2022/06/15 (水) 12:00 15
岸和田競輪場で6月16〜19日の日程で「第73回高松宮記念杯競輪(GI)」が開催される。昨年は平原康多(40歳・埼玉=87期)が直前の練習中に落車、欠場となる事態。そして宿口陽一(38歳・埼玉=91期)のGI初優勝というストーリーに…度肝を抜かれた。
おっと、これは平原のコメントをもらわないと…と連絡して、取材に応じてもらった。
「宿ちゃん、優勝しちゃったよ! 」。こちらも興奮して慌ててだったため、変な聞き方をしてしまったが、爆笑しながらの電話取材だった。「自分がGI優勝した時よりうれしい」の言葉を聞いて、ジーンと迫るものがあった。
後でわかったことだが、他の記者が連絡した時にはしんみりと、涙を流しての取材だったそうだ。「オレのところにばっか連絡が来たんですよ、あの時は(笑)」と笑顔で振り返る平原が、今年は走る。高松宮記念杯はびわこで開催された時に2回優勝(2009年、2010年)しているが、他場の開催ではまだない。
宿口優勝の立役者は吉田拓矢(27歳・茨城=107期)だった。吉田は平原の欠場を受け、埼玉勢よりも思うものがあったようだ。「関東を引っ張る」。この気持ちの高ぶりと、それでいて冷静なレース運びがあった。
さまざまな経験を経て、平原欠場で泡を食ってバタバタすることがなかったのが頼もしい。精神面の成長と、責任への立ち向かい方の変化があった。東西対抗戦ーー。準決までは東と西で分かれて勝ち上がりを競う。
茨城勢が大挙として参加するので、もしかしたら平原と茨城勢で別になる可能性もある。そこで結束を選ぶのか、平原の性格だと「みんなにチャンスがあるように」と言いそうだが、番組がどうなるのか、どんな判断をするのか、を待ちたい。
古性優作(31歳・大阪=100期)はグランプリ覇者としての凱旋シリーズになる。すでに2月取手のGI全日本選抜競輪も勝っており、完全主役だ。古性の性格だと…。
「いつも通りに戦えれば」と話すのかな。いや「今回だけは…」と口にするのかな。前検日の取材が楽しみだ。
古性自身が求めるものがあるだろうし、また古性に周りが、ファンが求めるものがある。波立つ大阪湾に、熱狂の渦が巻く。岸和田競輪場に、向かおう。
Twitterでも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のTwitterはこちら
前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。