2021/02/14 (日) 12:00 2
奈良競輪場で開催されている春日賞争覇戦の決勝レース展望をお届け! 決勝は本日16時30分発走予定。
連日、小回りバンク特有の走りが展開。後手を踏んだら大変! 前々に行かないと勝負にならない! とばかりに焦って行けば墓穴を掘る!前に出るにはいつもより早めになる。すると「スパコン富岳」よろしくゴールを瞬時に逆算して、ペースを落とす! もがく距離を考えれば、うなずけるが…。
「そこはもう踏めよ!! 踏んでくれ〜!!」というオレの声が届かね〜! なんだかチグハグなんだよ! オレの思いは空回りするばかり…。クゥー辛い!
2日目は落車や失格が重なり、波乱あり。目を覆いたくなる始末。6Rは吉田敏洋が強引な突っ張り先行で敗退。7Rは特選組の吉澤純平らが大量落車。この中には三谷将太も…。地元のエース三谷竜生も10Rで落車失格(T-T) 三谷兄弟は受難の1日になってしまった!
主軸の選手が早々に敗退する流れの中で、存在感を発揮したのが伏兵・久島尚樹。初日は坂井洋を封じ、2日目は三谷竜生を。共に(久島に)翻弄され波乱のレースになっちまった。小回りバンクならではの焦りが出たのかもしれないが。
またSS班2人の佐藤慎太郎、和田健太郎は2着で準決勝に進んではいったが…。気持ちが落ち着かずザワついてしまった。とりわけ佐藤慎太郎は、いつもなら北の目標に事欠くことはないが、初日特選は関東ライン3人を埼京ラインに振り分けるという辣腕をふるい説得(?) し、茨城の吉澤純平へ…。二次予選は群馬の蕗沢鴻太郎へ…。吉澤は良いとしても、実績の乏しい蕗沢では心もとない。
番組マンの地元地区への配慮は良くわかる。SS班はマーク屋でも強いから何とかするだろ!もまた然りだ。ただ競輪界をけん引するSSへのリスペクトもお忘れなく…!
準決勝はそれぞれ好内容だったが、印象に残ったのは12Rだ。本来ならSS和田健太郎が受けて立つ立場なのだろうが、誰も出なければと松本貴治が前受けに出た。決して楽なメンバー構成とは思えないが、根底にある「松山記念優勝の自信」がそうさせているように感じた。
勝負どころで元砂が押さえ、その上を大石が叩いて主導権。7番手に置かれた松本だが、慌てるそぶりなし! 巻き返すスピードは断然、逃げる大石の番手和田健太郎でさえ止めることは厳しいかも…と思えるほど。最終1角で落車があり、これを避け武藤龍生が松本を差し切ったことも見逃してはいけない!
そうそう11Rで中井俊亮、12Rで中井太祐が共に決勝戦へ乗ってきた。三谷兄弟が取り沙汰されていたが「僕たち中井兄弟も地元愛に溢れている!」を実践するには格好の舞台になったのでは!?
決勝戦の並びは、④中井俊亮-⑥中井太祐の地元兄弟コンビ、⑨稲毛健太-⑧山田久徳-①村上博幸-⑧山田久徳の近畿勢、⑤宿口陽一-③武藤龍生の埼玉組、⑦松本貴治-②佐藤慎太郎の即席コンビ。細切れ戦(⇐④⑥・⑨⑧①・⑤③・⑦②)。
佐藤慎太郎がスタート速く、松本を迎え入れ前受け。枠なりで稲毛、山田、村上。宿口、武藤。最後尾は中井兄弟。中井兄弟が押さえにいく。宿口は兄弟で逃げると思い、続く流れだ。
ところが、“近畿で優勝を!”が命題「あうんの呼吸」で稲毛がフルスロットル発進。後方に置かれた松本がかますが、これに合わせて山田が番手まくり! 差し脚鋭く村上がV。(勝負どころで)切り替え突っ込む佐藤とのGP王者のワンツーフィニッシュ。
これが妄想その1だ。でもせっかくだから中井兄弟にも目を向けてみたい。
近畿の絆で稲毛がフルスロットル、ただ、ここに自信のある松本が襲いかかれば展開は変わってくるのかもしれない。稲毛に襲いかかる松本!先行争い真っ最中。そこを中井兄弟がまくって、兄貴の太祐が差し涙の地元V…! 兄なら弟の俊亮も残したい!
…いや待てよ。そんな展開になれば、前残しが仇となり、勢いをもらって武藤が突っ込み逆転Vなんて結末が浮上してくるぞ。兄弟無言で奈良競輪場を去るなんてことになっちまうΣ(゜Д゜) 令和の兄弟仁義が見てみたいが、果たして?
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。