2021/02/17 (水) 18:00 12
みなさんこんにちは! 110期愛知支部の佐々木恵理です。いつもコラムを読んでいただきありがとうございます。前回はガールズケイリンの楽しみ方について書いたので、今回は男子競輪の楽しみ方について書こうと思います。
私が思う男子競輪の魅力的なポイントは、ラインの絆です。ラインって何よ? 緑色のメッセージアプリ?と、ボケも挟んでみましたが(笑)。
ガールズケイリンは個人vs個人(単騎と呼ばれています)の戦いですが、男子の競輪はラインという「チーム戦であり個人戦」で戦います。
ラインとは、簡単に言うと同じ地区などの選手が一列に並んで戦うチームのことです。
自転車は空気抵抗との戦いです。自転車で時速70キロ近いスピードになると、台風レベルの風を受けることになります。先頭を走って風を切る自力選手がいることで、先頭選手の後ろの選手(番手選手)は空気抵抗を軽減することができます。
番手選手は他のラインの選手をブロックするなどの仕事をして、自力選手を助けます。ラインの先頭で風を切るのはとてもキツいことですが、自力選手は自分の勝利はもちろん、ラインの勝利のために力を尽くします。そして、ゴール前の直線で個人戦となり、選手それぞれが1着を目指します。
ゴールの直前でより有利な位置にいることが、レースの鍵となります。選手にとっても予想する人にとっても、ラインはとても重要な存在なんです。
ラインの素晴らしいところは、自力選手と番手選手でお互いの持ち味を生かすことができることだと感じます。
ガールズのレースでは、先行している選手のすぐ後ろからすんなり捲られてしまうことも多いんです。もしガールズにもラインがあって、自分が先行の選手だとしたら、番手選手に後ろを任せられるので、今より思い切ったレースができるかもしれません。
逆に自分が番手選手だとしたら、先行選手の頑張りに応え、自分も精一杯仕事をして一緒にいい結果を残したいと思うでしょう。どちらのポジションについたとしても一人で走るよりも心強いので、ラインというチームの存在の大きさを感じます。そして、一人でなくチームで団結することは、足し算ではなく掛け算だと思います。
私はソロアイドルよりもグループアイドルが好きです。個人では短所があってもメンバーがいれば補い合えるし、逆に長所はアピールポイントとしてさらに輝かせることができるからです。
例えば、ダンスは得意だけど歌が苦手なメンバーがいれば、その逆のメンバーもいます。それぞれの長所をメインにすれば、グループとして歌もダンスも最高のものができるし、メンバー同士で切磋琢磨して短所の底上げにつながります。ソロパートがあれば「ここは私の出番だ!」とスキルを磨いて、長所もさらに伸びていきます。私はこれをグループアイドルの化学反応だと思っています。
競輪選手も、それぞれ脚質や長所短所は違います。自力選手は力を出し切り、番手選手は自力選手をサポートする。短所を補い合い、長所を生かして伸ばす。それがラインの持つ力だと思います。
ここで、アイドルの中でも長い歴史があるモーニング娘。の話を。
モーニング娘。はCDデビューして今年で23年経ちました。今のメンバーは、小さい頃からモーニング娘。が好きで憧れて入ってきたメンバーが多いです。
モーニング娘。に憧れていた少女がオーディションを受けて新メンバーになった時には、憧れていた先輩に追いつこう追い越そうと必死に努力します。そして、先輩メンバーも新メンバーから刺激を受けて改めて気持ちを引き締め、さらにグループを良くしようとパフォーマンスを磨いていきました。
現リーダーの譜久村聖(みずき)さんは、幼少期からモーニング娘。に憧れていた少女でした。ハロプロエッグ(研修生)のオーディションに合格し研修生で下積みを積んで、つんく♂さんの「譜久村降りといで」の一声で、研修生から初めてモーニング娘。にメンバー入りしました。
そこからは先輩たちの背中を追いかけて成長し続け、沢山のメンバーの卒業を見送り、今では全員の憧れとなるハロープロジェクト、モーニング娘。のリーダーとなりました。
前リーダーの道重さゆみさんの卒業コンサートで伝説となった「譜久村ダッシュ」は、道重さんへの熱い想い、絆、譜久村さんの成長を感じるものでした(これは語彙力が足りなくて説明できなかったので詳しく調べてみてもらえたら嬉しいです)。
皆様がご存知のようにモーニング娘。は長い歴史の中でメンバーが入れ変わっています。メンバー全員が譜久村さんのようにモーニング娘。に愛情を持ってつながっていて、グループの絆や想いは引き継がれていきます。このような見方ができるのも長い歴史があるグループアイドルの楽しみの一つです。
競輪も長い歴史の中でたくさんのラインが作られてきました。ライン先頭の自力選手はその地区の若手選手が担うことが多いです。デビューして数年の若手選手は、今のベテラン選手を見て競輪選手になりました。憧れの選手の前で走りたいと思って選手になった若手も多いと思います。
先輩後輩の絆だけでなく、師匠弟子、練習仲間、同県、同地区、同期など様々な形もあります。先日行われた松山記念競輪では、地元松山の選手が1,2,3着を独占しました。先行した島川選手の地元選手への想い、島川選手の想いを受けて番手発進して優勝した松本選手、松本選手の後ろでサポートした橋本選手、渡部選手。見ていて本当に胸が熱くなるレースでした。優勝した松本選手がインタビューで『ラインのおかげで優勝できた』と言っていたのも、とても印象的でした。
男子の競輪にはどのレースにもラインがあって、それぞれに絆があります。ラインを知ると、選手のコメントや発表された並びからレースを予想することができるし、コメントから読み取れるラインの絆が、深く熱くあなたの心に響くかもしれません。
難しいことも多いですが、競輪ファンたちを魅了してきたのが「ラインの奥深さ」です。ラインで見える選手同士の絆を、その絆から生まれるドラマを味わってみて欲しいと思います!
より楽しい競輪ライフを! では、次回更新をお楽しみに!
佐々木恵理
Sasaki Eri
愛知県豊橋市出身。大学卒業後、システムエンジニアとして社会人を経験し、テレビ番組でガールズケイリンの存在を知って競輪選手を志願。T-GUP(豊橋ガールズケイリン育成プロジェクト)を経て、2016年に名古屋競輪場でレースデビュー、初勝利。アイドルと競輪を愛する、アイドルヲタクレーサー。