閉じる
アイドルヲタクレーサー佐々木恵理の「KEIRIN・アイしてもらいます!」

【連載最終回】コラム執筆を通して学んだアイドルと競輪のこと

2022/05/25 (水) 12:00 18

 みなさんこんにちは! 110期愛知支部の佐々木恵理です。

 5月ももう終わりです。今年は梅雨入りが早いそうですね。レースはもちろん晴れのほうがいいし、練習も雨だと屋外では自転車に乗れないので、これからの時期は晴れを願うばかりです。

 今回で連載が最後。ということで、アイドルと競輪というテーマのコラムを通して学んだこと感じたことを広く自由に書いていきたいと思います。

・アイドルと競輪は似ている?

 もともと、どうしたらアイドルを推すことをより楽しめるのか、どうしたら推しがみんなに愛されてファンが増えて売れるのか、考えるのは好きでした。ファンは運営から与えられたコンテンツ、決められたルールの中で工夫して最大限に楽しむことしかできません。その中で工夫してもっと面白くなる方法を探していました。

 過去のコラムにも書きましたが、同じライブ参加でも推しがいたら気持ちが入って何倍も楽しいし、アイドル本人のSNSを見て知識を増やすと新しい視点が増えて面白さ倍増なんてことも少なくありませでした。ファン同士で友達ができれば、感想や思いを語り合うのもより楽しさが増します。

 その考えを「競輪だったらどうなるのか?」と置き換えることからスタートしました。アイドルも競輪も、頑張ってる人を見たり応援するということは同じなので、私のアイドルオタクで得た考えもどこかで繋がるだろうと思いました。競輪は人間味ある面白いコンテンツだから誰でも絶対にハマるポイントがあると思って、どうしたら競輪や自転車競技が広まるのか、より深く競輪に興味を持ってもらえるか、楽しんでもらえるのかを考えました。

 そこで出た答えは、選手をひとりの『人間』として注目する事です。競輪は人間が主役で、“競輪=人生”なんてCMも過去にあったくらい人間くさい公営競技だと私は思っています。

 私がアイドルが好きな理由は今まで公表したことがないのですが、最後ということで書いてみようかと思います。

 最初は、かわいい、キラキラしてる、眩しい! みたいな感情で見ていましたが、今はアイドル本人の生き方が見られることが面白くて好きです。

 毎日SNSを更新して日々の出来事や考えを教えてくれる、定期的にライブがあって歌、ダンス、トークなどの技術の進歩が見られる、毎年行われる誕生日のお祝いイベントでは涙が出ちゃうようなコメントをする、直接話せるイベントでは感想や気持ちを伝え合い言葉の交換ができる。私は、そんな人間の成長をそこまで親密に見られるコンテンツは日本ではアイドルしか存在していないと思います。

 アイドルは10代20代の大切な時間を削って、アイドルとしてのキラキラした生き方を見せてくれています。ファンはそのドラマを見て、元気がもらえる、勇気がもらえる、前向きになれると思っています。

 競輪もそれに近いものがあると私は考えています。

 自分の身体をエンジンにして自転車に乗る、日々練習をする、定期的にレースがある、インタビューなど個人の特集記事でその人を知れる、デビューからの成長とサクセスストーリーがある、SNSで日常生活が見られる、コロナ禍の前だったら直接話せるチャンスもある、などアイドルと同じように人生が見えてくる箇所が多いと思いました。

・競輪が広まっていくためには?

 そうやってアイドルと競輪を繋げて考えていくうちに、ファン、選手、運営や経営側など競輪に関わる人たちそれぞれの目線が必要なのではないかと考えました。それぞれの立場では当たり前のことでも、わからないこと知らないことはたくさんあります。

 わたし自身、大事なお金をかけて競輪選手を応援頂く気持ちは想像するしかないと思っています。アイドルオタクはもちろん全く別物だし他の公営競技をやって体験したところで全く同じ目線にはなれません。コラムを書いているうちに、競輪ファンの皆様の気持ちを完全に理解できていないと感じさせられました。

