、僕らの考えと違った。まさか、森田が朝倉の番手を回ると強い意志表示をするとは思わなかった。僕や僕と近い記者たちは、まだそこまでの存在ではないし、そこまでの立場ではないと思っていた。年齢的な若さもあるが、序列と言う観点もある。

 朝倉、森田の並びは決まり、あとは河野と隅田がどうするかだ。河野は優しい性格だし、無茶な事を言うタイプではない。師匠が無骨な十文字貴信だから、競輪道もわきまえている。平塚決勝で、3人の番手ジカ競りに勝った事は記憶に新しい。

 僕的には、河野の意見に賛同出来たし、すごく理解できた。「まずは、森田君が自分の気持ちを包み隠さず話してくれた。勉強したいと言う気持ちもあるだろうが、それ以上に重い選択だと思った。彼の力を考えれば、自力でやった方が、余計な精神的な負担は少ないと思う。勝っても負けても、非難されない。関東のこれからの事を考えての意味合いもあるだろうし、気持ちが伝わってきた。あとは、僕と隅田君との3番手、4番手とかの問題。確かに、初日、僕は隅田君に付けている。それだけ考えれば、僕の我が儘と言われるかもしれない。ただ、準決で隅田君も森田君に付けて、追い込みのレースをやっていた。そこは、同じ追い込み選手として選択をさせてもらった。何が正解かは分からないし、そこは隅田君に対しても申し訳ないと思っている」と冷静な言葉で締め括った。これが今まで関東のラインに貢献してきた長島大介だったら、河野も違った選択をした事だろう。

 隅田の心情は分からないが、僕が隅田の立場ならその場は面白くないだろう。これでふてくされるか、更に頑張ろうと思うかは本人次第だが、おそらく隅田なら「関東のラインの為に、更に頑張ろう!」と前向きに考えるはずだ。

【いわき金杯争奪戦並び】
①飯野祐太-④庄子信弘
⑨村田雅一-③鷲田佳史-⑥西岡正一
⑦隅田洋介
⑧朝倉智仁-②森田優弥-⑤河野通孝

 並び決定にいたるまで、それぞれ人間模様があるし、ここが競輪の面白さのひとつ。ファンがどう考えるかも意見が違って良いと思う。

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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

町田洋一

Machida Yoichi

基本は闘うフリーの記者。イー新聞総合プロデューサー、アオケイ・企画開発パブリストの肩書きも持つ。自称グルメでお酒をこよなく愛す。毒のある呟きをモットーにして、深夜の戯言も好評を得ている。50代独身で80代の母親と二人暮らし。実態はギャンブルにやられ、心がすさみ、やさぐれている哀しき中年男である。

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