閉じる
筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

【筋肉診断】オールスター競輪に出場する平原康多選手を解説!

2022/08/04 (木) 12:00 12

加藤慎平の「筋肉診断」。今回は西武園競輪「オールスター競輪(GI)」に出場する平原康多選手を解説する。

⚫︎平原康多

撮影:島尻譲

撮影:島尻譲

 今回はこの男を書かない訳にはいかないだろう。2年連続のファン投票1位となった平原康多選手である。これまで競輪グランプリにも12回出場し、まさに人気実力兼備の『背中で語り続ける』レジェンドレーサーだ。

 公式プロフィール上では身長184cm、体重95kg。近代競輪では大型の選手の活躍が少なくなる中、一際目立つ体型を持つ。大柄だが狭いコースも苦にせず、まるで競輪を走る為に生まれてきたような人間である。

 平原選手ほど身体の大きな選手は、普通なら自転車をクイック(俊敏)に前後左右に動かす事が苦手なことが多い。しかし平原選手は、空いた内のコースを突っ込むのも得意だし、並走相手を捌きながらの位置取りにも長けている。

 唯一のデメリットといえば、物理的に身体が大きい事により、重心をズラされやすいところだろう。しかしそのウィークポイントも、稀にしかボディコンタクトが無くなった現代競輪では不利益に働く事が少ないだろう。

 彼はここまで数々のビッグタイトルを獲得してきた。確かな実力がありながら探究心が尽きることはなく、誰も挑戦したことの無いフレームの寸法や材質を取り入れることも。その姿勢に、関東地区のみならず多くの若手選手から慕われてる。

 まさに唯一無二。40歳になり加齢によるフィジカル能力の低下、関節の柔軟性、伸張反射、視力の低下などの影響はあるものの、それらを跳ねのける努力をしている。だからこそ競輪ファンは平原康多を支持するのだろう。

 佐藤慎太郎さんはかつて『(加齢による)限界? そんなの気のせいだよ』というフレーズを口にしたが、現役時代の筆者は『限界? 気のせいじゃねーよ』と、加齢による衰えを感じて引退した。

 ほとんどの人間は筆者寄りだろう。だが平原康多選手は、間違いなく慎太郎さんと同じ人種だ。これからも我々をワクワクさせてくれる事は間違いない。

 誰よりも競輪ファンの事を考える平原選手にとって、このオールスター競輪は特別だろう。『ファン投票1位』の座を噛み締めて走る事が出来る人間は平原康多選手のみ。改めて投票した競輪ファン達を誇りに思いたい。

⚫︎本レースで注目すべき選手は…?

 脇本雄太選手が出場するだけで、展望が極めて楽になる。「グリグリの本命は脇本選手」と言うのは嘘ではないのだが、それでは元も子もない。他地区からは、地元関東勢と中四国勢に注目したい。眞杉匠選手、犬伏湧也選手のスピードは日本でも有数のクラスに成長した。

 脇本選手を倒す「トップ選手の二段駆け」のセオリーで1番重要なのは、そのラインの先頭を走る「1弾ロケットのトップスピード」だ。彼ら2人はその役割を十分に果たせる。ロケット前提の作戦は賛否あるのは承知だが、脇本選手を倒すにはそれしか無い。勝機を掴むためには「動くこと」は必須となるだろう。

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

バックナンバーを見る

筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

加藤慎平

Kato Shimpei

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。

閉じる

加藤慎平コラム一覧

新着コラム

ニュース&コラムを探す

検索する
投票