2022/06/13 (月) 12:00 4
自転車は広く世に普及し、乗ったことがないという人の方が少ないだろう。長崎は坂が多いので乗らない人もいる、と大学に入った時に聞いたことがあるが、自転車を知らないということはない。非常に便利な乗り物だが、ある競輪選手はこう言った。
「なんで便利に、生活や移動を楽にするために生まれた自転車で、こんなきつい思いをせないかんのや!! 」
検車場に倒れ込みながら、ヒイヒイいってつぶやいていた。まさにその通りで、自転車は生活用品から、人間の究極を競う競技の一部となり、それは文化となっている。
さて、自転車文化とは何か…。
“自転車をどのように生かせているか”、が文化としての自転車を有しているかにつながる。この点において、自転車競技で成果を上げることは、自転車文化の充実を意味する。
この充実のために、鹿児島から大きな動きが沸き起こっている。命を懸けて政府に異を唱える気概の地。横山安武という人物の名前だけ、少し、記しておこう。といっても、物騒な話ではない。
黒川剛先生という鹿屋体育大学自転車競技部の監督を務め、現在はシエルブルー鹿屋GM兼総監督を務めている方がいる。勝手ながら、“先生”と書かせていただく。大隅半島は鹿屋の地を拠点に、老若男女が自転車を楽しみ、そこから自転車競技で輝ける選手を育成しよう、と動いている。
フランス語で「希望」を意味するエスポワールを“希望の人材”をさしめ、地域一体となって、目標に向かう。すでに鹿屋体育大学からは五輪出場選手、また競輪選手にも多数の出身者がいるが、もう一段、上のステージを目指していく。
活動の概要は下部のページを見ていただきたいが、ある思いが突き動かす原動力になっているそうだ。ベルギーに遠征に行った時、ベルギーではサッカーなどの世界的な主要スポーツよりも、自転車競技のTV放送が多かったという。
今では日本でもインターネット上に自転車競技の情報は多くあるものの、民間のTV放送など、メディアの主体はそこまで取り上げることがないのが現実だ。
無論、他のスポーツもたくさん取り上げて、放送されてほしいわけだが、そこに自転車競技がもっと増えてほしい。
競輪もそうだし、自転車につながる人たちが広く世の中に出て、素晴らしさがもっと伝わってほしい。「♪ふぅっるさっと、たっぷり〜、M、B、C♪ 」。なんだか、鹿児島のラジオが聞こえてきた…。
しばらく、鹿児島に帰ってないな…。取材にも、行かないとな…。
▼「自転車界の「エスポワール」を一貫指導で育てる大隅・鹿屋の挑戦」
https://readyfor.jp/projects/cielbleu-kanoya
Twitterでも競輪のこぼれ話をツイート中
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。