関東ラインの後ろに付けた和田は、平原のスピードに乗って一発を狙う！

　333バンクの富山競輪場ですが、みなし直線の距離も長く、今大会の結果にも表れているように、追込選手の活躍が目立っています。

　初日は激しい雨、2日目は強い風と、バンクコンディションに悩まされた選手たちも多かったはずです。その中でも初日の特選に出場していた選手たちが、きっちりと準決勝で勝ち上がり、決勝へと進んできました。

　その決勝ですが、中四国ラインは特選と同じく松浦選手-小倉選手で並んだ一方で、目標がいなくなった荒井選手は単騎の競走となっています。

　一方、特選では宿口選手-吉澤選手-平原選手で並んでいた関東ラインは、この決勝で吉澤選手-宿口選手-平原選手と先頭と番手が入れ替わっています。

　しかもその後ろに、こちらも特選とは違い、目標不在となった和田選手がつけたことで、4車のラインが形成されました。岐阜の2人は弟弟子の山口選手が前、後ろが兄弟子の竹内選手となっています。

　徹底先行型が見当たらないメンバー構成とはなりましたが、その中でもレースの主導権を握りそうなのは吉澤選手となりそうです。

　初日の特選では前を任せていた宿口選手が先行を見せていますし、この決勝でも1番車が平原選手だけに、前受けをした吉澤選手は、突っ張り先行も頭に入っているに違いありません。

　東日本ラインの後ろには単騎の荒井選手で、その後ろには中四国の2人。8番手とポジションの悪い山口選手は、ジャンの手前で吉澤選手を抑えていくと思いますが、吉澤選手は山口選手を前に出すのではなく、そのまま先行体勢へと入っていくはずです。

　先行した吉澤選手との車間を空けながら、タイミングを見て番手捲りを仕掛けてくるであろう宿口選手ですが、早めに動き出していくようだと、後ろを回っている平原選手に出番が回ってきます。

　平原選手は準決勝で位置が悪くなった上に、前を任せた佐々木選手が行き切れなかったと見るや、すかさず外に踏み出していった勝負感や、スピードの違いはさすがでした。

　ラインの4番手を選択した和田選手ですが、これは先行するのは吉澤選手と決めつけているからでしょう。平原選手のスピードに付いていけるようだと、ワンツーフィニッシュも考えられます。

　ただ、そうやすやすと東日本ラインの上位独占を許さないのが、他のラインの選手たちです。吉澤選手の突っ張り先行に抗えず、元の位置に山口選手が下げるようならば、次は松浦選手、そして荒井選手が捲りを狙ってきます。

　松浦選手は【オールスター競輪】の決勝で、脇本選手から番手を奪っていった走りは見事でした。

　今大会でも心技体ともに素晴らしいコンディションで臨んでいる松浦選手だけに、6番手の位置からでも、吉澤選手を捲りにかかるはずです。並走状態となれば宿口選手の番手捲りは不発に終わりますし、切り替えた平原選手との折り返しで決まっても不思議ではありません。

　単騎の荒井選手もタテ脚があるだけに、中四国ラインの仕掛けに合わせられたのならば、平原選手の切り替えを封じ込むことができます。そうなれば、ゴール前では松浦選手との一騎打ちも考えられます。

　山口選手は一瞬のスピードでは、この決勝メンバーの中でも上位なのですが、いかんせん、8番手からの組み立てだと分が悪い気がしています。それだけにこのバンクの特徴を生かした直線勝負で、どこまでやれるかとなりそうです。

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