2022/05/18 (水) 12:00 12
5月19〜22日に宇都宮競輪場で「開設73周年記念ワンダーランドカップ(GIII)」が開催される。
今年、初のS班としての戦いに挑んでいる宿口陽一(38歳・埼玉=91期)が今苦しんでいる。昨年は勢いも助けて…に見えたかもしれないが、この正念場で立ち直りのきっかけをつかむ。
「宿口の良さ」は何か。“S班として”とか“スターだ”といった部分にはない。自分が知っている“競輪”を頑張る、というところだ。その“競輪”とは、もちろん、尊敬してやまない平原康多(39歳・埼玉=87期)が作り出してきたものだ。
一番は平原と同じことができればいい。しかし、それは違う。平原がやってきたこととの条件とも合わないので、宿口もそこは見ていない。そこで何を求められているか…に応え切れていないのが今年の前半戦になる。落車もあったわけだが、今を乗り越えることで“宿口陽一”ができあがる。
人間は苦境を乗り越えると、強くなる。『人生』という大きな話になってしまうが、苦しい時に逃げ出すと、何も生まれない。戦うことが力を生む。そして、競輪の良さ、が待っている。
戦わない奴を、誰が尊重するだろう…。逆説の話だが、中島みゆきの曲「ファイト! 」に「闘う君の唄を、闘わない奴等が笑うだろう」という歌詞がある。
競輪のライン、ラインの仲間、は見ている。
今年の宿口は結果こそ残せていないが、そこで戦っていないわけではない。もう、熱くなる時代はとうの昔に終わっているかもしれない。でも、宿口にできるのは熱くなることしか、今はないだろう。誰かの胸に届くような戦いを、今こそ、だ!
眞杉匠(23歳・栃木=113期)には“あのダービーの後”がまた求められる。「AMBITIOUS」。その胸に輝く大志を見せ付けるような走りを見せてくれるはずだ。
5月17日に最終日を行った函館記念(開設72周年記念五稜郭杯争奪戦)で、瓜生崇智(27歳・熊本=109期)が記念初優勝を飾った。洒脱で明るいナイスガイだが、準決は泥臭く、はい上がるように決勝の切符をつかんだ。
決勝は佐々木豪(26歳・愛媛=109期)ー清水裕友(27歳・山口=105期)の3番手。同期の佐々木と、同い年で高校時代から自転車競技で競い合ってきた清水の後ろ。人の和を大事にする(本人はただ自然になのかな)性格なので、これはいいラインだな、と思った。
すべては佐々木の走りに表されていたと思う。力を合わせて強い敵に立ち向かう。今回の佐々木の結果としては良くないものにはなっても、必ず返ってくる。記念初優勝が年内にはその手に…と期待しよう。
3枚目の写真は昔のものだが、苦しみの底にいる近藤龍徳(31歳・愛知=101期)にも、何とか笑顔を取り戻してほしい。
Twitterでも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のTwitterはこちら
前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。