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松浦悠士の“真っ向勝負!”

【松浦悠士の近況報告】“不透明”で“未知数” はじめてGIに出たときの気持ちを思い出す

2024/04/26 (金) 18:00 29

 netkeirinをご覧のみなさん、こんにちは松浦悠士です。気持ち的には走りたくても、骨折している状態では叶わず…。今月は川崎記念と高知記念を欠場しました。ダービーには出場するつもりですので、今回は現在の状態面を中心にお伝えできればと考えています。

松浦悠士は常に前を向いている(撮影:北山宏一)

100%の状態に戻せることはなさそう

 まず、最新の状態を報告します。今回骨折した左手薬指と小指だけではなく、昨年痛めた鎖骨周辺部分にもダメージが及んでしまい、しばらくは骨折箇所と骨折とは無関係の部分にも痛みがある状態でした。軽度ではありますが、棘上筋(きょくじょうきん)が断裂しているため、日常生活がしんどかった…(泣)。

 だいぶ左手を使わない生活にも慣れましたし、最近はやっと痛みも落ち着いてきた段階なので、シリーズにできる限り良い状態に入れるように練習を見定め、トレーニングに打ち込んでいます。ダービー前に100%の状態に戻せることはなさそうな見込みですが、「どれくらい戻せるのかが勝負」だと考えています。

 今回の負傷で痛みの出ていない半身はウエイトトレーニングをしたり、足腰は鈍らないように山登りをしたり、制限はあるものの練習は怠っていません。今では室内練習も再開しましたし、“徐々に”ですが進んでいます。万全の状態は難しくとも、時間の限りあきらめずにケアしていきたいと思います。

はじめてGIに出場した時の気持ちを思い出す

 ダービーは本当に僕の中で特別なGIです。そこでしっかりと戦えるかどうかで、その年がどんな年になるのかを占えるような開催だったりもします。そんな大事な開催ですから出場するからにはしっかりと勝負したい気持ちしかありません。

2021年にはダービー王の称号を手にしている(photo by Shimajoe)

 でも、しっかりと自転車に乗れていない期間が長いですし、心肺機能の低下は避けようもなく、ここは特に懸念しています。外で乗れていない状況だと、「どれぐらい力が落ちているか」といったことは把握することができません。現状の力で、しっかりと戦えるのだろうか? という点には不透明さを感じています。

 不透明さという意味では「初めてGIに出場した時の気持ち」と少しだけ似通っている感覚があるんですよね。「今持っている力でどこまでいけるかな?」って思考には共通するものがあります。

 もちろん今は「絶頂時の状態で走ることが難しい」とわかっていて、それを踏まえた戦い方でどこまでいけるかと考えているので、厳密には違う感情なんですけど。でも未知数で不透明な感覚という意味では懐かしい気持ちも味わっています(笑)。

応援してくれるファンのみなさんへ

昨年も怪我に苦しんだがあきらめずに復帰戦を戦い抜いていた(撮影:北山宏一)

 競輪のレースには落車はつきものですし、当然怪我も当たり前のようにあります。だから不安に感じても仕方がないし、「どう治すか?」ということに集中して向き合っています。僕は今回、「大切になるのは初日」だと思っています。ここでどこまでやれるのか、どういう状態なのかをしっかりと確認したいです。

 ひょっとしたら、まるで戦える状態にはないのかもしれません。逆に、案外大丈夫なのかもしれません。いずれにせよ、初日が大事なポイントであり、ちゃんと状態を見極めようと思っています。ファンのみなさんには「コメントをしっかり見てもらいたい」とお伝えしたいです。ここまで書いてきた通り、今回は万全の状態ではない出場になる可能性が極めて高いです。

 僕にできることはレース前のコメントで状態を明らかにすること。最善を尽くして状態を上げて迎えられるようにしていきますが、やはり外で自転車に乗れていない中でどこまでできるかどうかはわかりません。レース前のコメントはその時に自分が感じている状態を正直に話すので、レース予想の判断材料にしてもらえればと思います。それでは、レースまで残り少ない日数ですが、最善を尽くして頑張りますので、応援よろしくお願いします!

読者の方から寄せられた質問に答えます

 それでは今月も質問に答えていきたいと思います!

今回は3つの読者質問に真っ向勝負!(撮影:北山宏一)

ーー玉野記念で堀江省吾選手に松浦選手が(走りを評価する感じで)声をかけた、というニュースを見ました。堀江選手のどのあたりに魅力を感じたのですか?

 あの開催で堀江君の乗り方が変わっていたので、最初に「セッティングとか変えた?」って声をかけたんです。堀江君って着が伴っていなかったレースだとしても、気持ちが入った積極策に出るところがあり、そこが魅力だったんですよね。本人に「気持ちがいい走り方でいいね」と話しました。どこか徹底してスタイルを貫いている感じがしますし、今後磨かれて強くなっていくポイントだと思います。言葉にすると難しいんですが、「内容では負けないからな!」と結果だけを追っていない強い意志のようなものが見えるんですよね。

ーー競輪ダーツ部に加入とは何でしょうか?松浦選手はダーツをやるんですか?

 はい、ダーツが好きで独身時代はよくダーツバーに通っていました。マイダーツも2セットくらい所有してます。今は自宅内で2セットとも紛失していますが(笑)。紛失したのと同時に遠ざかっていた感じですね。この前の玉野記念で佐藤龍二さんから「ダーツ部を立ち上げた」と聞いたので、開催中に加入しました(笑)。どこかのレースで一緒になって投げる機会があれば楽しそうだなと思っています! ですが、手を怪我してしまっていつになるか(泣)。

ーーブロック技術の難しさを教えてください。

 これは色々ありますし状況にもよります。一概にこれ!とは言えないのですが。

 ①前を走る選手のスピード②自分のスピード③後ろから来る相手のスピード④来る場所(タイミング)、この4つがブロックの要になると思います。前の選手が失速している状態でのブロックは難しいですし、捲ってくる相手とスピード差があり過ぎても成功しません。レースの中で、これらを瞬時に見極めるのが難しいですね。

 僕の場合はですが、それら4つのポイントをイメージしながら車間を切って、相手の速度に合わせて自分のスピードを調節して、1コーナー2センター、3コーナー2センターあたりで止めるのが理想だと思って工夫しています。

 ブロックって止め方も難しいですよ。「自転車だけではなく、体を持って行って止めることが重要かつ安全」だと思っているので、それを実践しています。たまにブロックというよりも“車輪を払う感じ”で走行する選手もいますが、相手が避けているから大丈夫なものの、とても危険なケースがあるんですよね。

 そういう場面を見ると、体で当たらないと危ないぞって思いますよ。体で当たることを前提に「ブロックすることを相手に伝えるくらいの走り」でちょうどいいと思います。いろいろ計算予測とイメージを合致させた上で、危なくないように相手に体を当てていくのはとても難しいですね。

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松浦悠士

Matuura Yuji

広島県広島市出身。日本競輪学校第98期卒。2010年7月熊本競輪場でレースデビュー。2016年の日本選手権競輪でGⅠ初出場、2019年の全日本選抜競輪では初のGⅠ決勝進出を果たす。2019年の競輪祭でGⅠ初優勝を飾り、同年KEIRINグランプリにも出場。2020年のオールスター競輪では脇本雄太との死闘を制し、優勝。自身2つ目のGⅠタイトルを獲得した。ファンの間ではスイーツ好き男子と知られており、SNSでは美味しいスイーツの数々を紹介している。

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