 初期のAKB48では劇場支配人がファンの意見を直接聞いていたと言います。そういう姿勢があったからAKB48は当時新しかった会いに行けるアイドルのかたちを作り上げられたのだと思います。

 ファンの皆様の視点を理解し取り入れることで、もっと競輪も広がっていくかもしれないと、コラムを通じて強く思いました。

・ガールズケイリンのこれから

 ガールズケイリンは2022年7月1日で10周年を迎えます。

 10周年を記念して、6月29、30日、7月1日に、ガールズケイリンが始まった平塚競輪にて全12レースをガールズケイリンとする「ALL GIRL'S 10th Anniversary」が行われます(6レース制×2の12レースで84人のガールズが集結)。ナショナルチームや点数上位が揃い豪華メンバーとなっています。84人もガールズがいるので、推し選手や応援したしている選手以外にも見本市的な感覚で楽しんでみてはいかがでしょうか?

 また、7月からは122期もデビューします。1期生33人から始まったガールズケイリンも11年目に入り約180人になりました。

 私は、1期生の先輩からガールズケイリンは何年続くかわからないと言われて始まったと聞いています。使用する自転車のフレーム(男子と同じ鉄フレームなのかカーボンフレームなのか)、レーサーパンツやユニホームのデザイン、レースで使用するヘルメットも何もかもが決まっていなかったそうです。1期生が競輪学校に在学中、卒業後に急ピッチで色々と決定されて、10年前の2012年の7月1日にガールズケイリンは始まりました。

 私は5期生で色々なものが出来上がってほとんど不自由ないタイミングで競輪選手になりましたが、話を聞いているだけでも創成期の1、2期生の苦労は大変なものだったと思います。

 それが10年でここまできました。単に人数が増えただけでなく、年々競技レベルが上がっています。自転車競技の世界戦短距離種目で表彰台に上がりメダルが取れる選手も出てきました。10年という短い期間ですがとてつもないスピードで進化しています。

 ガールズケイリンのストーリーはきっとこれから先も20年30年と続いていきます。ファンの皆さんには歴史の目撃者になって欲しいと思います。推しの選手、応援している選手もその歴史の渦の中にいます。

 私もガールズケイリンのストーリーに関わる人間として、これからもほんの少しでも盛り上げていきたいと思います。

 長々と書かせていただきましたが、細かいことは考えずにとにかくこれからも競輪を楽しんでくださいね。1番大切なのは楽しもうという気持ちです。

・さいごに

 このコラムは今回が連載最終回です。毎月読んでいただいた皆様本当にありがとうございました。

 1年以上毎月コラムを書かせていただきましたが相変わらず文章を書くのは苦手なままで、今もうんうん唸りながら書いています。

 自分が競輪について考えていることをただ考えるだけにするのは勿体ないし、せっかくチャンスをもらったので、出来る限りの想いや意見、提案をコラムに書かせていただきました。実際に「読んだよ!」と声をかけていただけることもあり、とても嬉しかったです。新たなチャレンジができとても勉強になりました。

 また、コラムの中で話題に出させて頂いたガールズ選手の皆さんも本当にありがとうございました(読んでくれてるかな?笑)。同じ選手という立場で選手を紹介するのは苦労しましたが、面白かったと言ってくれて嬉しかったです。

 それでは、より楽しい競輪ライフを! コラムを読んでいただき、ありがとうございました!


佐々木恵理選手の質問箱はこちら
佐々木恵理選手のTwitterはこちら

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

バックナンバーを見る

質問募集

このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。
あなたからコラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。

アイドルヲタクレーサー佐々木恵理の「KEIRIN・アイしてもらいます!」

佐々木恵理

Sasaki Eri

愛知県豊橋市出身。大学卒業後、システムエンジニアとして社会人を経験し、テレビ番組でガールズケイリンの存在を知って競輪選手を志願。T-GUP(豊橋ガールズケイリン育成プロジェクト)を経て、2016年に名古屋競輪場でレースデビュー、初勝利。アイドルと競輪を愛する、アイドルヲタクレーサー。

閉じる

佐々木恵理コラム一覧

新着コラム

ニュース&コラムを探す

検索する
投票